あっという間に部屋に戻ってきました
「ありがとうございました。」
帰りも送ってくれた舛添さんにお礼を言って、車から荷物を取り出した。
「来週は、ボ研の新年会があるから準備しておけ。」
「準備とは?」
「・・・ここだけの話。一発芸だ。」
「この時代に、一発芸?平成っすか?」
「ボ研の伝統だ。できない奴は一気飲みでも良いぞ?」
「はぁ、考えておきます。」
舛添さんは、車を駐車場に停めに行った。
さて・・と。
俺は荷物を持って部屋に入る。
2週間ぶりに部屋に入ると、少し湿ったような匂いがした。
窓ガラスの結露が激しいようで、窓枠がかなり濡れている。このせいで湿気が多くなっているのだろう。
俺はとりあえず、荷解きをして、お土産を一つ取り出した。
大家さんに持っていくのだ。
「こんばんは~。」
「・・・はぁ~い。・・・あら、麝香君、帰ってきたんだね。」
「はい、福井県のお土産を持ってきました。」
「あらあら。ありがとう。これは?」
「これは、へしこって言います。魚の漬物みたいなもんで、米糠をちょっと取って焼いてもいいですし、刺身でも行ける感じですね。日本酒に合いますよ?」
「へぇ、そうかい。じゃぁ、頂こうかね。」
相変わらず筋肉質の体に、ピチピチのTシャツを着ているので、目のやり場に困ってしまうのだが、体に自信がある人はあまり気にしない様だ。
「そう言えば、こっちは雪が降らないんですね。」
「そうだね。降ったとしても3cmくらいかね。基本的に乾燥するから、加湿器を使う人もいるけど、あんたは大丈夫そうだね。」
「そうですね。では、今年もよろしくお願いします。」
「はいよ、よろしくね。」
こっちの方は雪が降らないのか・・・。まぁ、毎年ちょっと積もるだけでもニュースになってるしな。
その後、ゲーセンのおばちゃんと社長にもお土産を持っていき、あいさつ回りは終了した。
部屋に戻る前に、コンビニでジュースを買ったので、冷蔵庫に入れる。
1人用の冷蔵庫だが、かなりの量が入りっぱなしだった。
冷凍庫には、年末に送られてきた鏡餅・・・飾ってなかったな。
冷蔵庫には、チーズと調味料類、あと・・・夏から定位置にいる生卵・・・。ちょっと触りたくないな。
少しだけ考えて、生卵はスルーした。
「一発芸か・・・。」
俺はベッドに寝転ぶと、新年会について考えていた。
ここは、ちょっと得意な手品でもするか・・。しかし、俺の手品はテーブル手品がメインで、芸として見せるには華が無い。
って言うか、今の時代に飲み会で一発芸なんて、何やればいいんんだ?
考えがまとまらないまま、寝落ちしてしまった。
「お、帰ってきたな!」
朝一で扉が開いて山岸が入ってきた。
「・・・ふつう、寝ている所に無断で入って来るか?」
「いいじゃん、どうせ暇なんだろ?ほら、土産だ。」
うなぎパイか・・・。これだけは、包装紙だけで中身が分かるな。
お返しに俺も土産を渡す。
「ほれ。こっちも菓子だ。」
「なんだこれ?」
「羽二重餅。柔らかい餅のお菓子だ。」
「ほほぉ。あとで酎ハイに合わせるか。」
「・・・いや、アルコールには合わないと思う。お茶にしておけ。」
「そか。」
俺たちはそのままゲームをして昼過ぎまで過ごすことになった。




