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ロイヤルロード(上)  作者: Koko
2nd Stage
15/40

中間テスト

ゴールデンウィークが終わり、だらけている所にやってくる中間テスト。



「めんどくせえな…中間テストなんていらねえだろ」



「あたしもそう思うけど、期末一発勝負ってのもちょっと怖いよね…」



「俺は野球の練習が休みにならなきゃ、別にどっちでもいいけど」



「友菜ちゃん、今回も頼むね」



「頼りにしてるよ。学年1位の才女」



「そんなおおげさな…」



「だって事実じゃん」



運動神経があまり良くないあたしにとって、勉強は唯一の得意分野だ。



普段、唯香や智紀君に頼ることが多いので、頼られることが凄く嬉しい。



「どこで勉強する?」



「図書館で勉強するか」



「それが無難だね」



あたし達は、基本的に図書館で勉強することが多い。



誰かの家で勉強すると、勉強会から、知らず知らずのうちにおしゃべり会になってしまうからだ。



4人で図書館に向かった。



図書館に到着する。



イスを動かして、4人で1つの机を取り囲んだ。



唯香の苦手科目は数学。



「X?Y?なんでAとBじゃないのよ~」」



なぜか、アルファベットに八つ当たりしている唯香。



「xは未知数って意味なんだ。だからその続きでxとyなんだよ」



「すご~い。友菜、物知りなんだね!」



あたしが唯香に教えている間、智紀君が頭を抱えているのを尻目に、光ちゃんは黙々と手を動かしていた。



意外と言っては何だけど、光ちゃんは勉強ができる。



昔は光ちゃんの方が頭が良かったから、野球への情熱が少しでも勉強に向いたらあたしは楽々抜かれてしまうことだろう。



ただ人に勉強を教える才能はあまり無いようで、智紀君も昔は光ちゃんに頼っていた時期もあったけれど、今はあたしを頼っている。



こうして光ちゃんは1人黙々と、あたしは2人に教えながら時間は過ぎて行き、勉強会はお開きとなった。



その後も、数回勉強会を催した後、テスト当日を迎えた。



この日ばかりは川越君も教室に来ていて、テストを受けている。



あたしは妙な緊張感に包まれながら、テストを受ける羽目になった。



テストは4日間に分かれて行われた。



川越君はほとんどの科目でテスト中にもかかわらず、睡眠モードに入っていた。



きっと川越君にとっては、授業に出ていなくても楽勝なんだろうな…



すべてのテストが終わる。



「友菜~数学全然分かんなかったよ…」



「あれだけ丁寧に教えてもらってたのに出来ねえとか、おまえ救いようがねえな」



「ハァ?そう言うあんたは出来たの?」



「おまえよりは絶対出来てる自信がある」



「でも他の科目だったら、あたしの方が上だもんね」



「それはどうかな。今回はいつもより出来たって自信があるぜ」



「じゃあ勝負する?」



「望む所だぜ!」



「勝ち負けだけじゃつまんないから、何か賭ける?」



「じゃあ負けた方が勝った方の言うことを聞くってのはどうだ?」



「男に二言は無いわね?あんたはきっと後悔することになるけど」



「そっちこそ」



2人の間には、火花が飛び散っている。



ただこのやりとりは毎回なのでもう慣れてしまった。



これまでは、唯香が勝ち越しているけど、今回はどうなるのかな?



最初は[ごめんなさい]って謝るというだけの、軽い罰ゲームだったのに、どんどんエスカレートしてきている。



何でも言うこと聞くってお互いにどんなことをさせるのだろう…



ま…まさか…



もし唯香が勝ったら、智紀君が笑い者になるだけだと思うから大丈夫だけど、もし智紀君が勝ったら?



(妄想)



「ちょっと智紀!ダメだってば…」



「何でも言うこと聞くんだろ?」



「でも限度ってものが…」



「男相手にそんな約束するお前が悪いんだよ」



「キャー」



[完]



そ…そんな訳無いよね。



とにかく無事に罰ゲームが終了することだけを祈っておこう。



数日後



テストの結果が掲示板にて一斉に発表された。



うちの学校では結果をオープンにして、生徒同士がお互いのレベルを認識し、切磋琢磨していけるような、特殊な形式になっている。



プライバシーの侵害だという人も一部いるけど、生徒にはおおむね好評だ。



これはあくまで仮発表で、これから各科目の返却が行われ、点数の付け間違いなどを修正した後、正式発表となる。



「友菜、今回も1位だといいね」



「今回はあまり自信ないかな…」



「どうして?出来があまり良くなかったの?」



「ううん。出来はいつも通りだと思うよ」



「じゃあ、何で?」



「川越君がいるからだよ」



「えっ?川越君?」



「言ってなかったっけ?川越君、転校してくる前、T大付属に通ってたんだよ」



「T大付属~」



石原君から聞いた時のあたしと全く同じ反応をした。



そりゃ、誰でも驚くよね…



「そう。だからおそらく勝てないと思うんだ…」



「そっか…そういえば、T大付属って心音ちゃんと一緒じゃん。学年1つしか変わらないし、面識とかあったのかな?お互い超美形だし」



「どうなんだろう…でも高校の時から芸能活動してたなら、あまり学校行けてないはずだし、面識のある可能性は低いと思うけど…」



「それもそうだね。それにしても顔も良くて頭もいいなんて!川越君の株が、あたしの中でさらに上昇したよ。心音ちゃんがミスパーフェクトなら、川越君はミスターパーフェクトだね」



「そうだね。とりあえず掲示板見に行こう。あたしのことよりも唯香と光太君の対決の方が大事でしょ」



「そうだったね。光太の罰ゲーム何にしよっかな…グヒヒッ」



笑い方がおかしいですよ、唯香さん…



掲示板に到着する。



予想通りすごい人だかりが出来ていた。



1位の人から順番に右上の方から貼り出されている。



上の方は遠くからでも確認することができた。



1位 川越和馬 794点

2位 坂本友菜 753点



あたしはいつもだいたい740点ぐらいだから今回の出来はむしろいい方だ。



でも川越君は、あたしの遥か上を行っている。



この結果、あたしがこの学校に入学してから初めて、1位の座から陥落したことが確定した。



「川越君、凄すぎ…」



隣の唯香は、口がポカーンと開いてしまっている。



かわいい顔が台無しだ。



「やっぱり負けたね…」



「川越君が異次元なだけで、友菜も充分凄い点数だよ」



「ありがと。唯香」



「あたしも自分の名前探さないと。ちょっくら探してくるね」



「いってらっしゃい」



「その必要なし!」



いきなり後ろから、声が聞こえてきた。



振り返ると、そこにはあきれた表情の光ちゃんと、ニヤニヤが収まらない様子の智紀君が立っていた。



「川越に負けたんだな」



「うん。光ちゃんはどうだったの?」



「俺は18位だから、まあまあなんじゃねえの」



「ねえねえ、友菜ちゃん。俺にも聞いてよ」



智紀君は、話を振って欲しくて仕方がないという様子だった。



「ハハッ…智紀君はどうだったの?」



「まあこれを見たまえ」



そう言うと、智紀君はポケットから携帯を取り出した。



覗き込んでみると、そこには画像が映しだされている。



151位 杉山智紀 444点

152位 藤村唯香 440点



そう書かれた画像だった。



「縁起悪…てか別に人に自慢できるような点数でもねえし」



「縁起が悪いとか、どうでもいいんだよ。ポイントは俺の名前の下にある」



「智紀君の名前の下に、唯香の名前があるね」



「No~」



唯香は頭を抱えている。



「つまり、俺がこの勝負の勝者って訳だ」



「ちょっと待った。採点間違いかもしれないでしょ。4点差ならまだ分かんないわよ」



「負け犬の遠吠えはみっともないの~」



「智紀に負けるなんて一生の不覚だ…」



「ハッハッハ~」



その後採点間違いを必死に探した唯香の努力もむなしく、勝者は智紀君となった。



「さあ、何をやってもらおうかな~」



「あたしに出来ることにしてよ?」



「これまでの恨み、一気に晴らしてやる~グフフ」



ま…まさか…



あたしの妄想が現実に?



「智紀君、エッチなことはダメ~」



「えっ?」



「健全な男子高校生なら女の子をそんな目で見ちゃうのは仕方ないと思うけど、やっぱりダメだよ~」



「友菜ちゃん、期待に応えられなくて残念だけど、そっち方向に考えたことはまったく無かったよ…」



智紀君が憐みの表情を、あたしに向けていた。



「おまえ、どんな妄想してたんだよ…」



光ちゃんも呆れた表情を見せている。



「あれ?」



「友菜ちゃんが望むなら、そっち方向でも考えてみるけど?」



「結構です…」



翌日



「友菜」



「どうしたの、唯香?」



「今日のあたしは、酒を飲んで、酔っ払ってるって思ってくれていいから」



「あたし達、未成年なんですけど…」



「じゃあ悪魔に、乗り移られたとでも思ってくれたらいいよ」



智紀君は、唯香に何を要求するんだろうな…



唯香の言動から見て、結構きついことをやらされることは間違いない…



「おっは~」



その時ご機嫌な様子で、智紀君がやって来た。



後ろで光ちゃんが呆れ顔で立っている。



「おはようございます。ご主人様…」



「えっ?」



「メイドさん。さっそくだけど朝練してきて疲れたからさ、肩もんでくれない?」



どうやら、メイドになりきるという罰ゲームになったようだ。



智紀君にそんな趣味があったとは…



「かしこまりました。ご主人様…」



智紀君が自分の席に座って、唯香が智紀君の肩を揉み始めた。



唯香が、苦虫を噛み潰したような表情になっている。



「メイドさん。揉む力が強すぎるんだけど?」



「申し訳ございません。ご主人様…」



「ご主人様の大事な肩なんだから、気を付けてよね」



「くっそ…」



「何か言った?」



「いえ。何でもございません…」



光ちゃんは他人の振りをするように、2人に関わろうとしなかった。



[ねえねえ、今日、あの2人変じゃないか?]



[あの2人はいつも変だろ]



[でも藤村さんが杉山にご主人様とか言ってるぜ]



[いいな~何があったのか知らねえけど、うらやましい]



周りの視線が痛い…



その後…



「メイドさん、喉かわいたから、ジュース買って来て」



「かしこまりました」



「メイドさん、語尾にニャンってつけて話してみて」



「かしこまりました…ニャン」



「メイドさん、上目遣いで智紀君大好きって言ってみて」



「智紀君大好き…ニャン」



「やべ…萌えた」



こんな調子で1日が過ぎて行った。



放課後になり、光ちゃんと智紀君は部活に行ったので今はあたし達だけが教室に残っている。



「……」



唯香は無言で机に突っ伏していた。



「唯香、大丈夫?」



「智紀の奴…いつか絶対仕返ししてやる」



こうして、3年生になってから初めて迎えた、中間テストは終わった。




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