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異世界に転生してものの5分で最強種とエンカウントした俺のその後の話  作者: すずき 虎々


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47.Theogony

数ある作品の中から、私の作品を見つけてくださり、ありがとうございます。

読んでいただける方に楽しんでもらえるよう頑張ってまいりました。

どうぞよろしくお願いいたします。


「ちょっとイアロ、私が人間じゃなくなってるってどういうこと?」


 私は美咲に別れを告げ、天界に戻っていた。

 当初は魔素がなくなれば魔法は使えないという話になっていたが、なぜかガエルが出てきた辺りから、再び魔力の巡りを感じ、使ってみたら問題なく使えてしまったので、普通に転移で帰ってきていた。


「キラさん、ガエリアを倒した時のレベルアップで、進化(神化)しちゃったんでしょうね。でも、完全な神ではないですよ、まだ。」


「まだって……。このまま地上で暮らしても良いの?」


「今はまだ完全じゃないから、下界にいても目立たないでしょうけど、完全に神化したら、色々と面倒ですよ、下界での生活は。崇められるし、奉られるし、巻き込まれるし、巻き込まれるし、巻き込まれるし……。」


「なんか、そこだけやたらと実感こもってない?」


「まぁ、色々ありましたからね……。」


「ところで、目立つってどういうことなの?」


「あぁ、キラさん神を地上で見た事なかったですもんね、端的に言うと、神って皆、下界に降りると、すごく光るんですよ~。」


「光るって、比喩的な表現としての光るじゃなくて、現象として発光するってこと?」


「そうです~。しかも、キラさんは、今はまだ見えないくらい薄いので大丈夫ですけど、本格的に神化すると、ほら、コレ、出てきますから。」


 イアロはそう言いながら、自分の頭の上でぼんやりと光っている天使の輪を指さした。


「あぁ、天使の輪が出てくるんだ。」


「ちょっと!キラさん!!それは聞き捨てなりませんよ!!! コレは、天使の輪じゃありません、神の聖輪です~!あんなのと一緒にしないで下さ~い!! プンプン。」


「そんな怒んなくてもいいじゃん、地球というか、日本では、それは“天使の輪”で通ってたから言っただけで、別に深い何かを考えて言ったわけじゃないから。あぁ、あれかな、その神の聖輪には葉っぱみたいな模様がついてるから、性能が高いとか、そういう感じかな?」


「これはただのアクセサリーみたいなものです~! あ、そうだ、もう一つありました。キラさんが完全に神化すると下界では強く意識しないと、地面を歩けなくなります。浮いちゃいます。」


「浮く?」


「そうそう、浮いちゃいます。フワフワと。」


「スカートの中覗かれ放題ってことか。」


「あぁ、そういう感覚もなくなりますね、気にならなくなると思います~。」


「そうなんだ。まぁ、私の場合、今でも元がおっさんだから、パンツ見られても「きゃっ!」とはならないけどね。でも、それらの弊害をクリアしさえすれば、地上で暮らしても良いってこと?」


「まぁ、ダメということもないですけど、そういう個人としての執着というか、感覚も変わってきますよ。例えばですね、今キラさんは、地上に大切だと思う存在がいるわけじゃないですか。美咲さんとかモコちゃんとか、ケイラちゃんとか、シェラちゃん、神獣モコちゃん、他にも関わった人皆が、キラさんにとっては大切な人じゃないですか。でも、神化すると、そういう感覚がなくなります。大切じゃなくなるとか、そういうことではなくて、合理的な考え方になるというか。」


「もともと合理的な考えの方だから、いまいち弊害を感じないな。」


「じゃあ、例えば、美咲さんが病気になって、治る見込みがないとするじゃないですか。そういう時って、人間は治るわけでもなく、病気による苦しみが緩和されるわけでもないのに、一日でも長く生きてほしい、生きていてさえくれれば!とか考えがちじゃないですか。でもそれって見方を変えると、一日でも長く苦しんでほしい、生きているという事実さえあれば、自分の精神が安定するから、私は嬉しい。でもあなた(この場合は美咲さん)がどう思っていようが私には関係ありません。と、こんな感じなわけですよ。このやり取りに、神は合理性を感じないんですよ。苦しいなら、その苦しみを取り除くことこそ神の慈愛であって、その究極の方法は“死”です。なるべく早く苦しみから解放してあげて、次の転生に備える。これがもっとも合理的な愛の形と神は考えるので、キラさんもそうなります。」


「なるほどね。美咲を引き合いに出されたことで、若干の抵抗を感じはしたけど、でもまぁ、わからないでもない。人間の苦悩って、ほとんどが自分中心の考えに基づいてるって話で、よくあるのが、知人Aが死にました、私がもしあの時ああしていたら、こうしていたら、彼は今も元気に生きていたかもしれません。からの、私のせいで彼は死んだんだ。になって、最終的には私が彼を殺した。という典型的なやつも、つまりはそういうことでしょ。皆、悲劇の主人公になりたがるヤツ。」


「本当にキラさんって神の才能にあふれてますよ。最初から言ってましたよね私。だいたいの人間は、今のような話をすると拒絶するんですよ。そして、神は非情だと言って断じたがるんですよ。私達が、どれほど苦労して魂クリーニングしてるかとか、まったく考えもせずに。って、魂クリーニングってわかります?生物には全て魂が入っていて、そこには膨大な容量の記憶領域があるんです。その記憶領域には悪い事も良い事も記憶されていて、死んだらその魂の悪い部分だけをクリーニングするんです、一つ一つひも解いて。その作業の面倒なこと…。でも、その作業をすることによって、悪い記憶を持ったまま転生することを抑止してるんです。悪い部分が一つもない魂なんて、本当に稀で、天文学的数字の確率になります。だから、大体の魂はクリーニングするんですよ。クリーニングすることで、記憶と記憶の間に空白が生まれるので、それらを繋げられずに、断片的な記憶として忘れていくんです。だから、前世の記憶がある人って本当に稀なんです。あ、話それちゃいましたね。でもまぁ、神と人間とでは根本的な考え方に違いがあるというか、人間があくまで個を重んじるならば、神は全体的なバランスを重視するんです。で、キラさんが神になったら、きっと下界で暮らすのが辛くなるはずです。」


「お互い、相容れない存在だということか……。 わかったよ、でも、このまま皆に何も言わずにってのは気が引けるから、ちゃんと話してくる。」



 私は、皆に事情を説明すべく、地上に降りることにした。

 シェラとケイラを皇都に呼んで、ルドルフ様と皇王陛下にも来てもらい、5人で話をすることにした。




 皇都の空は、どこか懐かしく、どこまでも澄み渡る空が、かえって私の心に重くのしかかる。

 天界からの転移を終えた私は、皇都の街並みを眺めながら、王城へと歩いていた。

 足元に広がる石畳の感触、風に揺れる木々の音、遠くで聞こえる市場の喧騒、そのすべてが、初めて来た頃と変わらない。

 私自身はもう、あの頃の私とは違う存在……。


「「お姉さま!」」


 駆け寄ってきたのはケイラとシェラ。

 その瞳は、何かを察しているかのように、どこか不安を含んでいた。


「二人とも、忙しいところ申し訳ないわね。」


「シェラは忙しいかもしれないけど、私は大丈夫です。中央大陸の兵達も、大分育ってきてるんですよ。」


「私だって、お姉さまに比べれば、なんてことはありませんわ。」


「二人とも、ありがとう。」


「お久しぶりです、キラ殿。」


「ルドルフ様、ご足労をおかけして申し訳ありません。」


「何を言う、キラ殿のお呼出しとあらば、いつ何時何処へでも駆けつけますぞ。」


「ありがとうございます。」


 私達4人は、そろって王城へと入城し、皇王陛下のもとへと向かった。


 今日は皇王陛下の執務室ではなく、その二つ隣の円卓のある会議室で話すことにしていた。部屋に入ると、既に陛下が席についていたが、私達が入ると、皇王陛下はゆっくりと立ち上がった。


「よくぞ、我らの元に戻られた。」


 私達全員が席に着いたのを見計らって、私は微笑みながら、皆を見渡した。


「今日は、皆に話したいことがあって来ました。」


 しばしの沈黙、皆が私の言葉を待っているのがわかる。

 私は、意を決するかのように、静かに口を開いた。


「私は……もう人間として、この世で生きていくことが難しいようです。私は先日、最高神クロノス様の要請で、冥界の結界を突破した、最強の神獣ガエリアを倒しました。そして、その件がきっかけで、私は人であれる限界を超えてしまった。神化といって、体の構造に変化が生じ、今は“神の器”のような存在になってしまったようなのです。今はまだ完全な神ではないけれど、それも時間の問題なようで、もう人として地上に留まることが難しくなってしまったのです。」


 ケイラは目を見開き、シェラは静かに頷いた。

「それって……もう、私たちと一緒にいられないってこと?」


 ケイラの声は震えていた。


「残念だけど、そういうことになると思う。神化が進めば、私がここにいるだけで、世界の均衡が崩れる可能性があるの。」


「そんな……!」


 ケイラは立ち上がりかけたが、シェラがそっと手を添えて制した。


「お姉さまは、私たちに伝えに来てくれた。それだけでも、十分です。」


「シェラ……。」


「たとえ、お姉さまが神様になったとしても、私達のお姉さまであったことが消えてなくなるわけではないし、私達のお姉さまに対する気持ちが変わることもありません。だから、どうか私達の事も、この世界の事も、なんの心配もいりませんので、安心して、天へと進んでください。」


 私は、シェラの言葉に胸が熱くなるのを感じた。

 彼女は、もう私がいなくても歩いていける。そう思えた。


「皇王陛下、ルドルフ様。私がいなくなっても、この国は大丈夫です。ケイラとシェラがいれば……。この世界をきっと守り抜いてくれます。」


 皇王陛下は静かに頷いた。


「キラとの別れは辛い。だが、神の座に至る者が、未練を残すような世界では、明るい未来は訪れぬ。我らは祝福する。キラよ、其方のことは、けっして忘れぬ、その功績は神話として語り継がれようぞ。」

 

 ルドルフもまた、深く頭を下げた。


「あなたは、国家の礎を築いた。その功績は永遠に語り継がれ……。いや、そんなことは最早どうでも良い、あなたと初めて出会った時、あなたは即座に私を信頼してくれた。私の守るべき民を救ってくれた。この国だけではない、世界中の人々に、生きる権利を与えてくれた。私はそれを絶対に忘れない。」


 私は、立ち上がり、皆の顔を一人ずつ見つめた。


「ありがとう。私は、皆に出会えて、本当に良かった。」


 ケイラが涙をこらえながら、私に駆け寄った。


「お姉ちゃん……!忘れないでね。私たちのこと……!」


「忘れるわけないじゃない。それにね、私はあなた達とは別の場所で生きることにはなるけど、ずっとあなた達のそばにいる。あなた達を見守り続ける。あなた達二人は、永遠に私の大切で、自慢の妹よ。」


 私はケイラとシェラを抱き寄せ、皇王陛下とルドルフ様に目礼した。



 私達は、その夜久しぶりにムーシルトの屋敷に集まり、皆で食事を摂ることにした。

 ベルカーさん、メイベルさん、ミラさん、マリアさん、ニャカさん、サラさん、ライト君、神獣モコちゃん、アルマンド先生、大勢で囲む食卓は、どんな高級な料理よりもおいしいと感じた。


 いつまでもこの時間が続くことを、この笑顔が続くことを、ここにいる全員の未来が明るいものであることを、祈らずにはいられなかった。






 御前2時、街中が寝静まる頃、ムーシルトの領主邸の一室から、あたたかな光が広がり、やがてその光は、静かに消えていった……。





このお話で、キラの物語は幕を閉じます。

次回からは、この数百年後のお話が始まります。

最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました。

初作品のエピソード0を無事書き終わることが出来ました。感謝の言葉しかありません。

次回からは、いよいよ本編スタートということになりますが、よければまた、読者の皆様方の貴重なお時間のほんの一部を、私にいただくことが出来たなら幸いです。

次のお話も読んでいただけるとありがたいです、どうぞよろしくお願いいたします。

最後になりましたが、この作品を少しでも気に入っていただけたなら、評価やコメントのほど、よろしくお願いいたします。(できればでかまいません、さっと読んでさっと閉じるでも一向にかまいません、読んでいただけるだけでビッグ感謝です!)

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― 新着の感想 ―
完結、おめでとうございます。 ( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆ そして、お疲れさまでした。 とても素敵な作品をありがとうございました。 次回作も楽しみにしています。 今後とも宜しくお願いいたします…
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