ハンバーグ?
「ここにしようよ。」
俺はそう言って、店に入っていく。
肉の大変いい香りがしたんだ。絶対当たりだ。
二人が慌ててついてくる。
「ジン様、いきなり入るのはやめてください。」
「そうだよ。ちゃんと相談してよ。」
「ごめんなさい。」
そう言いつつも、俺はお腹が減っているので気にしない。
空腹の俺はメンタル最強。
席に座り、メニューを見ると絵が描かれていた。
こ、これは伝説のハンバーグ! かつて俺と恋人にあった食べ物の一つ、これはなんとしてでも自分の物にしなければ。
俺たちは全員、店の名物のハンバーグらしきものを注文した。
料理を待っている間に俺はパールと作戦を練る。
(パール、このメニューに載っている料理を解析し、食材も盗め。貴族だけで足りなかったら一般人からも盗め。バレないようにな。)
(一般人からでもいいんですか? 義賊じゃなくなりますよ。)
(構わん、必要な犠牲だ。)
(分かりました。どのくらい必要ですか?)
(とりあえず一年分だ。)
(かなりの量ですね。急になくなったらパニックになるかもしれませんよ?)
(バレなければ問題ない。あと緊急時の対応力を試す試験にもなるだろ。平時で行うから混乱も最小限だ。)
(無理やり正当化した感がすごいですね。まあ、命令ならやりますよ。)
俺はパールに命令を出し、ハンバーグを好きなときに食べれるのを想像して嬉しくて踊りそうになった。
いや、まじでこの店選んで良かったわ。さすが帝都だな、隣の領地にもなかったぞ。しかし、これじゃあ、ハンバーグ以外もあるかもな。楽しみだ。
もっと帝都を見て回りたいが…。うーん、冒険者として訪れるのはありか?
いや、幻術で来ればいいじゃん。バカだなあ、俺は。
無事に結論が出たところで料理が運ばれてきて早速ハンバーグらしきものを食べてみた。
うめぇ、この世界に来てから一番うまい。これはすごい、いくらでも食べられる。
「美味しいね。」
「そうですね。」
二人がなにか言ってるが、俺は気にもとめなかった。
俺たちは食事に満足して店の外に出た。
「まだ、時間はありますがどうされますか?」
「どうしようか?」
そうだなぁ、正直言ってまだ宿には戻りたくない。
「劇場に行こうよ。マルス兄さんの大好きな英雄譚が行われてるかもよ。」
俺は知恵を振り絞り、提案する。
「それはいい考えだね。劇で見るのもいいかもしれない。」
「では行きましょう。」
しばらく歩いていると大きいホールに着いた。
ミリアが受付の人に尋ねる。
「今からだと、なんの劇ですか?」
「そうですね、勇者の劇がもうしばらくしたら始まりますよ。」
「それでいいですか?」
俺たちは頷いて答える。
勇者の劇!!やっぱり劇になるほど有名なんだな。
そしてお金を払い、中に入っていく。
おお、暗いけどやっぱりワクワクするな。前世だったら劇とか興味なかったのに。
やっぱり、娯楽が少なすぎて飢えてるんだろうな。
そしてマルスと話して時間を潰していると上演が始まった。
…なかなか面白い。少なくとも能とか狂言よりは面白い。
夢中で見ているとあっという間に終わった。
「面白かったね。」
「うん、本では想像しているけど、実際に劇で見るのもいいね。」
「…では、いい時間にもなりましたので帰りましょうか。」
ミリアがそう言うので、帰ることとなった。
そして宿に着くと母上が待っていた。
「お帰りなさい、どうだった?」
「楽しかったよ。」
今日は本当にいい一日だった。ハンバーグを手に入れたし、劇も面白かったしな。
もうちょい、回れたら良かったんだが。
「僕も楽しかった。」
「そう、良かったわね。でも明日もあるから早く寝ましょう。」
その後、豪華な晩御飯やお風呂を済ませてベッドに潜るのだった。
…そういや、パールのやつまだ戻ってないな。指輪の事を聞こうと思ってたんだが。
仕方ない、明日の朝にでも聞くか。
そんなことを考えながら俺は寝落ちするのだった。




