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T・F・U物語  作者: 狼眼


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ネオンに誘われて

大学前の道は、そのまま駅に繋がっている。

だからという訳では無いが、結構な勾配があり、自転車で上るのは難しそうだ。

裏道では階段などもあるが、双又先輩の行先が分からなくなると困るので、指示通りに進んでいく。


少し遠くにはネオンが、まだ日も暮れていないというのにチカチカと瞬いている。


益に向かう学生も多く、殆どが自転車で駆け下りている。歩いている人は殆ど見かけない。

これは、おれも自転車を買った方が良いのではないだろうか。

本当であれば、スクーターや自動車が欲しいのだが、高校3年の夏に、母親が倒れ、手術をしているため金銭的に余裕が無かったのだ。

なので、俺の仕送りも最低限、不死身荘の家賃だけだ。

県からの奨学金と言う名の借金を合わせると、1カ月に6万円の収入がある。

そこから自転車台をねん出するのは、少々難しいのだ。


などと考えていると、坂を下り終わった所で双又先輩が手を振っている。


「こっち~。」


自転車に跨りながらこっちを見ている。


「お待たせいたしました!」

「おせぇよ。自転車くらい買えよな。」

「はぁ、鐘が出来たら買います。」

「金は出来るもんじゃねぇ!作るんだ!!ここで!!!」

「ここ?」


交差点でネオンをまき散らしているのは、この店、パチンコ店だ。


「・・作るって。俺、パチンコなんてやったことないっすよ。

「だろ?だから教えてやんよ。ほら、こっちゃ来い!」


双又先輩に誘われるがままに、パチンコ店の前に立つ。

正直言って、パチンコ店に入るのは怖い。

怖い人が居たり、店員が怖かったり・・・。ドラマで見たことあるし!


しかし、興味がない訳では無い。

あまり抵抗なく、あっさりと自動ドアをくぐった。


ジャージャージャージャージャー


入った途端にけたたましい音に出迎えられた。

特に何がうるさいという訳では無く、店舗全体が騒音に包まれている。


「めっちゃうるさいっすね!」

「え~?」

「めっちゃうるさいっすね!!」

「おお、そうでもないけどな。なんか興味ありそうなのはあるか?見てみ。」


パチンコ店の中にあるパチンコ台は、様々なジャンルがある様だ。

その中で、ゲーセンにも置いてあるパチンコ台が複数あったので、試しにやってみる事にした。

すると、双又先輩が左隣に座って、レクチャーをしてくれた。


「まず、パチンコの場合、左側の上にお札を入れる場所がある。お札はどのお札でも入るけど、最初は千円でいいな。」


俺は言われるがままに千円を機械の中に滑り込ませた。


「そうすっと、右側手元付近のデジタル表示に10って出るだろ?これは、100円単位で10個分はいってるよって意味だ。その近くにある貸出ボタンを押してみ?」


貸出と返却のボタンが有るので、貸出ボタンを押してみる。

すると、10あったデジタルが、5に減った。その代わり、パチンコ玉が機械の中から大量に出てきた。


「球が出て来たな?これで500円分の玉だ。ここは4円パチンコだから、500円で250発出てくるんだ。そして、右手の所にあるハンドルを握って、ゆっくりと右に回す。」


指示通り回してみたが何も起こらない。


「このハンドルはな?静電気を感知するセンサーが付いているから、しっかりと握って回さないと反応しないんだ。にぎってみ?」


ハンドルを握ると、急に球が飛び出してきた。


「強く打ち出しても意味がないから、機械の真ん中より少し左側を狙って・・・。そうそう、その釘の隙間辺りを狙うといい。そうすると・・。」


パチンコ玉が、コンコンと釘を跳ねまわり、真ん中の穴に入った。

すると、大きい音をたてて画面が動き出した。

画面の中では、魚が沢山泳いでいて、魚には数字が引っ付いている。

この数字をそろえればいいんだろうか?


「そう!。ここ、真ん中を狙って・・・。ほら入った。画面が動いて抽選を行っているけど、実は、この穴に入った瞬間に当たりかハズレ化は決まってしまうんだ。だから、この画面の動きの事は演出って言うんだ。」


リーチ!


昨日の麻雀で聞いた言葉が機械から出てきた。


「麻雀と同じなんですか?」

「ああ。語源は麻雀だな。あと一つ揃えば大当たりって言うのは、麻雀と一緒だしな。」


場面がピカピカ光りながら魚が動いている。


「これ、当たるんですか?」

「ん~。30%」

「低い!」


と言っている間にリーチが終わってしまった。


「これを繰り返して、当たりが出たら一番下のここが開くから、球を入れる。そうすっと球がジャンジャン出て来るってわけ。で、万が一大当たりして、球がいっぱい出てきたら、手元のレバー。今球が入っている場所のしたな?そこのレバーを引くと、穴が開いて箱に球が入る。箱がいっぱいになったり、球が有る状態でやめたくなったら、機械の上にある呼び出しボタンを押せ。金が亡くなったら帰ってもいいぞ?」


双又先輩は、俺へのレクチャーが終わると、自分の台を探しに行ってしまった。


俺はその後あっという間に大当たりを引いて、連続で大当たりになった。

これは後から聞いた話だが、パチンコの大当たりが連続して当たる事を、麻雀用語を使って連荘と呼ぶらしい。


5回目の大当たりの後、急に当たらなくなったので、スタッフを呼んで終了してもらった。

機械で球を数えると、約1万2千発の出玉があり、その玉数に応じたプラスチックの小箱を貰えた。


「これって何ですか?」


店員に尋ねると。


「皆さん、それを持ってあちらの出口から出て行かれますよ?」


・・・日本語のやり取りをしようぜ。と思ったが、ちょうど同じ箱を持ったおじさんがいたので、後をつける事にした。


おじさんは、出入口を出て、左側へ。細い路地に入っていった。

・・・怪しすぎる・・。


しかし、見失う訳にはいかないので、おじさんに続いて路地へ入る。

すると、パチンコの壁に小さな小窓が空いていて、おじさんはそこに箱を居ていた。


裏取引か?


数秒の間をおいておじさんは何かを胸元に隠した。


更に怪しい。


おれも同じように、小窓に箱を置いてみた。すると、その箱を置いた板が中の人によって取られてしまう。


「あ・・。」


思わず声が出てしまったが、小窓にはレジの様なデジタル表記の画面が見えるようになっていた。

気が付くと、そのデジタル表記が変化して、46,200円と表記されていた。


一体何のことだろう。

と思ったら、小窓からお金がせり出してきた。


貰って良いのだろうか?


恐る恐るお金を取ると、そのまま財布にしまい込んだ。

双又先輩はまだパチンコを打っている様なので、俺はそのまま駅前の店に駆け込み、自転車を手に入れた。

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