8歳
あれから一年が経ち、サラは帝立学園へ行った。家はだいぶ静かになった。その間、俺は依頼を受けまくりランクはBまで上り詰めた。それもかなり早かったので、驚かれてなぜか銀仮面があだ名として定着した。
いや、ちゃんとゼロで登録してんじゃん。名前で呼べよ。
あと相変わらず、剣の稽古や勉強もしている。
少し驚いたのが魔法の実技のレベルもあがったことだ。忘れていたが、俺はまだ子供だった。
そりゃ、幼い頃から難しいのはやらないよな。まあ、それでも余裕なんだけれども。
そうやって過ごしていると、朝食を食べ終わったあとに、父がとんでもない事を言う。
「来週、どうやら皇族が帝都で皇女の誕生日パーティを開くらしい。私達にも手紙が来ているから行かないといけない。」
なんだとぉ、まだあと3年は猶予があると思ってたのに。
どうしてこう振り回されるんだ。
「父上、僕も行くんですか?」
「そうだよ、ジンも八歳だからね。パーティに出席しないといけない。」
うん、知ってた。大体、貴族の子は八歳ごろからパーティデビューを果たす。
ちっ、いつもどおりハブられたらよかったのに。
「そうよ、それに多分あなたのおじいちゃんとおばあちゃんに会えるかもしれないわよ。」
おい、待て。何だその不穏な言葉は。取消せ。
「おじいちゃんに会えるのですか?」
バカ、マルス、地雷を自ら踏みに行くやつがあるか。
「ええ、私の父が公爵だからね。父の反対を押し切って強引に結婚したから、縁は切られてるんだけどね。でも、孫には甘いと思うわ。」
根拠を示せ。根拠を。しかし、ようやくバブられている理由がわかった。
みんな、公爵家に睨まれたくなかったんだな。世知辛いな。
「僕は嫌われてるからね、まあ当然だけど。」
行きたくねえ。厄介ごとの未来しか見えん。
「それに、皇女様はあなたと同じ年齢だからね。学園でも同じになると思うし。」
えっ、もう情報過多なんですが。許容量超えているよ。ハハッ。
「へえー。」
もう敬語も使えない。
「とても綺麗と評判なのよ。」
流石に8歳には惚れないな。
「ジン、頑張って結婚したら?」
はあ、最下級の貴族の次男が結婚できるわけ無いだろ。
マルスはお勉強がたりてないんじゃないか?
「ハハッ、そうだね。頑張ってみるかい?ジン。」
「そうね、応援するわよ。」
…両親がこんなんだから、マルスの教育に悪影響がでてるんじゃないか?
(マスター、頑張ってください。全力でサポートします。)
(いいか、俺は貴族の女と結婚は絶対しないし、この年で将来が決まるなんてゴメンだ。まあ、皇女との結婚は絶対ないだろうが。)
(マスターは女性の尻に敷かれたほうがいいですよ。)
(かもしれないが、俺は断固抵抗する。俺は自由に生きるんだ。)
(素晴らしい信念ですね。他のことにもその情熱を向けられたらいいんですが。)
「いや、まだそういうのは考えられないです。」
俺がそう言うと両親は残念そうな顔をし、マルスはいつもどおりの顔だった。
ベッドで俺は帝都を想像し、ワクワクするのだった。
「まぁ、パーティを除けば楽しみだな。」
「私もたいへん興味があります。」
なんやかんや楽しみにしつつ、眠るのだった。




