社長がうちにやってきた!
コンコンッコン!
微妙なリズムを付けて俺の部屋の扉がノックされる。
普段からカギをかけていないので、よく遊びに来る山岸や工藤さんはノックも無しに開けてくる。
だとしたら、誰だろうか?
「はぁい。」
俺は座っていたベッドから立ち上がり、入り口へ向かう。ほんの6歩の大移動だ。
「はい?」
「よ!ジャコ!遊びに来たぞ!」
「社長!こんな日の高いうちから活動してるなんて珍しいですね。」
「ま、学校は最近行ってないからな。」
・・・この人、何回生なんだろう?同じ大学らしいけど・・・。
「そうなんすね~。ま、散らかってますがどうぞ。」
「・・・ホントに散らかってるな・・・。」
「自慢じゃないっすけど、ほんの数日前までぶっ倒れてたんで。」
「おぅ、それ聞いたぞ?大丈夫・・・じゃなかったんだよな?」
「えぇ、唇の皮が一気に全部剥けて楽しかったですがね・・。病院行くまでが地獄でした。」
「そんなんで、よく病院行けたな・・。」
「・・・殆ど記憶はないです。よく保険証持って行ったと思いますよ。」
「・・・マイナンバーカードな?」
「いえ、まだ俺、マイナ保険証にしてなくて、今度持って行く約束したんですがね・・・。治ったんで行ってないっすわ。」
まったく、学生にあれこれ動けって言っても、行動範囲が限られえているから難しいんだよな・・・。携帯で出来ればいいのに・・。
「それはそうと、牛丼、買って来たぞ?食うだろ?」
「え、良いんすか?頂きます!」
社長が勝ってきてくた牛丼は、汁が多めだったのだろうが、全てコメに吸収されていて・・・。牛丼は店で食うに限るなって思えた。
その後、貧乏学生が好んでプレイする中古のレトロゲームで対戦を、数時間ぶっ通しでプレイした。
夕方になると山岸ものそっと現れ、3人で対戦を回す。
夜になると、俺はバイト先のゲームセンターへ行く事になったので、社長と山岸も一緒に出勤。店にはいつものメンバーが揃っていたのだが・・・。
「あれ?工藤さんが対戦してますね。相手はだれだろう?」
「あぁ、お前がぶっ倒れてた間に住み着くようになった海老名だよ。」
「海老名?」
「・・・本名は知らんけど、海老名のナンバープレートが付いた車に乗ってる・・・。」
「海老名って・・・地名で呼んでやるなよ・・・。しかし、車を持ってるとは・・・、奴は富豪か?」
「中古のセダンだがな・・・。俺たちからすればリッチマンだ。」
大学生で車を乗り回すなんて・・・。しかもゲーセンで遊ぶ金まで・・・。正直羨ましい!
「お、対戦おわた。工藤さんの勝ちみたいだな。」
大戦が終わっても、CPUと戦っているため、勝者だとわかる。
「いやぁ~。工藤さん、やっぱ強いっすね~。」
海老名は眼鏡をかけたコミュ力が高そうなやつだった。
「あれ?店員さん?初めて見た。」
「あぁ、どうも。そこの大学通ってます麝香です。ジャコって呼ばれています。」
「ああ、どうも。俺の事は海老名って呼んでください。」
おおい!本名は隠すのか?わざと海老名なのか?
ちぃ!社長にしろ、海老名にしろ、本名を尋ねるタイミングを逃してしまったじゃないか・・・。
ま、問題ないがね。




