報告
街に戻ると、人が少なくなっており、モンスターの死体が転がっていた。
やはり避難したんだろうな。それにしてもこの領の騎士たちは優秀みたいだな、ちゃんと倒されている。
冒険者ギルドに入ると、誰もいなかった。
(どうして誰もいないんだ?逃げたのか?)
(さぁ、データが足りません。ですが、民の避難を誘導したのでは?)
(というかどこに避難したんだろうな? 俺たちの領までは距離があるし。)
(おそらく南にある街でしょう。)
(じゃあ、俺もそこまでいかないといけないということか?)
(そうなりますね。)
こう見えて結構疲れてるんだが。もう報告とかしなくていいかな。だるい。
仕方なく俺は南へ向かう。視力を強化すると10キロメートルぐらい先に壁に囲まれた街が見えた。
…ここか、さっきの街よりは小さいな。さて、ここにいなかったら俺はもう帰るぞ。
門番に怪しまれながらも冒険者カードを提示し、街の中に入っていく。
そこにはたくさんの人がいた。
「おいっ、あれは銀仮面じゃないか。」
そんな声が上がり始め、俺に注目が集まる。
「そうだ、ギルドマスターはいるか?」
「ああ、あそこにいるぞ。」
その返事を聞いた俺は、ギルドマスターのもとへ向かう。
「おい、モンスタースタンピードはどうなったんだ?」
「無事解決した。」
俺は群衆にそう返事をしながら、急ぐ。
つまんねえやつらとこれ以上会話するのはごめんだ。
「銀仮面!!、モンスタースタンピードはどうなった。」
馬鹿が! こんな民衆の前で話すことじゃないだろ。
これだから脳筋は。
だが、今更二人で話そうとしても民衆は許さないだろう。
だから俺は周囲に聞こえるように話す。
「モンスタースタンピードは解決したが、古竜は撤退して生きている。」
「モンスタースタンピードは解決したのか!!」
「ああ、俺たち冒険者が食い止めてたが、あの古竜のブレスによって敵味方問はず、消滅した。」
「…そうか、すぐにSS級を手配して追撃に向かわせよう。」
「ああ、それがいいだろう。とりあえず俺は休息をとるぞ。もう魔力もすっからかんだ。」
「そうか、戦ってくれて感謝する。」
俺は片手を軽く上げ、風魔法で飛び上がると人々の歓声が聞こえてきた。
さあ、帰るか。
(マスター、もう魔力はないんじゃなかったんですか?)
(ふん、んなわけないだろ。そんなヘマするか。)
(でも古竜の肉は早くどうにかした方がいいですよ。前みたいに盗んだ食材を廃棄するなんてことになったらもったいないですからね。)
(ああ、確かにあれは俺の人生の中での汚点だな。ちゃんと食材は使い切らないと。)
(まったくですよ。)
(燻製にでもするか。)
そんな会話を交わしながら家に帰ると、家の空気がぴりついていた。
何があったんだ。
「ジン様、こんなところにいたんですか。早く来てください。」
そういわれながら手を引っ張られる。
なんだ、窓ガラスは割ってないぞ。
「旦那様、お連れしました。」
そこには俺以外の家族が集まっていた。
「ジン、どこにいたんだい、探したんだよ。」
「それより父上、何があったんですか?」
「隣の領でモンスタースタンピードが発生したとの情報が入った。だから私たちは領地の防衛へ向かう。いいかい、この屋敷の外から絶対に出てはいけないよ、いいね。」
「はい。」
そりゃそうなるか。でももう解決してんだよな。
まあ、気楽にいくか。
「では、行ってくるよ。」
「気を付けて、アレク」
「ご武運を、父上」
「お気をつけて、父上。」
俺たちは父を見送る。
へえ、うちの領にもあんなに騎士がいたのか。
かっこいいな、なる気はないが。
それから俺たちは当分の間、三人で同じ部屋で過ごした。
いや、やりすぎだろ。さすがに俺もこの状況では外にはいかねえよ。
だがアレナとマルスはそうは思ってないみたいだ。解せぬ。
しばらくして、モンスタースタンピード解決の情報が伝わり、家の警戒体制は解除された。
だが古竜がまだ生きていることも伝わり、領地の警戒体制は続いたのだった。




