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スキル獲得の儀

 我が国、ハイドマイル帝国は歴史の長い。近隣諸国に比べると500年以上の差がある。その安定した国の運営の背景には権力の一極集中を防ぐために権限を帝王、聖司教、法務局に分けている。


 帝王は政治運営、聖司教は市政の声を聴き不満を国に伝え運営に対し疑問を投げかける。法務局がその訴えの正当性を判断する。まあ、それだけだと上が腐敗したら終わりなため、超法規的機関である【魔導特務警ら隊】がある。建国当初から公正に判断するために存在した独立機関であり、同盟国であるサマイル皇国の国営機関である。


互いに不可侵であることを大前提として、権力の集中や汚職などを取り締まるようになっている。帝王であっても逆らうことができないが、聖司教のスキル【契約】の効果で公正な判断が約束されている。そのためこの国において汚職など数えるほどしかなく、起こしたものは徹底的に糾弾されるため、平和な政権を維持できている。


 ここまでは内政の話。外政的な話になると、軍事力が最高クラスであり、スキル獲得の儀の全員義務化が行われている唯一の国である。500年以上の周辺諸国との歴史の差がここに如実に出ている。特筆すべきはスキルをランク別に体系化し、高ランクには褒賞を与え国に抱え込み。低ランクでも取り扱い説明書を用いて教育し、冒険者、騎士、兵隊に育て上げる。


 スキルはA~Dに基本的にランク分けされている。まあSランクSSランクEランクと番外ランクがあるんだけど。


そんなこんなで疎まれつつもスクスク育った俺、第5皇子のライルは今日スキル獲得の儀を行うことになっている。


兄様方は上からSSランクSSランクSランクSランクだった。聖司教と同じ【契約】とかがSSランクだね。


「次、ライル・ハイドマイル」


呼ばれて前に出る。神に祈りを捧げてスキルが与えられるのを待つ。


「ライル・ハイドマイル。神の名のもとにスキルを授ける。【押し出し】【呪解】」


押し出し・・・Eランクの外れスキルだ。呪解・・・こっちはDランクだ。


「チッ。所詮失敗作か。」


俺の父である帝王は俺に一瞥もくれず去っていった。母は俺に「産むんじゃなかった」と言い捨てた。


兄様たちも俺をゴミだと罵り追い出すべきだと言った。すぐに追い出されそうになったけど第4皇子の兄様だけは一日の準備猶予をくれた。


「はぁ。メイドたちは立場変わってねぇのに喧嘩売ってくるし・・・俺の人生どうなるのかな・・・」


貯めてた小遣い、マジックバックに剣と本を数冊。あと、部屋の壁の中に隠してあった変な本。


「よし、出よう。」


玄関から出ようと歩いていると父が目の前に来た。

ドサッと目の前に袋を投げる。


「手切れ金だ。今日この時をもって廃嫡とする。二度と家名を名乗るなよ。」


「はい、深いお慈悲に感謝します。」


玄関から家を出て二度と戻ることのない実家を最後に目に焼き付ける。あんま良い思い出はないけど。


望外の手切れ金のお陰で余裕があるから馬車に乗る。二個向こうの国に行ってギルドに登録しよう。

ある程度の立場を確保できる。


「お客さん。運がいいね。君で最後だよ。」


ラッキーなことに馬車の定員ギリギリ間に合ったらしい。


「兄ちゃんどこに行くんだい?」


恰幅の良い商人が話しかけてくる。


「二つ隣の国に。」


「へ~。じゃあアレかい?冒険者かい?」


二つ隣の国、冒険者の国マルクト。魔物がそこそこ多くそこそこの数のダンジョンがそこそこの難易度のものが出てる。


「まあそんな感じです。」


適当なところで会話を切り上げ、スキルのことを考える。


【押し出し】・・・最後の記録は15年前の街の門番。見えない壁のようなもので相手を押し出す。


【呪解】・・・呪いを解読する。以上


押し出しをメインに使ってうまく立ち回らないといけない。一応剣術と魔法をそこそこ使えるから当面は低級モンスターを相手に小銭稼ぎをするか。


一応当面の生活費はあるから散財せずに蓄えつつ行こう。一応皇族だけど性根がケチでよかった。


俺は歓迎されてないことは知ってたけど。父と母にすらあのざまだったんだ・・・今に見とけよ・・・俺は俺で幸せになってやる・・・!!!

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