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T・F・U物語  作者: 狼眼
30/53

朝もやの中で

朝・・・5時・・・。


5時ってまだ夜じゃね?って思っていたが、案外明るくて驚いた。

普段、こんな時間に起きないし・・・。春に轍マンした時はまだ暗かったし・・・。


日頃の蒸し暑さを感じさせない爽やかな風が吹いている・・・。眠くなければ最高なのだが・・・。


俺たちは、眠い目をこすりながら、最強線に乗り込み、数駅を数えて下車する。

そのまま駅の外へは出ずに、別のホームへ向かう。


赤紫っぽい色を目指して・・・最強線の次は、K・O線に乗り換える。

乗ったと思ったらすぐに下車・・。あっという間に兎田駅に到着した。


「こんな朝早くから競艇場ってやってるんですか?」

「いや?10時くらいまで開かないさ。」

「・・・まだ、太陽が見え始めた頃っすよ?何すんですか?」

「ボートに乗るんだろ?」

「乗れるんすか?」


こんな朝早くから何があるかと思えば、どうやらボートに乗ることが出来るらしい。

これもボ研の活動の一つなんだろうか・・・?


俺たちはぞろぞろと列をなして歩き、兎田ボートレース場に到着した。


「うぁ~。思った以上にデカくてきれいですね~。」

「ここにはあんまり来ないけどな。」


双又先輩があくびを噛み殺しながら教えてくれる。


「ほら、あっちの所に小屋みたいのが見えるだろ?今日はあそこでボートに乗るぞ。」

「マジすか!楽しそうですね!!」

「・・・だと良いな。」


あっちの小屋・・・って、かなり遠いんだが。兎田ボートレース場からどんどん離れていく・・・。

だが、ボートレース場から続いているプール?みたいなコースが、まだ続いているから、きっと問題ないだろう。


・・・・かなり歩いたな。あっちの小屋が、予想以上に大きくて、小屋でない事が分かった。



「よぅし!到着!!今からボートに乗るぞ!!」

「「「おー!」」」

「え?・・・ボート・・・え?」


ボートはボートでも、手漕ぎボート?オリンピックとかでちらっと見たことが有るけど・・・。

こんなのに乗れるのだろうか?


「今日は、人数もいるから、エイト1艇、フォア1艇とシングル2艇で行こうか。」

「「「はい!」」」


・・・って、乗った事が無いんですが?いきなり乗って大丈夫なの?


3年、4年の先輩方はエイト?という9人乗りの艇に乗る様だ。エイトとは、漕ぎ手の数で、コックスと呼ばれる総舵手が先端の隙間に入り込んで艇を操るらしい。


2年の先輩方は、俺たち1年の面倒を見てくれるようだ。


「よし、バランス感覚に自信があるやつ!」

「・・・・。」

「だよな。じゃぁ、じゃんけんで決めっか!」



そうして俺は、真っ先に負け抜けた・・・。


「まずフォアのメンバー。こっちな~。」


先輩方のエイトを見た後だと、小さく見えるが、小さく見積もっても10mは越える長さだ。その長さに対し、幅は細く、成人男性が一人座って、少し余裕がある程度・・・。50cmくらいだろうか。

そんな細長い艇がさかさまになって置かれている。

フォアはエイトと同じようにコックスが付いており、5人で乗り込む。

そして、身長の倍はありそうなオールで艇を漕ぐのだという。


舛添先輩がフォア組を連れてコースへ向かう・・・。ものすごく重そうな艇を4人で担いで水の上に浮かべる。


陸とは反対側にオールが2本、陸側にオールが2本・・・転覆しないのだろうか・・・。



「よし、スカル組はお前らだな?」

「スカル?・・・シングルじゃなかったでしたっけ?」


工藤さんはニカッと笑っている。


「はは、この船はシングルスカルって言うんだ。一人の利用の艇だ。」


エイトやフォアと違って、小ぶりの艇だが、それでも7mくらいはありそうだ。そして身長の1.5倍ほどのオールが2本!

そのシングルスカルが、木の台座・・馬と言うらしいが、その馬の上に乗せられている。


「工藤さん、これって、公園のボートとは違うんですね。」

「そうだな。一番の違いは、座る場所、シートが動くって事かな。」

「工藤さん、靴が引っ付いてますよ?」

「これはストレッチャーと言って、漕ぐ力を船に伝えるために足を固定する場所だ。もし転覆したら、靴を脱がないと、船から離れられないから気を付けろ?」

「・・・乗りたくないです。」


そこから工藤さんは、俺の話を無視して色々説明してくれた。


「シングルスカルは2本のオールで船を漕ぐ。ただ、持ち手・・・グリップの部分が拳1個分以上重なるんだ。漕いでいる最中にバランスを崩すと、手の甲を爪でえぐることになるから気を付けろよ?ちなみに、フォアやエイトの場合、タイミングがずれると、前の人の背中にオールを突き立てたり、オールを水から抜くのが遅れると、腹きりといって、オールが自分の腹に食い込んで大変な事になる。その点シングルスカルは1人だから気楽だな。」

「工藤さん、ボートって、安全なんですか?」

「・・・今が夏で良かった。冬なら・・・落ちたら終わりだ。」

「・・・・。」

「ま、そうそう落ちないよ。気楽に行こう!」


シングルスカルは一人ですべてを行う必要が有るので、艇も一人で運ぶことになる。

俺は、そっと艇を水面に置くと、オールをセッティングした。


「いいか?乗り出す時は、2本のオールを片手で持つんだ。片足は、シートの間にある板の上に乗せて、軽く陸を蹴りだしながら、素早くシートに座るんだ。俺も艇を持ってくるから、とりあえず乗ってみ?」


オールを固定し・・・片足を乗せて・・・蹴りだす!



工藤さんが艇を持って到着したころ、俺は水の中に居た・・・。

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