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贈り物語り――モンテスキューに憧れて――  作者: 王道楽土
2章 『自由とは、法の許す限りにおいて行動する権利である』
12/22

  B-SIDE

わたしは疲労が溜まっていたのか、いつの間にか玄関先で寝てしまっていたみたいです。

父は帰宅しておらず、ドアは半開きのままであった。

無警戒な自分に恥を知りつつ、ドアを閉め部屋に入る。


深夜に買った食材と弁当をテーブルに置き、冷蔵庫からアイス珈琲を取り出す。

コップに注ぎブラックで一気に飲み干し、また注ぎ珈琲を冷蔵庫へ戻す。

父の頭をかち割ろうとした椅子に腰を掛ける。


コップを両手で握りながら睡眠前の考え事を整理する。


幸江の提案は二つ。


まずひとつが、父に保険を掛け自殺と見せかけて殺す。


却下です。

本気でも冗談でも殺人を犯すことはしない。

父であれば尚更。

こんなわたしでも道徳心はある。


残りのひとつが、水商売をして一人暮らしをするというもの。


賛成です。

但し、水商売は却下。

未成年であるという建前もあるけど、見ず知らずの男性に甘い声を使ったり、気分良くさせる話術はわたしにはない。

不慣れなうちは皆そうなのかもしれないけど、他人を持ち上げるより、蹴ってきたわたしには向いてない気がしてならない。

なので仕事は今の居酒屋かっぱの皿と掛け持ちで探す。多少体力を使おうと構わない。


自立するには苦労はつきもの。

そして自律もしなければいけない。

あと1ヶ月もすれば18歳になる。

18歳になれば、制約も和らぎ行動範囲も広がるはず。

賃貸物件も貸してもらえるかもしれない。

出来なかった事象も可能になり自立と自律の両立を目標に生活していく。

うん。

これが真っ当な生活という気がする。


父親を取り除いた思考回路ならうまく機能する。

使い慣れたアナログからデジタルなものへ移行させる感覚。

愛着あるアナログなものを手放す時の歯がゆい思い。

新しく便利なものを手に入れる喜び。

結局天秤の傾いた方へわたしは進むのだろうか。


弁当を食べたわたしはバイトの為、もうひと眠りする事にした。

大方の方向は決まったからだ。当面は掛け持ちするバイトを探しつつ、不動産店舗に足を運び部屋を借してくれる大家がいないか尋ねる。


父から逃げるのではなく、自分のために生きるんだ。


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