初依頼
俺は掲示板に貼ってある依頼を眺める。Gランクで受けることができる薬草採取の依頼を見ると、常時あるようだった。
依頼書には、取ってくる薬草の絵が描かれていたため、パールに画像を取っておくように頼む。
それからギルドを出て、街の外へ出ていこうとするが、門番に止められる。
「何だお前、身分証を見せろ。」
俺は素直にギルドカードを見せる。
「…なるほど、行っていいぞ。」
行けるんかい! 賄賂でも要求されるのかと思ったぞ。
そのまま街道沿いにしばらく歩く。
「怪しまれていましたね。」
「ひどい話だ。こんな善良な一般人を疑うなんて。」
「全然そうは見えませんし、自分で言うのはどうかと思います。」
「というか、薬草が取れるのはどこなんだろ。」
「そういう、いきあたりばったりやめませんか。」
と呆れたような口調でパールがたしなめてくる。
しゃーねーだろ。土地勘がないんだから。…いや、俺、自分の領地も土地勘なかったわ。
「おっ、あれは冒険者のパーティだな。あれについていくぞ。」
「いや、だからそういうのをやめようと言っているんです。」
そして気配を消して、後をつけていくと森が見えてきた。
「ほらな、着いただろ。」
俺が自慢げに言うも、パールは否定してくる。
「たまたまじゃないですか、人生には計画性が必要なんですよ。」
うるせー、お前は俺の母さんか。
よし、この辺でいいか。
「パール、薬草探してくれ」
「えっ、自分で探さないんですか。」
「ああ、お前には探す機能、多分搭載されてんだろ。」
こういう時のために地雷みたいなお前を受け入れたんだ。
「搭載されてますけど、それでいいんですか。」
「いいんです。見つけたやつを俺が採取すれば、とりあえず俺がやりたかったことはクリアできるからな。」
「はぁ、分かりました。では、あそこの葉を取ってください。」
「これか?」
「そうです。あとあそこにもあります。」
そうやって採取をして、スクエアに収納していると、
「キャーーーー」
という悲鳴が聞こえてきた。
「さあ、帰ろうか。」
俺はそう言って帰る準備を始める。
「えっ、あの悲鳴はスルーですか?」
「ん、なんか聞こえたか?」
「キャーーー」
「おいバカ、そんなの録音するな。せっかくスルーしようとしてたのに。」
「で、どうしますか?」
「帰るに決まってるだろ。」
危ないことには首を突っ込まない。これ長生きの秘訣。
「本当にいいんですか?」
「何が?」
聞いてはだめだと思うが、そんな聞かれ方をすると聞きたくなる。
「いいですか、門番の人には冒険者パーティについていく姿を後ろから見られてるわけです。そんなときに、冒険者パーティが帰らなかったらどう思われるでしょうか。しかも、マスターは顔を隠してます。」
「俺が殺したと思われるということか?」
「そこまでは言いませんが、何かしらの噂が流れ、活動しづらくなるでしょうね。」
「まだ、彼らと決まったわけではないだろ。」
「そうですね、80パーセント以上の確率で彼らですが。」
「…………あぁ、もうわかったよ。行けばいいんだろ行けば。」
「素直じゃないですね。」
おれは今世で初めて殺意をおぼえた。
分解してやろうか、こいつ。




