あっという間にクリスマス
気が付くともう年末。
あちらこちらでクリスマスソングが流れ、賑やかなムードになっている。
クリスマスムードと全く関係ない俺にはどうでもいいイベントではあるが、なぜかそわそわしてしまう。
そんな中、実家の親から電話がかかってきた。
「弘、年末は帰って来るんだろ?帰りは電車か?」
「うん、帰るけど、先輩と一緒に車で帰る予定。」
「そっか。気を付けて帰っておいで。」
「分かったよ。じゃ。」
夏の間は合宿やら何やらで実家には帰らなかったが、年末年始は何もないため、実家で過ごす方が金が減らなくていい。
大学の休みは1月の後半まであるから、約2週間は実家暮らしになる。
それまでにやっておくことが有るんだが・・・。
「日雇いバイト?」
工藤さんが実家から送られてきたリンゴを1個、俺に渡してきた。
「あ、いただきます。」
「いや、それは良いけど、何で今更日雇いバイトなんだ?」
「実は、帰る旅費は有るんですが、戻ってくるための金が無いんすよ。」
「親に貰えばいいじゃん。」
「いや、そこまでは甘えられないって言うか・・・。」
「まぁいい。んなら、あれだな。宅配便やってみっか?」
「でも、俺、免許持ってませんよ?」
「そうじゃないんだ・・・。」
工藤さん曰く、深夜の荷物分別のアルバイトらしい。
22時に厚林駅前に集合して、バスでお出迎え。白猫宅配便の集荷場へ連行される。
その場で各コースに分けられ、トラックを待ち受ける。
トラックからは荷物が詰められたコンテナが降ろされ、その荷物をベルトコンベアに乗せていく。
「ま、筋肉と持久力が有ればだれでも出来る仕事だ。」
「それで、日給12000円なんですか?」
「あぁ、楽だろ?」
俺は、工藤さんに教わった通り、厚林駅の駐車場で21時45分に駐車場で待っていた。
・・・あれ?あっちの方にいるバス・・・違うよな?・・・10人くらいが乗り込んでいったけど・・・。まだ、5分前だし・・・。
とりあえず、22時までここで待ってみよう。
・・・あれ?21時57分にはさっきのバスは出発している・・・。まだだよな?
・・・もう22時10分なんですけど・・・・。
どうやら、さっきのバスが白猫のバスだったみたいだ。
どうしよう・・・。
とりあえず帰るか・・。
俺は、駅に戻り切符を買う事にした。
あれ?街田までで終電?あれ?
どうやら、大学付近の駅までは、7駅ほど足りない場所までしか電車が進んでくれないらしい。
「終電ってこんなに早かったんだ・・・。」
とりあえず、街田までは行こう。
そう考えて電車に乗り込んだ。
7駅か・・・。どうする?歩くか?
電車に揺られながら考えたが、歩く以外の選択肢が無いように思えた。
始発まで駅で待って、始発で帰るっていう手もあるが、とりあえず布団で眠りたい。
電車を降りた俺は、大学方面の方角を見定め、歩くことにした。
とりあえず、駅前にあるコンビニでおにぎりとお茶を買い、腹を満たす。
さぁ、楽しい夜間遠足の開始だ!
・・・って、なんてクリスマスだ・・・。涙が出てきた。




