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T・F・U物語  作者: 狼眼


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17/53

轟け役満!

夜のバラエティー番組をBGMにして、俺たちの麻雀は静かな戦いを繰り広げていた。


「仕方ねぇ、リーチだ!」

「工藤さん、7巡目で仕方ねぇは無いでしょ?」

「マジっすか!早すぎですよ。」


現在、工藤さんが3連荘目。つまり、親の状態で3回連続で上がっているという事だ。

ただ、早さ重視なのか、役が安かったため、大きなダメージは受けていない。


渡は工藤さんが捨てた牌を見て、同じ牌を捨てた。


「降りたか・・・。」


自分が捨てた牌で相手から上がることはできない。いわゆる「フリテン」と言う奴だ。

ただ、例外があって、自分で自摸ってきた場合は普通に上がれるのだ。

だから、渡は自分の形を崩しながら、工藤さんにあたられない様に逃げたのだ。


しかし、俺は違う!

何と言っても、今回は手牌がものすごくいい。


麻雀を詳しく知らない人でも、役の名前くらいは聞いた事がある、かの有名な「大三元」という役満。

この役が、俺の手牌の中で完成しつつあるのだ。


工藤さんが親で、その他が子。親は得点が多く貰えるメリットがあるが、支払う点数も多くなるデメリットもある。

子の俺が役満を上がると、三万二千点が貰える。自分で自模った場合は、工藤さんから1万6千点、その他2人からは8千点ずつもらえるという、とてもデカい役なのだ!


そして、今、俺は七萬を自模ってきた。

これで手牌は、五・五・六・白・白・白・発・発・発・中・中・中・東・七

字牌だけで揃えると、それはまた大きな役になるのだが、そんな夢までは追う事はないだろう。

ここで東を切れば、五萬と八萬のどちらが来ても「大三元」になる!!


東は最初に工藤さんが捨てている牌。完全な安牌だ!

東を捨てながら、自分の捨て牌を見る・・・と・・・?

2巡目に八萬捨ててるやん!!


何を考えているんだ俺・・・。これではフリテンになってしまう!!・・・待ちの形を変えなくては・・・。


頭の中でぐるぐると考えが巡っている内に、また俺の番が回ってきた。

!四萬!!これで五萬を捨てると、四萬・七萬の待ちに変わる!!

俺は期待を込めて五萬を捨てる。


舛添さんは萬子(漢数字の書いてある牌)を嫌っている様だ。既に多くの萬子が捨てられている・・・。

おい待て!既に四萬が3枚も捨てられているじゃないか!!七萬も2枚・・・。

1種類の牌が4個ずつあるのだが、俺が待っている牌の殆どが既に捨てられていた・・・。


「ん~。こねぇなあ。」


工藤さんが八萬を捨てる。マズイ・・・萬子が減っていく・・。


「この辺は行けますよね。」


渡が六萬を捨てる・・・。狙ってんのか?君ら!

いや、自力で引いてやる!!


・・・八萬・・・。五萬捨てなきゃ上がってたじゃん。

今の状態では、残って居そうなのが七萬1枚のみ。

だったら、四萬を捨てて、あと1枚ずつ残っている五萬・八萬の待ちに戻した方が良いのか?

待ちは倍になる・・・。よし。


「お、ジャコは連続で五萬、四萬切りか・・降りたな。」


降りてねぇし!読み違えただけだし!

ま、そう思わせておいた方が、都合が良いかもしれない。


「ん~、無い!」


工藤さんが白を切る・・・。初めて捨てられた牌に、一瞬時間が止まった。ま、俺が残りの3枚持ってるから、初めてなわけなんだけど。


「安牌!」


渡が八萬を切る・・・。

八萬!!!!今ここでか!!


自分で切ってしまっているから、渡から上がることはできない。

悔しいが、ここは無表情で・・・。


で、俺は自模ったのは。七萬・・・。

多分、俺は呪われている・・・。


今、待ちを変えても、牌は残っていない。かといって、このまま戦っていても、五萬の1枚待ち・・・。

待ちがあるだけ良しとしようか。


俺はそのまま七萬を捨てる。

舛添さんが続いて三ソウ(竹の本数で数字を作っている牌)を捨てた。


「ポン!」


渡の発言で一瞬驚いたが、工藤さんの順番を飛ばせた事に安心する。

で、渡が捨てたのが六萬・・・。俺の待ちがばれてるのか?


気を取り直して俺の自摸。一萬・・・。お前じゃない。

萬子は捨てられまくっているから大丈夫だろう。ホイっと。


「ロン!」


・・・・?え?ポン?ロン?

声を出したのは工藤さんだった。


手牌を晒しながら、役の数を数える。


「リーチ(1)、ホンイツ(3)、チャンタ(2)、ドラ(1)、ドラ(1)・・・裏は無し。親の倍満!二万四千!」

「二万四千!二万四千!!・・・・無いです。」

「はい~、清算清算!」


あの時、五萬さえ捨てなければ・・・。

後悔を背負ったまま続けた麻雀・・・。その日は一回も上がることが出来なかった。

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