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『等価交換の創造無双 〜ジャージ姿の俺、悪意を燃料に最強兵器を創り出す〜』  作者: beck2026
第2章:管理者の実地研修(フィールドワーク)

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第102話:沈黙の廃坑と『効率』の弾丸

リスタの街から北西へ。

 かつては銅の産出で潤っていたという『沈黙の廃坑』は、今や魔力のよどんだ湿った風が吹き抜けるだけの、巨大な石の墓場と化していた。

 カイト、リア、エリザの三人は、暗い坑道の中を迷いなく進んでいく。

 三人の纏う漆黒のジャージは、闇に溶け込みつつ、内部の魔力循環によって周囲の僅かな光を増幅し、彼らに最適な視界を提供していた。

「……カイトさん。前方三十メートル。……岩壁と一体化した『コッパー・ゴレム』二体を検知。……休眠状態ですが、侵入者の体温に反応し、再起動シーケンスに入っています」

 リアが影のように先行し、正確な距離を告げる。

「……手間が省ける。……エリザ、昨日教えた『単一点への絞り込み』だ。……今回はさらに出力を下げろ。……一割ではない、五分ごぶだ。……核を壊すのではなく、核を包む術式だけを『断ち切る』イメージを持て」

 カイトは立ち止まり、背後のエリザに指示を出した。

 エリザは黒い杖を構え、深く息を吐く。

 アップデートされたジャージが、彼女の荒い呼気を最適化し、内側の熱を効率よく逃がしていく。

 昨日までの「身体を焼かれるような感覚」は、今や心地よい微熱程度にまで抑えられていた。

「……五分、ね。……本当に、針の穴を通すような精密作業を真祖に強いるなんて。……でも、この服のおかげで、魔力が指先に吸い付く感覚があるわ」

 ガガッ、ギギィ……。

 岩壁から巨大な石の塊が剥がれ落ち、鈍い銅色の輝きを放つ人型の怪物が姿を現した。

 コッパー・ゴレム。

 その全身は魔導を帯びた銅と岩石で構成されており、通常の物理攻撃では表面を削ることすら難しい。

「……来なさい、動く石像。……闇の穿孔ダーク・ニードル

 エリザが紡いだのは、攻撃魔法と呼ぶにはあまりに小さく、静かな一撃。

 放たれたのは、細い糸のような紫の閃光だ。

 それはゴレムの屈強な胸板を貫くのではなく、装甲の隙間、術式が最も集中する一点へと滑り込むように吸い込まれた。

 バチッ……と、電子が爆ぜるような短い音が響く。

 次の瞬間、咆哮を上げようとしていたゴレムの動きが止まった。

 崩壊はしない。ただ、操り糸を切られた人形のように、その巨体が力なく膝を突いた。

「……判定、成功。……核の術式回路のみを遮断。……蓄魔石ちくませきへのダメージはゼロ。……完璧な無力化です、エリザさん」

 リアが冷静に評価を口にする。

「……はぁ、……っ。……できたわ。……身体が、全然痛くない。……魔力を放出したのに、逆に内側が透き通るような感覚だわ」

 エリザは自身の両手を見つめ、高揚した声を上げた。

 これまでは、一発撃つたびに全力を使い果たし、肉体を犠牲にしてきた。

 だが、カイトの定義した『効率』に従うことで、彼女は初めて、自身の力を完全に制御下に置いたのだ。

「……合格だ。……無駄な破壊はリソースの損失に繋がる。……この状態なら、連戦も可能だな」

 カイトは無力化したゴレムに近づき、その胸部を事象解体ハックでこじ開けた。

 中から取り出されたのは、淡い青色に輝く結晶体。

 コッパー・ゴレムの動力源であり、エリザの杖の燃費を劇的に改善する触媒――『蓄魔石』だ。

「……よし、二体目も同じ手順で処理するぞ。……今日の目標は蓄魔石五個。……それが集まれば、エリザの杖に『自動変換パッチ』を当てることができる」

「……もう、どこまで私を改造すれば気が済むのよ。……でも、悪くないわね。……このまま強くなれば、あの檻の中の奴らを見返すどころか、世界の見え方が変わってしまいそうだわ」

 エリザは不敵に笑い、次なる標的へと杖を向けた。

 管理者の実地研修。

 それは、力でねじ伏せる戦いではない。

 世界の構造を理解し、最小限の力で最大限の成果を得る。

 漆黒のジャージを纏った三人の影が、廃坑の奥深くへと、さらに効率よく溶け込んでいった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

もしこの「ジャージ管理者の等価交換ファンタジー」を面白いと思ってくださったら、ぜひ評価の「星」やブックマークで応援していただけると、カイトの魔力と作者のモチベーションがリペアされます!

よろしくお願いいたします。

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