今日は豪華ディナー
ふと思い立って出かけたパチンコ店で、月間の収入の3倍の金を財布に収めた今、俺は万能感に覆われていた。
今なら、なんでもできる気がする!
いや、授業に出る以外なら何でも出来そうだ。
朝一でスーパーに出かけ、開店前までの時間つぶしのはずだったのだが、予定が狂ってしまった。
よし!今日は贅沢をしよう!
いつも通っている業務用スーパーへ出向くと、肉のコーナーに向かう。
・・・なにこれ?ステーキ肉ってこんなに高いの?
頭の中で、今月の支払いの計算を行う。
え~、滞納している家賃3か月分を払って・・・。麻雀の負け分・・・。
あれ?8500円しか残らない?
意気揚々と買い出しに来たにもかかわらず、余りの残金の少なさに愕然とした。
ステーキ肉なんか買っている場合じゃないな。
でも肉は食いたい・・・。という事で、鳥肉を購入する事にした。鶏肉もチキンステーキにすれば、十分満足できるだろう。
鶏むね・・・1Kg
つくね・・・1Kg
ソーセージ・・・1Kg
ん~。肉ばっかりだ。しかし、小分けして冷凍しておけば、暫くはもつだろう。
で、ねぎを買って、白菜を買って・・・あれ?鍋になりそうな・・・。
買い物をしながら目的が分かってしまう事は多々あるが、今回はやたら肉肉しくなってしまった。
部屋に帰り、寸胴鍋に寄せ鍋の準備をする。まずは白菜をちょうどいい大きさに切り、鍋にぶち込む。まぁ、白菜さえ入っていれば、鍋っぽくなるものだ。
で、次に。ソーセージの袋を開ける。そこである考えが頭をよぎった。
あれ?鶏むね肉とつくねを冷凍庫に入れたら・・・。あれ?場所ねぇな。
「で、気付いたらこうなっていた・・と?」
「そうなんすよ。どうです?少し食っていきます?」
鍋が仕上がりそうな頃に遊びに来た舛添さんに、ソーセージしか見えない鍋の説明をしておいた。
「これ、鍋って言うかソーセージじゃん。」
「何しろ1Kgですからね。」
「白菜が無いじゃん。」
「ソーセージに押しつぶされています!」
とりあえず部屋にあがってきた舛添さんに、ソーセージを入れた器を差し出す。
「・・うん。ソーセージの油と塩味で・・・ポトフみたいになってる。」
「あ、それも良いですね。」
「って言うか、肉2Kg入れたくらいで冷凍庫がいっぱいになるのか?」
「そうなんですよ。色々入っていて・・・。」
舛添さんは立ち上がって冷凍庫を開ける。
冷凍庫の中には、つくねと小分けにした鶏むねが所狭しと詰め込まれている。
「ジャコ、こういう霜は早めに取っておかないと、氷の塊になって取れなくなるぞ?」
「ええ、時々取ってるんですけど、だんだんと大きくなっていくんですよね。」
「ん?ジャコ、これ何?」
冷凍庫を探索している舛添さんが怪しいものを見つけた様だ。
「・・・これは・・・鏡餅っすね。」
「・・餅って、冷凍するの?しかも鏡餅をそのまま?」
「実家から送ってきた奴なんですけど、食う機会が無くて・・・。」
「・・・ミカンと・・・スイカ?・・干からびてる・・・。」
「やばい色してますよね。」
「・・・捨てろよ。」
「・・・そ、すね。」
とりあえず、ミカンとスイカはゴミ箱へ旅立った・・・。




