表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
T・F・U物語  作者: 狼眼
53/53

今までの人生で最大のピンチ!

そう、ボルダリングは、楽しかったんだ・・・。

筋肉が多めの体の為、体重が重く、指先がちぎれそうに思えたが、楽しめたんだ・・・。


折角なら、もっとやりたかった・・・・。


俺は今、病院のベッドに横たわって点滴を受けている。

なぜって?


それは5日前、体調が悪くなったんだ。

最初は風邪だろうと思って、ボルダリングジムに行かずに部屋で寝ていたんだ。

すると次の日、喉が異常なほど痛み出したんだ。


咳をすると激痛が走る・・・。痛いのは得意ではないんだが・・・。


それでも、いずれ治るだろうと自分の部屋に戻って寝る事にしたんだ。

同室のメンバーにうつすと嫌だしな・・・。


しかし、部屋に戻っても食い物は無い。

だから、朦朧とした思考のまま食材を買って帰った。

どうやって帰ったかも覚えていない。


次の日、喉だけではなく、口の中も痛くなった・・。

折角買ってきた食材も、痛みで喉を通らない・・・。ま、そもそも料理も出来ないが。


更に次の日の朝、鏡を見ると、唇まで真っ白になっている。

俺の顔ではないみたいだ・・・。

口の痛みが強くて、空腹感は無い。

口を開けると、唇が引っ付いていて、強引に剥がすと血が出てきた。


イメージしにくいかもしれないが、皆も経験があるだろう。

口内炎や口唇炎。


白い粒が出来て、やたらと痛いあれだ。


あれが、唇から喉の奥まで、隙間がないほどに埋め尽くされていると思ってくれ。


唾をのみ込むのも辛いんだ・・・。

動くのも辛い・・。


そして今日、山岸から来たSMSに返信がてら、今の症状を伝えると、『病院に行け』と、至極まっとうな意見が返ってきた。


・・・そんなことも思い浮かばなかったとは・・・・。


で、俺は、グロテスクな唇を隠すためにマスクをして、医者に向かった。

2日前よりは、まだ頭がはっきりしている。

水分補給は辛うじて行っていたが、腹は減っていない・・。分からないだけだと思うが・・・。


病院につくと受付をする。

保険証の代わりに、例のカードを提出する・・。


隔離された部屋で、熱を測る・・・。38度7分・・・微熱だな。


隔離部屋の扉が開き、看護婦さんが呼びに来てくれた。


「ジャコウ?さん?診察室へどうぞ。」


声を出すと痛いので、頷いて反応する・・・。しかし、名前を呼ぶときに、?を付ける様な言い方をされると、もやもやするな・・・・。間違えられなかっただけましだが。


診察室では、マスクをした医者が色々質問してきた。

こっちの喉の痛さも知らないくせに。


「ジャコウさんどうしました?」

「・・・くちが、・・いたくて。」

「ほう、いつ頃からですか?」

「4、5・・・・にち、前。」

「はい。じゃ、ちょっと見てみようか。マスク外して?」


俺がマスクを外すと、医者が一言。


「あぁ、痛いね。」


いや、感想それだけ?医者ってすげぇな!こんなグロテスクな唇見ても、一言で終われるんだ。

つまり、今までに診たことがあるのか、知識で分かっているのか・・・。半端ないな。


「はい、口開けて・・・無理しなくていいからね。」


もちゃ・・・って音がしそうな感じで口を開ける。

痛い、たぶん今、血が出ていると思う。


「うぁ、すごいね。ヘルペスまみれ・・・。これは痛いわ。食事出来ないでしょ?」

「・・・あぃ・・・。」

「喉の奥まで真っ白だ。・・・はい、いいよ。」


痛みをこらえて口を閉じる。


「じゃ、そこに寝て。」


医者は、横にある処置台を指して寝る様に言ってきた。

寝る?


とりあえず横になる・・・。


「はい、横向いてね・・・。」


看護婦に力づくで横を向かされた。


「・・・ズボン、おろしといて。」


!ちょ!今なんて?


看護婦は、手際よく俺のズボンを太もも辺りまで下げる・・。

横を向いている為、辛うじて俺の俺は見えない状態だ・・・。

ま、こんな体調では、主張することなく大人しい俺だったのだが。


は!まさか、尻に何かを埋め込まれるのか?

いや!恥ずかしい!!


「はぁい、チクってするよ?」


医者は、言葉を言い終わる前に、俺の臀部に注射針を突き立ててきた。


「筋肉注射だからね、ちょっと痛いかもね。」


注射針から注入される薬品が、俺の尻の筋肉を圧迫しながら注ぎ込まれる。

正直言って、今までで一番痛い注射だった。


「よし、少し点滴しておこうか・・・。」


俺は看護婦に、ズボンを上げられ、台に乗せられたまま隣のスペースに持っていかれた。


で、今である。


左腕に繋がる白い管が、何か分からない液体を送り込んでくる。

尻の注射を考えれば、爪でひっかいたような痛さしかない。


ポタリ・・・ポタリ・・・。点滴の水滴を眺めていると、いつの間にか眠りに落ちていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ