地獄の自己紹介
「え~、前田 隆哉です。身長183㎝、香川出身です!え~、おれは筋肉の付きが悪いけ、がんばって肉体改造していきます。ヨロシク!」
前田にもジョッキが渡された。
「カンパーイ!!」
「「「「「カンパーイ!!」」」」」
流石に2杯目のジョッキはきつい。最初に飲み始めた熊田と俺、どっちが多く飲んでるのだろう?
・・・ジョッキ確定だろ!
「渡 雄二です。富山出身です。今日はます寿司持って来たんで、みんなで食べてください!」
「悪いね。あたしの好物なんだよ。」
大家さんがます寿司を預かると、早速小分けにしていく。
「カンパーイ!!」
「「「「「「カンパーイ!!」」」」」」
渡もジョッキを一気に空けた。俺は3杯目・・・。もう、下を向くと何かがこぼれ出そうになっている。
「俺は高岡 学っす。東京足立区出身っす。がんばります!」
・・・何を!
「カンパーイ!!」
「「「「「「「カンパーイ!!」」」」」」」
もう、やけになってきた。注がれたビールは、3割くらいは口の脇からこぼれて、俺のシャツを濡らしている。・・寒い。
「最後ですね。清松 颯真っす。工藤さんと同じ地域、だと思うんですが、弘前ですよね?」
「あぁそうだよ。もしかして実校?」
「そっす。実校出身す。よろしくお願いします。」
「なんだ、工藤の後輩か!だったらこれだな!」
清松には、ビール瓶が1本渡された。
「これ、このまま飲むんですか?」
「?ピーナッツ入れる?」
「いぇ、このままでいいっす。」
「「カンパーイ!!」」
「「「「「「「「カンパーイ!!」」」」」」」」
流石に清松だけは一気飲みは難しいようで、なかなか終わらない。
「さ、自己紹介も終わったから、食べようよ!」
「大将!いただきます!!」
「いただきます!!」
いつの間にか大家さんが、鉄板で肉を焼き始めていて、すごい煙といい匂いが漂ってきた。
「舛添さん、地元一緒なんですね。どのあたりですか?」
「ん?俺は、京都の手前辺りやな。麝香は?」
「俺は、港のある所です。ちょっと遠かったですね。」
「まぁ、よろしく!長期休暇で実家に帰る時は、一緒に車で帰ろっさ。高速代とガソリン代を折半で。」
「あ、良いっすね。よろしくお願いします!」
舛添さんが、ジョッキを差し出してきて乾杯する。
あれ?いつの間にコップからジョッキにかわった?
「所で先輩。ここのアパートは、ガタイがいい人が多いっすね。」
「そりゃそうだろ。そういうアパートなんだし。」
「?不死身荘がですか?」
「強そうな名前だろ?」
「強そうって言うか、ゾンビみたいな・・。」
「ははは、そうか、そうだな!」
「で、なんで、大家さんまで体格がいいんです?」
「それはな?・・・。」
ふと、背後に気配を感じて振り向くと、大家さんが満面の笑顔で迫って来ていた。
「それはな、このアパートは代々、ボ研専用のアパートだからさ!」
「募金?」
「ボ研。」
「なんすかそれ?」
「お前、それを知らないでここに来たのか?」
「いえ、学校の先生が薦めてくれまして。」
大家さんがあごに手を当てて考える。
「その先生の名前は?」
「白崎先生ですが?」
「白崎君か、懐かしいな。先生になったのか~」
「もしかして?」
「もちろん、白崎君もボ研だったからね。体格良かったろ?」
「・・えぇ、やたらと筋肉にこだわっていたかもしれません・・・。」
どうやら俺は、高校の先生にはめられたようだ。
俺もボ研とやらに入らなければいけないんだろうか?
俺が夢にまで見たキャンパスライフは成就するのだろうか?
・・・で、結局、ボ研ってなんなのさ。




