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『等価交換の創造無双 〜ジャージ姿の俺、悪意を燃料に最強兵器を創り出す〜』  作者: beck2026
ドワーフの国編

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150/190

第150話:澄み渡る湖畔と、予想外の『等価』

紫色の毒泉が清らかな水を湛える美しい湖へと姿を変えると、湿地帯を覆っていた不気味な霧は嘘のように消え去った。

 頭上には澄み切った青空が広がり、陽光がキラキラと湖面を照らしている。周囲の枯れ木からも、瑞々しい若葉が芽吹き始めていた。

「……判定。水質改善率、九十八パーセント。これでこの地域の生態系に関する不備は、ほぼ片付いたな」

 カイトは四輪駆動車のボンネットに寄りかかり、透き通った湖水を見つめた。

 彼の纏う漆黒のジャージは、飛び散ったヘドロや有毒ガスの残滓を自動洗浄機能できれいに弾き落とし、何事もなかったかのように静かに佇んでいる。

「ぷはぁっ! やっとまともに息ができるわね。本当に生き返った気分だわ」

 エルザが調律杖を傍らに置き、大きく深呼吸をした。吸血鬼である彼女にとっても、先ほどの腐敗臭と毒ガスは相当なストレスだったようだが、今はその白い肌に心地よい風を受けて満足そうに目を細めている。

「カイト様、見てください! 湖の底までバッチリ見えますよ! お魚さんも泳いでます!」

 リアが湖畔にしゃがみ込み、水面を覗き込んで嬉しそうに尻尾を振った。

 

 カイトは一息つくと、頭の中で今回の「修理」に対する等価交換の収支を確認した。

 古代の浄化魔導器を逆洗し、この広大な湿地帯の機能を正常化させたという実績。それは、この世界のシステムにおいて莫大な「価値」としてカウントされる。

 カイトが等価交換の能力を意識した瞬間、彼の頭の中に、ネットのオンラインショップで臨時ボーナスが振り込まれた時のような、無機質な通知が響いた。

『――湿地帯の広域環境修繕を検知。対価として、土地の精霊の加護が宿る「水真珠の結晶」の獲得、および所持金の大幅な増額を確定します』

 ジャージのポケットが不意に重くなり、カイトが手を入れると、そこから大粒の青い輝きを放つ結晶がいくつか現れた。エルフ、ドワーフに続き、この湿地帯でもまた、等価交換の軍資金と超高純度の素材を上乗せすることに成功したのだ。

「……よし。これで第2章の実地研修におけるリソースは、完全に目標値をオーバーした。次の領域へ進むための準備としては十分だ」

 カイトは結晶を背負い袋の空間へと格納し、再び4WDの運転席のドアを開けた。

「あ、もう出発しちゃうんですか? カイト様、もう少しこの綺麗な湖を見ていたいです!」

 リアが名残惜しそうに振り返る。

「……だめだ。ここで立ち止まっていても、魔石の駆動エネルギーが微量ながら自然放電していく。効率が悪すぎる。乗れ」

「もう、相変わらずロマンの欠片もない堅物ね。せっかく良い景色になったっていうのに」

 エルザは文句を言いながらも、手慣れた様子で後部座席へと滑り込んだ。リアも「はーい!」と元気よく助手席に飛び乗る。

 ズゴォォォン!!

 カイトがアクセルを踏み込むと、魔石駆動のV8エンジンが再び力強い咆哮を上げた。

 泥が乾いて引き締まった大気の中を、四輪駆動車は砂煙を上げて滑るように走り出す。

 霧の晴れた湿地帯の向こう側には、次なる目的地へと続く、果てしない地平線がまっすぐに伸びていた。カイトの理詰めの管理研修は、世界の不備を暴きながら、さらにその歩みを加速させていく。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

もしこの「ジャージ管理者の等価交換ファンタジー」を面白いと思ってくださったら、ぜひ評価の「星」やブックマークで応援していただけると、カイトの魔力と作者のモチベーションがリペアされます!

よろしくお願いいたします。

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