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ムーラント・サーガ~めるひぇんに御座候~  作者: 皇川 義佐
第二章「赤い盾の貴公子」
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第二十八幕「リリカル、リーガル、魔女裁判〔その1〕」

 牢獄というところは、石造りで薄暗くてジメジメしているものだと思っていた。


 業突張(ごうつくば)りの看守が幅を利かせていて、何をするにしてもそいつに銀貨を握らせないことには始まらないのだろうと。


 ところが、ペネロペが捕らわれていたのはシュテッティンの街中にある酒蔵の中だった。


 たしかに石造りではあるけれど、衛生面でいえばその辺の村の宿屋よりもずっとしっかりしている。


 想像していたよりも酷い扱いは受けていないらしいとわかって、僕もティルもホッと胸を撫で下ろした。


「こっちだ、いくぞ」


 ヴォルフガングは勝手知ったると言った様子で、どんどん先に進んでいく。


 一応、見張りの人間がいたけれど、どれも黒い胸甲ではなかった。


「ケルベロス騎士団が見張っているんだと思ってました」


 僕がそういうと、ヴォルフガングは訳を教えてくれた。


「国際会議の場にそんなに多くの兵を入れることはできない。入れようとすればここの市民議会と必ずケンカになる。リューベン王の手勢はお前たちとにらみ合っていたので全部だ。ペネロペを逮捕にきたのは異端審問官だっただろう?」


「そういえばそうでした」


「ここはそれなりに大きな街だが、ラタトスクに近いし、そもそも魔女狩りに積極的ではない。知っているか? 魔女狩りに精を出しているのはカルマニエンでも大都市近郊の農村だ。そこ以外はむしろ消極的でな。いま見張りをやらされているのもこの街の若者連中だが、内心ではいきなり権力を振りかざしてきた異端審問官を嫌っている」


「だから、こんなにホイホイ通してくれるんですか?」


「鼻薬が効いている間はな。お前は金持ちだが、こういう使い方も一応、覚えておけ。自分の刃がどの程度の切れ味なのか知っておくのも戦士の勤めだ」


 僕は戦士なんだろうか?


 その辺、ちょっと疑問だったが、「はい」と頷いておくことにした。


 ティルは歩哨に立っている街の兄ちゃん相手に「ご苦労」とか上から目線であいさつしている。


 相手は「誰だ、こいつ?」という顔をしながらも勢いに押されて答礼してしまっていた。


 いや、そいつどっちかっていうと敵側だからね?


 中庭らしきところを抜けると、同じ作りの酒蔵が二つ並んで建っていた。


 商売のことはあまり詳しくないけれど、かなり大きな商会の施設なのかもしれない。


 無精ひげを生やした厳ついおっさんが、扉の前でプイッと明後日の方を向いていた。


 見張りだけど何も見ていませんってことらしい。


 ヴォルフガングは気にした素振りもなく、ドアを開けて中に入った。


 僕たちも後に続く。


 酒蔵の中は、横になった樽が所狭しと並べられていた。


 中身はエールかワインか、だいたいはその二つだろう。


 入り口から続く通路は、両脇の樽のためにけっこう狭くなっている。


 明かりは奥にある燭台くらいのもので、かなり暗い。


「足下に気をつけてな」


 そういうと、ヴォルフガングは先頭に立って歩き出した。


 松明もないのに、よくつまずかないものだ。


 僕とティルは、光魔法で視界を広げると、ヴォルフガングの黒いマントを追いかけた。


 酒蔵の奥には申し訳程度の机と、椅子代わりの空樽が並べられていて、ペネロペは奥の席に一人で腰かけていた。


「「ペネロペ!」」


 僕とティルは同時に叫んで駆け寄った。


 身体に傷やアザはないか、体調を崩していないか、精神的に参っていないか、近づくまでの間に彼女のあらゆる様子を観察した。


 ペネロペは机の上に灯ったロウソクの火の向こうで微笑んでいた。


 ちょっと明度が足りなくて、顔色についてはわからなかった。


 なにせロウソクの火ときたらオレンジ色で、ちょいちょい(またた)くのだ。


 でも表情は、僕らの普段見慣れている彼女の柔らかな微笑だった。


 途端にいろんなものが込み上げてきて、いますぐ抱きついてしまいたいところだったけれど、ペネロペの方は案外冷静で、僕らに空樽の椅子を勧めてきた。


「……マクシー、ティル、無事でよかったわ。さあ、おかけなさい」


「えっと、あ、うん」


「そう、ね」


 なんだか勢いを殺された感じで、僕とティルは意気消沈しながら空樽に腰かけた。


 ヴォルフガングは座らず、隅の方に腕組みして立っている。


 僕は気を取り直してペネロペに話しかけた。


「ペネロペも、無事で良かった。みんな心配して……」


 そこまで言ったところで、続く言葉が出てこなかった。


 みんな心配することはしているのだろう。


 だけど、ローテンシルデ家は、僕らの家族は決めてしまったのだ。


 ペネロペとは距離を置く。無関係を装うと。


 僕が口を開けば、その事実をペネロペに伝えることになってしまう。


 何も言えなくなってしまった僕とティルの頬に、ペネロペは優しく触れてきた。


「大丈夫よ。何も心配いらないわ」


 オレンジ色の瞬きの向こうで、笑顔の彼女はいった。


「どんなに責められても、貴方たちや貴方たちのお父様、お母様の名前を出すことはないから」


 その一言を聞いた瞬間、僕はペネロペの手を強く握り締めていた。


 彼女は知っていたのだ。


 父さんと母さんが、自分を見捨てようとしていることを、彼女はちゃんと知っていて、僕らを気遣っているのだ。


 同時に、最初の言い回しから僕は、彼女は無事だったという予想が、いかに安直で甘っちゃろいものであったかを知った。


「……ティル」


 ペネロペの両手を包むようにして、捕らえながら、もう一人の自分に呼びかける。


 ティルは僕が何を言いたいかすぐに察してくれたらしい。


 空樽の上からぴょんと飛び降りると、椅子代わりにしていたそれを抱えて、ペネロペの背後に回った。


 ペネロペの顔がハッと動揺の色を見せる。


 慌てて振り返えろうとする彼女の両手を、だけど僕は離さなかった。


「ダメよ、ティル! ダメ!」


 ペネロペの声は普段からは考えられないくらい震えていた。


 絶対に見せたくない。


 そんな心の声が、掌を通して伝わってくる。


 ティルは空樽を設置すると、その上に乗って、ペネロペの背中をのぞき見た。


 直後、彼女のエメラルドの目は悔しそうに細められ、赤い唇は白くなるくらい噛み締められた。


「……殺してやる。あいつら全員……」


 幼い声で、彼女はお腹にたまった憎悪を吐き出した。


 僕の手も、いまは怒りに支配されていた。


 ティルの見たものは、意識したわけでもないのに、はっきりと僕の目の前に広がっていた。


 ズタズタだった。


 皮膚が割れ、肉は熱を持って腫れ上がり、奥の方にあるはずの脂肪までがむき出しになっている。


 そんな傷跡が、何本も何本も、残酷な紅の線となって、彼女の綺麗な背中に走っていた。


 ペネロペは拷問を受けていた。


 手首にある縄目の痕は、拘束されていた証だろう。


 そんな状態で、何度も何度もムチで打たれ続けたのだ。


 ラタトスクの突進公と結託していたのだろうという異端審問官の尋問に抗ったがために。


「「ツァールト・トロプフェン」」


 僕とティルは、同時に水属性の回復呪文を唱えていた。


 ヤドリギが緑から水色へと姿を変えて、彼女の傷跡を癒していく。


 気休めかもしれない。偽善かもしれない。だけど、僕たちはそうせずにはいられなかった。


「ペネロペ」


 僕は彼女の両手を前世よりずっと小さくなってしまった掌で包んだままいった。


「必ず、君を救うよ。どんなことをしても、何を犠牲にしても、僕たちが、必ず」


 ペネロペは泣いた。


 四年間、一緒に過ごしてきて、彼女の涙を見たのはこれが初めてだった。


――いいのよ、マクシー、ティル、私のことはいいから。だから、危ないことはしないで。


 泣きながら彼女が訴えたのは自分の命乞いではなく、僕らの安全だった。


 面会は、それでお開きとなった。


 酒蔵を出るとき、僕は見張りに立っていた商人らしき男に声をかけた。


「異端審問官がもし彼女を傷つけようとしたら、そのときは助けてあげてください」


「坊ちゃん、大人にお願いするときはそれなりに値が張るもんなんだぜ?」


 ニヤケ面で語る男の背後にそびえる酒蔵の壁に、僕はシュナイデン・ヴィントを叩き込んだ。


 石造りのそれは、緑色の光を放つ風の刃で呆気なく切り裂かれ、水分が消し飛び、砂みたいにボロボロになった。


 風魔法がわずかにかすった男の髪が一房、パサリと地面に落ちた。


「命より高価なものってあるんですか?」


 僕の問いかけに男は答えず、その場に尻餅をついた。


 敷地を出ると、前を歩いていたヴォルフガングが呆れた声でいった。


「当たるな、と教えたはずだがな」


「彼は僕の母親じゃありませんよ。それに、自分の刃の切れ味は、心得てるつもりです」


 ヴォルフガングはそれ以上、何も言わなかった。


 僕とティルは、彼に少し用事ができたからといって、途中で別れた。


 それについても、ヴォルフガングは何も言わなかった。


 がんばれとも、余計なことはするなとも、何もだ。


 だから僕らは好きにすることにした。


 向かったのは主席判事、ボルギア枢機卿とその一家が宿にしている館の前だ。


 そこからティルがメラを館内部に侵入させた。


 十分ほど待つと、メラは小さな人影の襟首をくわえて戻ってきた。


 ペッと、雪ヒョウの牙にひっかけられていたそいつは、月明かりしかない深夜の路傍に吐き捨てられた。


「イテッ! な、なんだ!? なんなんだ!? お前たち、僕にこんなことしてただで済むと思ってるのか!?」


 寝巻き姿で喚いたのはボルギア家の次男、ヨアヒムだった。


 取り乱す彼を説得すべく、ティルがグーパンを二度ほど顔面にお見舞いした。


 僕はオシャレにセットされた彼の茶髪を鷲づかむと、汚物まみれの側溝に顔を近づけさせた。


 ローテンシルデ城のトイレは水洗式だけど、普通の家庭では排泄物を容器に溜めて側溝に流すのが一般的なのだ。


「スカトロ趣味に目覚めたくなかったら、言う通りにしてください」


 鼻血を出しながら怯える彼に、僕は救済の道を教えてあげた。


「な、なんだよ!? なにすりゃいいんだよ!?」


 背徳の一族で一番しょぼい少年は涙目で降伏した。


 僕とティルは努めて平静な声で告げた。


「明日の裁判のための書類一式、君のお父さんの机にありますよね?」


「いますぐぶったくって来なさい」


 ヨアヒムは無茶だとか、無理だとか、難しい単語は読めないから見分けがつかないとか騒いだので、とりあえずメラの尻尾についているコブラに腕を噛ませておいた。


 普通、コブラの毒なんて噛まれた段階でアウトなんだけど、そこは魔製獣だ。手加減っていう便利機能がついている。


 ティルが暗闇の中でエメラルドの瞳を輝かせていった。


「ちゃんと言う通りに出来たら回復魔法で解毒してあげるわ。もし家の人間にチクッたら、明日はお魚さんと朝食をご一緒してもらうわよ。アンタの席は食材の方だけどね」


 ヨアヒムは転がるようにして宿舎に戻っていった。


 彼だけだとさすがに心配なのでメラをつけてあげた。


 ヒイヒイ言いながらダッシュしていく姿には、やる気があって大変結構だと思った。


 それから三十分ほどして、ヨアヒムは戻ってきた。


 顔面を紫色にして、口の端から泡を吹いている。


 でも両腕にしっかりと革張りの表紙がついた紙束を抱えていた。


 ティルが「もっと早く来なさいよ、グズ!」といいながら回復魔法をかけてあげたけど、ヨアヒムは目を覚まさなかった。


 呼吸はしているから大丈夫だろうってことで、僕たちは予定していた作業を行うことにした。


 書類の中から検事が判事へ提出する書類を探し出し、羽ペンでカリカリと加筆したのだ。


「これで、もう後には退けないよ、ティル」


「退くつもりあんの?」


「ない」


「あたしもよ」


「金もダメ、逃亡もダメ、暴力もダメ。搦め手がダメなら、真っ向勝負だ」


 僕らは革表紙を閉じると、書類をメラにくわえさせて元あった場所に戻して来させた。


 ヨアヒムは面倒だったのでそのままにした。


 もしかしたら怪しいおじさんたちに後ろの花を開発されるかもしれないけれど、ぶっちゃっけ知ったこっちゃない。


 仕込みを終えると、僕らは自分たちの宿舎に戻り、『塩と光の書』をはじめ、法律関係の書物を読み漁った。


 どれもこれも手書きの専門用語だらけで、変に小難しくなっていたけれど、そこは根性と人型になったパトの腕にぶら下がった顧問弁護士の解説で乗り切った。


 もうなりふり構う気なんか微塵もなかった。


 そして、ペネロペの裁判が開廷する朝を迎えた。


 裁判が開かれる場所はシュテッティンの教会の礼拝堂だった。


 基本的に裁判は離婚訴訟とか土地の所有権争いだったりするので、教会の管轄になっているのだ。


 教会の前後が低い木の柵で分けられ、前が公判のためのスペース、後ろが傍聴席になっている。


 礼拝堂に入るとき、外の庭に大きなパン焼き窯が作られていた。


 通ぶった僧侶のおっさんが、あれは魔女の窯だと隣の若い職人に説明していた。


 魔女はあの窯でパンみたいに焼かれるのだと。


 僕らは無言で傍聴席に腰かけた。


 物見遊山の市民たちが大挙して押しかけていたけれど、昨日酒蔵で見張りをしていたおじさんが、僕らに気付いて席を譲ってくれた。


「生きているって素晴らしいですね」


 立ち見になってしまった彼と友人にいうと、愛想笑いが返ってきた。


 彼は「沈黙は金」という言葉を自分の頭の辞書に刻み込んだものらしい。


 ローテンシルデ家からやってきているのは僕たちだけだった。


 ペネロペと距離を置こうとしているガッティナラの指示で、家族全員、姿を見せる事自体、禁止されたのだ。


 やがて主席判事のボルギア枢機卿と次席判事のリヒロイ枢機卿、そして新たに枢機卿になったピッコローミニが入場した。


 ピッコローミニは僕たちを見つけると一瞬驚いた顔をしたけれど、その後はこくりと頷いてくれた。


 いろいろ察してくれたらしい。


 話題の敏腕検事、クレーマーはすでに検事席に座っていた。


 痩せ型で、頭頂部だけをツルツルに剃りあげたコロナ頭の男は、自信たっぷりの笑みを貼り付けて判事たちにあいさつしていた。


 あいつがペネロペに拷問したんだと思うと、胃の中がムカムカしてきて、耐えるのが大変だった。


 そして最後に、身体を荒縄でグルグル巻きにされたペネロペがやってきた。


 背中に新しい傷が見えたので、隣に立つ見張りのおじさんをにらむと、彼は冷や汗を流しながら弁明した。


「ち、違うんです、殿様! と、停めたんですが、あの野郎、聞かなくって!」


「大丈夫。怒ってませんよ」


「ほ、ほんとうですかい?」


「ええ、あなたの命はお買い得なんだなって思っただけです」


「ひぃいいいいいっ!」


 まあ、この無精ヒゲを責めたところで何も始まらない。


 それに僕とティルを苛立たせたのは彼だけではなかった。


 傍聴席全体から凄まじいブーイングが巻き起こったのだ。


「魔女め! さっさと死ね!」


「神の敵!」


「早く窯に放り込んでおくれ! 目が腐っちまうよ!」


 ああ、シュテッティン市民、偏見でものを言っちゃいけないよ。


 それ以上言ったらグランツ・デア・シュトルムを十発くらいかましちゃうからね。


 なんて僕の心の声はもちろん彼らには聞こえなくて、礼拝堂に木霊した騒音を鎮めたのはリヒロイが持っている木槌だった。


――カンカン!


 と、木材の打ち合わされる乾いた音が響き渡る。


「静粛に。それではこれより異端審問を開廷する。人定質問のあとで検事は起訴状の朗読を……」


 進行を勤めるリヒロイの言葉の途中で、「はて?」と主席判事のボルギアが油の乗った猪首を傾げた。


「いかがされました、尚書令殿?」


「いや、リヒロイ枢機卿。まだ被告弁護人が来ていないようだが?」


「被告弁護人? クレーマー検事、被告弁護人などいるのかね?」


 リヒロイ枢機卿の質問に、クレーマーは素っ頓狂な声を上げた。


「そ、そんな人間、いるはずありません! ローテンシルデ家に確認したところ、当家から出すつもりはないと回答をもらっております!」


 だが、ボルギアは手元の書類を突き出して見せた。


「しかし、君からもらった提出書類にちゃんと書かれておるよ? えーと、弁護士マクシミリアン・フォン・ローテンシルデ、およびディートリント・フォン・ローテンシルデ?」


 裁判の関係者だけでなく、傍聴席も困惑の声を出し始めた。


 居るはずのない人間の名前があって、しかもその二人の姓がラタトスク公爵と同じなのだから当然だ。


 僕とティルは、だけど「はい!」と元気いっぱいに答えてやった。


「本日被告弁護人を勤めます、マクシミリアン・フォン・ローテンシルデです」


「同じく、ディートリント・フォン・ローテンシルデです」


 傍聴席から立ち上がって木の柵を越えてくる僕らに、ボルギアもリヒロイも目をむいた。


 一番反応が激しかったのは検事のクレーマーだった。


「き、君たち、ふざけているのかね!? ひ、被告弁護人だと!?」


「はい、そうです」


「法律的には問題ないはずよ」


 連邦には法律家の育成機関はあるけれど司法試験はない。法律にくわしければ誰だって弁護人になれるのだ。


 しかし、クレーマーは食い下がった。


「だ、だとしても限度がある! き、君たちいくつかね!?」


「二人とも七歳です」


「双子なのよ。あんま似てないけど」


 礼拝堂全体がさらに騒がしくなった。


 だけど今更だよね。


「主席判事におかれましては、提出書類を受理なさったのでしょう?」


 僕の質問に、ボルギアは頷くしかない。


 あらためて、僕はいった。


「僕、マクシミリアン・フォン・ローテンシルデと妹、ディートリント・フォン・ローテンシルデは被告ペーネロペイアが魔女であるという嫌疑に対し、無実を主張するものであります。要するに……」


 そこで言葉を切って、僕とティルはびっくりしているペネロペにニコッと微笑みかけ、ついで卒倒しそうになっているクレーマー検事に中指をビシッと立て、腹の底から叫んだ。


「「かかってこいやぁぁぁあああっ!」」


 さあ、真っ向勝負だぜ。


いつもお読み頂きありがとうございます。

次回更新は4月3日19時となります。

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