気まずい
セリーヌという冒険者の元に全員が集まり、俺以外、涙を流している。
正直気まずすぎて早く帰りたいが、なんとなく雰囲気のせいで帰れない。
このままじゃ埒が明かないのでとりあえず話しかける。
「彼女を早く弔ってやるべきだ。いつまでこのままでずっといるわけにはいくまい。もうすぐ、日も暮れることだし。」
すると、緑髪の女性に睨まれた。
いやいや、俺だって言いたくないよ、こんなこと。でも夕食までに帰らないと、大事になるんだ。
「…そうだな。せめて、ゆっくり眠れるように墓を作ろう。」
「ジョゼフ!」
「彼の言うとおり、もうすぐ日が暮れる。そうなれば俺たちは身動きが取れなくなってまう。」
その言葉を聞いた女性は顔を歪めて、しばらくして頷いた。
俺たちは彼女を火葬し、土を盛って墓とした。そしてそのまま重い雰囲気で帰り、俺は街に入ってすぐ脇道に逸れ、瞬間移動で帰るのだった。
その日の夜、ベッドでパールと話す。
「マスター、大丈夫ですか?」
「ん、まあ、そうだな。正直、楽観視していた部分もある。だが、冒険者はハイリスクハイリターンであることを再認識したよ。それに、俺は治癒魔法を覚えていないことに気づいた。俺は実に愚かだった。」
「………マスターは後悔していますか?」
「悲鳴が聞こえてすぐに、向かわなかったことか?」
「はい」
「いいや、してない。俺は俺より強いやつがいることを知っている。だから、慎重になるに越したことはない。それに、俺は他人のために命を賭けられる人間じゃないからな。でも、人間ってそんなもんだ。自分がかわいいんだ。」
「…そうですか。」
実際あのとき、本当に行きたくなかった。だから、俺は何かあればいつでも転移できるように構えてた。
そして結果として、大丈夫だと判断してオーガを倒しただけだ。
その後、帝都から家族が帰ってくるまで俺は依頼を受けるのをやめ、自分を傷つけて治癒魔法の習得に努めた。
「よし、コツは掴んだ。傷を魔力で包み、細胞を修復する様子をイメージすれば早く治るな。」
「コンコン」
「はい、」
「失礼いたします。旦那様たちの馬車がお見えになりました。」
「分かった、出迎えるよ。」
そして久々に家族と再会したのだった。




