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歪み

よし、まずは準備体操からだな。これをさぼると事故につながる。

まぁ、この世界では魔法を使えるからたとえ離岸流に巻き込まれても余裕なんだが、用心するに越したことはない。

(偉いですね、マスター。少し見直しましたよ。)

(少しだけかよ。でもまあ、自然を甘く見たらいけないっていうのは十分理解しているからな。)

準備体操を終え、海に飛び込む。


「バシャーンザブザブッ」


冷たくて気持ちいーな。こっちの夏はそこまで暑くはないが、汗はかくからな。

それにしてもやっぱり海の水は塩辛い、なんか安心する。

最初の方は泳ぎ方を思い出すのに時間がかかったが、思い出してくると身体強化で肺も強化して自由自在に泳ぐ。

仰向けに浮きながらパールと話す。

「将来、ここに住むのもいいかもな。釣りをしたり、海で遊んだり、ナンパしたりして気の赴くままに生きてさぁ。」

「これ以上に堕落したら、不味いですよ。」

「そうか?、生きたいように生きるのが一番いいと思うけどなぁ。」

「マスターの場合は、欲望に忠実すぎるんですよ。それでは獣と同じじゃないですか。」

「いやいや、そもそも人も獣の一種だろ。多少知性が発達してるだけで。」

「私はそうは思いませんけどね。知性があるからこそ理性的に行動すべきなのではないですか?」

「それは理想論だな。人間には感情ってものがあるからな、合理的でない行動をとる場合が多い。」

特に恋愛感情では。

「では、どうしてマスターは合理的な選択をとるのですか?、あっさり街を見捨ててましたよね?、ふつうの人間ならすごく悩むと思うのですが。」

「それはたぶん俺の心を動かすには足りなかったのだろうさ。」

「心を動かす…、ではどういう場合にマスターの心は動くのですか?」

「さあ?、動いたことないからわかんねぇ。」

「では、もし恋人が危険な目にあってたらどうですか?」

「そもそも前提が間違ってる。俺に恋人ができる未来が想像できない。」

「…どうしてです?」

「そもそも人を好きになるってことがわからないんだ。」

これは昔からそうだった。綺麗だと思う人はいても好きになったことはない。

もし仮に恋人がいて、何らかの事故で一生治らない後遺症を負ったとしよう。

そうなったならば俺はたぶん見捨ててしまう。

自分の一生を相手に捧げる覚悟がないから。

でももし本当に好きなら、一生寄り添うのではないだろうか?

そうなると俺は恋人を本当に愛しているということにはならない。そもそもそんな愛が存在するのかすら分からない。だって、見たことがないから。

「…難儀な人ですね。いつか好きになれる人が現れたらいいですね。」

「そうだな、それは本当に思う。でもたぶん無理だとも思っている。俺は自分でも少し歪んでいると思うから。」

自覚はしている。だが矯正のしようもない。自分ではどうにもできない。

「まぁ、マスターも若いですからね。いろいろな経験をしていけばいいんですよ。」

パールにフォローされるってよっぽどの事だったんだな。

まぁ、いつかそういう人と出会えたらいいよな、本当に。

「なんだ、お前は俺の母さんか。」

その後は、たまに休憩したり、遠泳したりと海を満喫した。

陸に上がり、建物の中で水着を脱いで服に着替える。

(いやー、楽しかったな。また、明日も来るか。)

(いいですね。)

それから屋敷に戻り、晩御飯を食べ、よく眠るのだった。

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