購入
幻術をミリアにかけ、頭だけ変化させる。そして俺は成人男性に化ける。
「その姿で行くつもりですか?」
「ああ。子供のまま行くわけにはいかないしな。」
「おまけに私にも幻術をかけられてると。幻術は闇の魔法の中でも高度な魔法のはずなんですけど…。」
「些細なことだ。それにしてもなかなかの熱気だな。」
「はぁ~、そうですね。ここに来るのは2回目ですけど、前もこのような感じでしたね。」
「へ~、じゃああんまり変わってないんだな。」
「そうですね。」
「おっ、あそこに服を売ってる店があるな。行ってみよう。」
「分かりました。」
大きい店に行って中に入ると、たくさんの服が置いてあった。
(どういう服を買えばいいのかな?、普通のパーティで着る服でいいのか?)
(データがありません。ミリアに聞いたらどうです?)
(そうだな。)
俺より長く生きてるからな、もしかしたら知ってるかもしれない。
「ミリア、どういう服を買えばいいと思う?」
「そうですね。あまり堅すぎるのは駄目だと思うのでこういうのはどうですか?」
「初めてだからよく分からないな。ミリアに任せるよ。」
「お言葉ですが、私も初めてですからね。」
「わかってるよ。でもほら経験でカバーできるじゃん?」
「ジン様、女性に年齢を意識させるようなセリフは駄目です。いつか大火傷しますよ。」
それは怖いな。女性を敵に回したら社会的に詰む。
「肝に銘じておこう。では俺はそれでいいから、ミリアもなんか買ってくれ。そうだな、10着はそれぞれ買うからな。」
「そんなに買うんですか?」
「ああ。9日間も開催されるからな。全部出席するつもりだ。」
「ええっ!、全部ですか?」
「ああ。そもそもさ、帝都まで空を飛んでいけばいいだけだけだろ。」
「それではさすがに貴族としての尊厳が…」
「何言ってんの。俺たち二人の時点で尊厳もくそもないだろ。」
「…。」
「なぁ、だからいいだろ。それにミリアも楽な方がいいだろ?、絶対御者とか退屈だし。父上たちには黙ってるからさ。」
「…分かりました。交渉成立です。」
だよな、やっぱりただ椅子に座ってるだけって退屈だからな。そんなことに時間を費やすぐらいなら絶対ほかの事をした方がいい。
そしてミリアと俺は試着をする。
まぁ、俺はフリだけどな、子供の姿だし。
服を選び終わり、店員を呼んで会計を済ませる。
「お買い上げありがとうございます。大銀貨5枚、金貨4枚となります。」
スクエアに貯めていたお金で払う。
「これでいいか。」
「はい、ちょうどです。ありがとうございます。」
「すまない、試着室で着替えていってもいいか?」
「はい、大丈夫です。」
「そうか、ありがとう。」
試着室で出席するための服を着て、着てた服と残りの服をパールに渡す。
「ミリア、脱ぎ終わった服は貸してくれ。」
「分かりました。」
試着室の中から脱いだ服が手渡され、もう一度自分の試着室に戻る。
(パール、これ収納しておいてくれ。あと指輪を渡してくれ。)
(了解。しかしこの大きさではスクエアに収納できませんから、避難船に収納する必要がありますね。)
その言葉を聞きながら指輪をポケットにしまう。
(ならどっか人気のない山奥でしまっといてくれ。それが終わったら早く俺たちに合流するように。)
(了解。)
すると、パールは魔法陣を展開して転移で消えた。
俺はサイキックで服を動かし、幻術を組み合わせて完璧な男性の姿を作り上げる。
サイキックは無属性だが、これは魔力を物に通すのに適性が問われる。ちなみに適正関係なしに、魔力で物を包んで操ることもできる、少し雑になるが。
試着室から出ると、ミリアも出てきた。
「さぁ、行こうじゃないか。そろそろいい時間だし。」
「はい。」
店の外に出て、衛兵が立っている建物を探す。
ん~、人が多いな。子育てには向いてない街だな。酔っ払いとかも普通にうろついているし。
すると、馬車が門の前に止まって大勢の人が建物の中に入っていているのが見えた。
もしかしてあそこか?、なんかいい服を着てるやつが多いし、ビンゴっぽいな。
「ミリア、たぶんあそこかな?」
「おそらくそうだと思います。貴族の邸宅にしては警備が厳重すぎます。」
「じゃあ、招待状を取り出すか。」
指輪をポケットから取り出し、魔力を流し込む。空中で招待状と仮面をキャッチする。
「いいか、ミリアはサナ・シュミー、俺はラウドだからな、間違って名前を呼ぶな。あと、敬語も使うなよ、古い友達っていう設定で行くから。」
「分かりました。」
「じゃあ、これが招待状だ。仮面は持っといてくれ。」
いろいろと準備を済ませていると、パールが転移ではなく、普通に帰ってきた。
(任務はやり終えました。)
(ご苦労。ナイスタイミングだ、これから潜入するんだ。)
(そうですか。楽しんでくださいね。)
なんだ、こいつ。物わかり良くなってないか?、なんか怖いわ。
(言われなくても。)
門の方へと向かっていく。




