怖い話
すごく面白そうなタイトルの本だったが、とても恐ろしい話だった。
今は昔、あるところにとても美しい女の魔導士がいた。その女は自分の容姿ばかり気にしていて、年を取って醜くなるのを恐れていた。そこで女はどうにかして美貌を保とうと考えに考え、ついに思いついた。それは人から若さを奪えばいいのではないかということだ。ただ、どのようにして奪えばいいか思いつかなかった。だが、ある日、魂に干渉すればいいのではという発想に至った。当時から、魂は存在し、身体と互いに影響を及ぼしあっているという考えがあったらしい。そこで女はまず魂があるのか確認するために、大勢の人を殺し、特別な魔法陣で観測しようとした。結果は見事に成功。青白いものが漂っていたらしい。魂の存在を確認できた女は魂を拘束する魔法陣の檻と若さだけを濾過する魔法陣を長年かけて作った。そして、この世界で最も価値のあるヒヒイロカネという金属で魔法陣を作り、宝石に丁寧に丁寧に組み込んだ。見た目は血のような紅色の宝石らしい。そして使い方は殺した直後に、殺した相手に宝石を触れさせ、魂を拘束。その後は魔力を流して自分の体に当てるだけ。そしたら若返るらしい。女はたいそう喜んで長生きしたそうだがその後、大陸間規模の戦争で失われたそうだ。
…怖いな、自分の美貌のためにそこまでやるのか。おそらくそれしかアイデンティティを自分に見いだせなかったんだろうな。可哀相に。でも日本でも整形するやつは多かったからな、皆な案外悩んでいるのかもな。
それにしても魂を拘束する檻の魔法陣に、若さだけを抽出する魔法陣か。さすがに魂に干渉する魔法陣を作るのは不可能だということで御伽噺になったんだろうけど、もしほんとうなら古代文明、何でもありだな。そりゃ、転移魔法陣とかできるわ。
しかも、ご丁寧に使い方まで書かれているし。
御伽噺だったら普通書かないということを考えると、信ぴょう性が増すな。つまり、これがあれば永遠に若さを保てるということか。
…ほしいかもな。不死ではなく、不老ってことだろ。最高じゃね?皺とか健康とか気にしなくていいし。
歯はどうなんだろうな?、若返んのかな? すり減ったら入れ歯になっちまうからな、さすがにそれはちょっとなぁ。
いろいろ考えてるとパールが帰ってきた。
(よう、ちゃんと盗んできたか。)
(はい。その様子だと本は読み終えたようですね。)
(まぁな。ほんとうなら探したいくらいだよ、この秘宝を。)
(存在しないんですか?)
(するかもしれないが、場所が書かれていないんだ。これじゃあ、探しようがない。極小型探査機で探すのも限度があるだろうし。)
(そうですね。今は各国やギルドに潜入させてますからね。)
(さすがにそれを回すことのほどではないしなぁ。)
(では闇オークションに出席されてはどうです?)
(なんだ、その心躍るのは。めちゃくちゃ行きたい。)
(夏と冬、一年に一回開催されるらしいです。)
(どこでだ?)
(帝国ですね。メデラウという都市はご存じですか。)
(ああ、すごい発展してんだろ。)
(はい。そこを治めているのが財務大臣なのですが、探査機で帳簿を確認したところ怪しい金の流れがあったので調べてみたら、闇オークションに繋がったというわけです。あとちょいちょい、国庫の金も掠め取ってますね。)
どこの政治の世界も汚職は蔓延してるんだな。
(それで冬にあるってことはもうやってるのか?)
(いいえ。年末に開催されますね。)
(ちっ、それじゃあ厳しいかもな。もうそのころには帝都へ向かってるころだろうし。)
(そこはマスターが何とかしてください。)
(わかった。出席資格とかないのか?)
(ありますよ。招待状が必要です。あと顔を隠すために仮面も持参する必要があります。)
(誰に招待状が送られているかわかるか?、成りすましてやる。)
(早急に調べます。)
(ああ、新しい仮面も買わないとな。)
ああ~、楽しみだ。闇オークションか、絶対前世では縁がなかっただろうし。
どんな品が売られてるんだろうな。それに金もいるな、忙しくなりそうだ。




