プロローグ
[僕、友菜ちゃんのことが好きだよ]
えっ…
あたし、告白されてる?
でもなぜか相手の顔がぼやけて見えない…
[あたしも好き~]
えっ…
あたし、何言ってんの?
いったいどうなって…
ジリリリッ
あれ?
さっきのは夢?
寝ぼけ眼のまま、目覚まし時計を止める。
「友菜、起きなさい。今日から学校が始まるでしょ」
「夢の続きが気になるから、もう少し寝る」
「訳わかんないこと言ってないで、早く起きなさい」
お母さんに布団をはぎとられる。
「朝ご飯出来てるから、早く起きて下に降りてらっしゃい」
そう言って、お母さんはあたしの部屋から出て行った。
「さむ~」
春になったとはいえ、朝はまだ冷える。
布団に戻りたい衝動を抑え、なんとか身を起こす。
あの夢は、一体何だったのだろうか?
人間の夢は、実際にあった体験と頭で考えたことが記憶を整理する段階でリンクして見るものらしい。
もしかして、実際にこんなシチュエーションがあったのかな?
そんなことを考えながら、部屋を出た。
あたしの名前は坂本友菜。
緑に囲まれた田舎の高校に通う高校3年生。
今日は始業式だ。
階段を駆け下り、1階に降りる。
「おはよう、お父さん」
「おはよう、友菜」
お父さんとあいさつを交わす。
部屋に入ると、トーストのいい香りがしてきて、食欲をそそる。
朝ご飯を食べ終え、家を出る時間になった。
でも、このまま学校に向かったら、誰もいない時間に学校に到着してしまうだろう。
なぜ少し早い時間に出るのかというと、寄り道をして学校に行くからだ。
「いってきま~す」
「いってらっしゃい」
家を出て、学校では無く、徒歩10歩の所にある隣の家に向かった。