皇女登場
「ミランダ皇女殿下の登場です。」
すべての貴族が舞台に注目する。
へえ、ミランダって言うんだ。アレク、予め知らせておくべきだろう。
パーティの主役の名前を知らないのは流石にやばい。
そして舞台から降りてきたのは銀髪の美少女だった。
うーむ、すごいな異世界。セラに負けず劣らず、とてもきれいだ。
評判が正しかったのがわかる。残念ながら、俺とは縁がないのだけれども。
(なかなかに美人ですね。)
(お前もそう思うのか?)
(はい、周りにいる少女たちよりも格が違いますね。)
(確かに。)
「皆様、本日は私のためにお集まりいただきありがとうございます。どうぞ、楽しんでいってください。」
そう言って彼女が一礼すると会場は拍手の嵐となった。
もちろん俺も拍手している。初めてなのに落ち着いているなぁ。
さすがに英才教育を受けているだけはある。
位の高い貴族から皇女に挨拶をしていく。そしてとうとう俺たちに出番が回ってくる。
それぞれ自己紹介を済ますと、アレクが代表して話しかける。
「この度は8歳になられたこと、心よりお祝いいたします。」
「ありがとうございます。このあとは、余興もありますので楽しんでいってくださいね。」
ふぅ、無難に終わらせれたな。目をつけられなくてよかった。
だが――
「チラッ」
一瞬、皇女が俺の方を見てきた。
なにか、おかしいところでもあったか?
疑問に思ったが、とくに気にせずスルーした。気にしたら負けなような気がしたから。
その後、昼ごはんが運び込まれてきて昼食会がスタートした。
「もう、挨拶が終わったからね。好きに回って来ていいよ。ただし、会場から出ては駄目だよ。」
「はーい。」
よっしゃー、待ちに待った昼ごはんだ。地球の料理、探しまくるぞ。
「あれ、マルス兄さんは行かないの?」
「僕は、父上たちと一緒にいるよ。」
なんだ、結局チキンじゃないか。底が見えたな。攻めるときに攻めないと行けない時がある。今がその時だ。
「そっか、じゃあね。」
「待ってください、私も一緒に行っていいですか?」
「…もちろんですよ。一緒に行きましょう、セラ様。」
ちっ、断れるわけ無いだろ。ほぼ命令と同じじゃないか。
「様はいりません。セラで結構です。あと敬語もいりません。」
「いや、ですが…」
「ジン君、頼むよ。今はもう、公式の場じゃないからね。公的な場以外はセラと呼んでやってくれ。」
えー、トール、そんなこと言うけどさ、流石にまずいんじゃない?
俺が沈黙しているとセラが上目遣いで尋ねてきた。
「お願いします。…だめですか?」
グハッ、それはやばい。そんなの聞くしかないじゃないか。
「分かったよ、セラ。あと俺にも敬語はいらないからな。」
「そう、分かった。よろしくね。」
「ああ、よろしくな。」
俺たちはテーブルを回っていく。
おお、これはうなぎの蒲焼きか?味は一緒だ。なら鰻でいいや。
(パール、こいつを盗むリストに入れとけ。)
(はあ、了解です。)
次から次へとリストアップしていこうとするが結局、見つかったのは鰻の蒲焼き、チーズの挟まったパン、卵焼きだけだった。
意外と少ねぇな。もう、自分で作るしかないのか。料理したことないからレシピ知らないんだが。くそったれ。
でも意外とこの世界の料理も美味い。
「どれも美味しいですね。」
「もう、ジン、敬語になってるよ。」
「あっ、ごめん。」
なんだこの子、めっちゃグイグイ来るな。
俺に惚れたか?
…ないな。まだ少ししか話してないしな、性格だろうな。
そうやって食べ歩いているとたくさんの子供たちが集まっているのが見えた。
「行ってみよう。」
「ちょっと待ってよ。」
俺たちはそうして向かうのだった。




