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お遊戯

中庭へいくと、目つきの悪い青い髪をした少年がいた。


こいつがグレンか。確かに雰囲気はあるな、ヤンキーみたい。

「ああ、こいつが俺の相手かぁ?。ずいぶん弱そうなやつだなぁ、おい。」

なんて口調の悪いガキだ。

「グレン!!、失礼だろ。謝罪しなさい。」

俺はすっと手で制す。

「いや、結構だ。ボコボコにして許してやるから。」

「頼むから殺さないでくれよ。」

「もちろん、ちゃんと依頼は理解している。」

「ああ゛?、俺様に勝つつもりか?、Bランク冒険者の分際で。調子に乗るなよ。」

お前にだけは言われたくないわ。

(マスターよりひどいですね。)

(当然だ。こんな奴と比べるな。こいつは俺様最強とか思ってんだろ。自惚れも甚だしい。分からせてやるよ、現実ってやつを。)

幻想が壊れたとき、どういう顔をするのか見ものだな。金を払ってもいいくらいだ。

(まぁ、マスターも子供ですからね。やりすぎてもいいと思いますよ。)

(だよな。こいつよりは年下だろうからな。)

精神年齢は上なんだけどな。

「まぁ、すぐに分かる。知りたくない現実ってやつをな。」

「うるせぇ。ぜってぇ、その悪趣味な仮面を剝いでやるよ。」

俺たちはそれぞれ騎士から木剣を受け取る。

「それではルールを確認する。剣術勝負だが、魔法も使ってもよいとする。なお致死性の攻撃と急所への攻撃は禁止。これでいいか?」

「ああ、構わんよ。」

「ああ、早く始めてくれ、親父。」

「では始め!」

するといきなり、グレンが身体強化を体に施し、飛び込んで斬りかかってくる。

それに対し、俺も軽く身体強化をして対応する。


「カンカンカンカンカンカン…」


激しい剣戟の音が響き渡る。

「はっ、Bランクにしてはやるじゃねぇか。もっとギアを上げてくぜっ。」


「カカカカカカカ」


先ほどよりも小刻みの音が響き渡る。

ふむ、素晴らしいセンスだが、それだけだ。まだ宝石の原石と言ったところか、全然磨かれてない。磨く気もないんだろうけどな。

「それが全力か?、なら俺には届かんぞ。」

さらに剣速をあげて、ついてこれなくなってきたところで強烈な蹴りを腹にプレゼントする。


「ドゴッ」


してはいけない音がする。

「どうした、俺の仮面を剥がすんじゃなかったのか?」

手をグレンに向けておいでおいで、とする。

「くそがぁ、調子に乗るな。ぶっ殺してやる。」

いい顔になってきたな。俺の大好物だ。


「カカカカカカッ…」


「面白いものを見せてやろう。」

そういうと俺は身体強化を解き、かなり深めにゾーンに入る。

「ああ゛、舐めてんのか。なに、身体強化を解いてやがる。」

何か言ってるなぁ、どうでもいいけど。


先ほどより静かにグレンに近づき、鋭い突きを放つ。

「クッ! どういうことだ。身体強化をしてないのにこの速さは?」

それに構わず、脱力してグレンが斬りかかってくるのを待つ。

その方が精神的ダメージが大きいからな。

「ッッ、どうして追撃をしてこねぇ?」

「どうして俺が追いかけないといけないんだ。お前が来いよ、雑魚が。」

「マジで許さねぇ。」

するとグレンはこれまでよりも身体強化の倍率を上げていく。

先ほどよりもスピードを上げて斬りかかてくるが、対処しきれないほどではない。

ここだろ?、今度はここだ。次はここ…。的確に捌き、相手の長所を潰していく。

そのせいでグレンはどんどん体勢が乱れていく。


(どうしてこの仮面野郎は身体強化を使ってないのに俺についてこれんだ?、おかしい。それに的確に捌いてきやがるからトップスピードまで上げられねぇ。…っち、精度も上がってきてやがる、化け物め。)


「ここだ。」

鋭い突きを放ち、完全に体勢を崩させる。そして鋭いパンチを左手で腹に何度も食らわせる。


「ドサッ」


グレンが吹き飛び、地に倒れ伏せた。

俺が当主の方をちらっと見ると、審判に合図を出していた。

「やめっ。勝者ゼロ。」

初めて登録した名前で呼ばれた気がする。

「…待て、俺はまだ戦えるぞ。」

「強がるな、鳩尾にパンチを全部入れたからな。もう戦えないはずだ。」

「そんなことはねぇ。」

そういうと、グレンは顔を歪めて震える足で立った。


凄い精神力だな、俺だったら命も賭かってないし、立ち上がれないと思う。

「足が震えてるぞ。」

「震えてねぇよ。」

「そうか。で、どうだ、Bランク冒険者程度に負けた感想は?」

「クッ、ふざけんな。どこがBランクだ。明らかにAランク以上じゃねぇか。」

「俺はBランクで登録されてるからな。ならAランクではないな。」

「てめぇ、一つ聞かせろ。身体強化を使わずにどうしてあれだけ強かったんだ?」

「そうだなぁ、本来なら教えないが、お前の悔しそうな顔に免じて教えてやるよ。あれは身体の純粋な限界だ。あとは自分で考えるんだな。」

「性格悪すぎんだろ。次はぜってえ、てめえに勝ってやる。」

ああ、こいつは知らないのか。

「あ、次はないぞ。もう俺は冒険者を辞めるからな。だから俺の勝ちで終わりだ。」

「どうしてやめるんだ?」

「金がたまったからな、あとは遊んで暮らすさ。」

「ふざけんなよ、おい。勝ち逃げは許さねぇぞ。」

「どうしてお前の許しがいるんだ?、俺を縛れるものはこの世に存在しない。」

「SS級冒険者には勝てねぇだろ。調子に乗んなよ、仮面野郎。」

無知って悲しいな。でもここで調子に乗って魔力をひけらかしたりはしない。

「そうだな、確かにそうだ。ゾル殿、依頼は達成ということでよろしいか?」

「ああ。ありがとう。報酬はギルドから受けっとてくれ。これを持っていくといい。」

そしてサインが書かれた紙を受け取った。

「では、さようなら。」

「おれは最強になる。てめぇなんか余裕で倒して土下座させてやる。どこに居ようと関係ねぇ、絶対見つけ出してやる。」

後ろを向いて歩きだし、軽く手を振る。

おお、やってみたいことの一つができた。知り合いに見られたら恥ずかしいところだが、いないのでセーフ。

(マスター、宣言通りボコボコにしてましたね。)

(顔面はやめたやっただけ慈悲深いだろ?)

(確かにそうですね。マスターならやらかしかねませんから。)

(ふんっ、とりあえず報酬を受け取って帰るぞ。)

(了解。)

ギルドで報酬を受け取り、帰宅する。

今日で冒険者は終わりか、いろいろあったなぁ。

感慨にふけりながら晩御飯を食べ終えて眠るのだった。


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