44.厄災-ガエリア-
数ある作品の中から、私の作品を見つけてくださり、ありがとうございます。
読んでいただける方に楽しんでもらえるよう頑張りますので、今後ともよろしくお願いします。
大変申し訳ないのですが、明日令和7年9月3日から5日までの間、仕事の都合で新規投稿が出来ないので、次回は9月6日20時の予定となります。
ここに来るのは8年ぶりになる。
白で構成された、何もない世界。
イアロの元へと念じた次の瞬間、私はこの白の世界に立っていた。
以前と違うのは、私に体があることと、ここが天界であると理解していること。
「キラさん、こうして面と向かってお会いするのは、久しぶりですね。」
「あぁ、やっぱりここでイアロと話すと、声が声として聞こえるんだ。」
「キラさんって、本当に細かいところによく気づかれますね。」
「私、昔から周りで起きてる現象が気になる質で、冷蔵庫の中身が冷える原理とか、テレビの映像が映る原理とか、もっと言うなら、そもそも冷蔵庫って言葉の生い立ちとか、テレビの語源とか、普通の人が気にならないことが気になる性質なのよ。で、例えばテレビなら、テレビジョンで、テレとビジョン、テレって遠くのって意味で、ビジョンは映像、あぁ遠くの映像って意味だったのか、とか、そのテレから派生して、テレフォンは?あぁ、遠くの音か!とか、そんなことばっかり考えてたから、周りで起きてることや、聞こえてくる話も、素直に受け入れられないというか、自分で調べて、納得できないと受け入れられない性格だから、あなたについてもとにかく文献を読み漁ったわよ。」
「私の事、何かわかりました?」
「とりあえず、本として残っているものには、あなたが昔の人達に、色々な生きる為の知恵と技術を与えた神だと書かれていたわね。」
「そうですか、でも、それってつい最近の話だと思いますけどね~。」
「まぁ、あなたたち神様にとってみれば、最近の話なのかもしれないけど、人間にとってみたら、途方もない年月だったりするのよね。それこそ、世代を跨ぐにつれて、忘れ去られたりとかね。」
「人間の皆さんって、本当にすぐ死んじゃいますからね~。うたた寝してる間に死んじゃったり、別人かと思う程老け込んじゃったり。」
「うたた寝って。まぁ、あなたたち神様からしたら、人間なんてその程度なんだろうけど。ところで、そろそろ本題を片付けたいんだけど、最高神様はどこにいるの?」
「あ、もう行っちゃいます?じゃあ、行きましょうか。」
「我の求めに応じ、よく来てくれたな、人の子よ。」
「え?突然?この方がクロノス様?ていうか宮殿的なのは?イアロこれどうなってんの?」
「キラさんどうかしました?こちらがクロノス様ですよ。最高神様です。ていうか、逆に宮殿ってなんですか?」
「いや、普通、最高神様っていうくらいだから、豪華な宮殿的なところの最奥で、いかにもな椅子に鎮座していたりとか、そういうのを想像するじゃん。あなたと同じく何もない白い空間に、突然目の前に現れるとか思わないでしょ普通……。」
「神は人が成す理に捉われぬ。しかし、其方も人の理から外れた者なり。」
「はぁ。ていうか、私、さっきから普通に話しちゃってますけど、傅いたりしなくても良いのでしょうか。」
「不要なり。」
「わかりました。それで、御用件をお伺いしてもよろしいでしょうか。」
「其方の持つ力を借りたいと思う。」
「と、いいますと。」
「冥界の結界が破られた。」
「ふむふむ、冥界の結界ですか、そうですか、破られましたか……。え?破られそうとか、そろそろ危ないとかじゃなくて、既に破られた?」
「破られた。」
「え?じゃあ冥界から恐ろしい魔物的なのがうじゃうじゃ出てくるっていうか、出てきてるってことですか?」
「冥界に魔物がうじゃうじゃいることはない。命ある存在で冥界にいるのは、冥王他6神のみなり。」
「じゃあ、その冥王と6神が天界に攻めてくるから、それを私達で迎え撃つということですか?」
「冥王は冥界から動かぬなり。」
「え?じゃあ何が問題なのでしょうか。」
「眷属なり。」
「あぁ、冥王の眷属。アルベモが全く敵わないという例の。」
「其方は我が眷属を知っているのか。」
「はぁ、今私の僕となって屋敷の中でぐうたら過ごしております。」
「アルベモは我が眷属の中でも3本の指に入る程の強者なり、それを下すとは、ますます期待が持てるなり。」
「アルベモを倒したことで、レベルも相当上がりましたので、今ではアルベモをあしらえるくらいにはなってます。」
「既に冥王の眷属が冥界から抜け出しているなり。戦って倒す以外に冥王の眷属をおとなしくさせる方法はないなり。しかし、其方の力ならそれが可能なり。」
「えぇと、状況を整理しても良いですか?」
「許すなり。」
「まず、冥界の結界が破れたことで、冥王の眷属が冥界から逃走した。冥王含めた6神については冥界を離れるおそれはないので、冥王の眷属のみを何とかすれば、再び平和が訪れる。その冥王の眷属は戦って倒す以外に方法はない。全能を使ったとしても、冥界に再び結界を張って、その中に冥王の眷属を戻すことは不可能ということですね。」
「あ。」
「え?」
「その手があったか。」
「え??」
「全能を使えば、冥王の眷属を、再び結界内に封印することが出来るかもしれぬなり。」
「え???それって、一番最初に試すヤツじゃないんですか?」
「其方の叡智は神をも凌ぐものなり。」
「いやいやいやいやいや。え?神様って、皆こんな感じ?」
「無礼なり。」
「あ、すいません。ていうか、どのくらい前に結界壊れたんですか?今さっきなら、時間巻き戻すのもありでしょうけど。」
「人の暦に照らすなら、70年ほど前なり。」
「いや、大分経ってんな。その間ずっと放置かよ。」
「無礼なり。」
「あ、すいません。じゃあ、冥王の眷属ってどのくらいの数いるんですか?」
「83の眷属を持つなり。」
「う~ん、中途半端な数……。」
「無礼なり。」
「あ、すいません。って、冥王は良いんじゃないですか?」
「冥王も神にして、我が子なり。」
「あ、そういえばそうでしたね。失礼しました。じゃあ、私がちょっとやってみていいでしょうか?結界張り。」
「頼むなり。」
私は冥界の結界がどのようなものかは知らないが、ファクトチェンジであれば、どのようなものでも再生できるはずだし、その中に冥王の眷属を再び封印することも可能なはずなので、それらをしっかりとイメージした。
「ファクトチェンジ!」
すると、冥界の結界が修復され、あらゆる世界に散り散りになっていた眷属が集結して、結界内に封印されていく手ごたえを感じることが出来た。
しかし、全て順調に進むかに見えた封印作業だったが、1体だけ、封印を拒む存在がいた。
その膨大な力は、アルベモの比ではなく、封印に対する反作用の力をかけ続けている。
しかし、次の瞬間その反作用がフッと消えると、結界は正常に機能を発揮し始めた。
「ガエリアが飛んだなり。」
「え?」
「封印は失敗したなり。」
「結界自体は機能してますよね?」
「ガエリアが最大の問題なり。その他の眷属は、ついでのようなものなり。ガエリアが封印出来ていない以上、封印は失敗に等しいなり。」
「そのガエリアなるものが、最も強いということですか?」
「もちろん力はある、冥王の眷属の中でも、最も強い力を持つ眷属であることは間違いないなり。しかし、問題はそこではないなり。ヤツは自我がないなり。他の眷属とは違い、意思を持たぬ故、利害や欲求によってではなく、本能の赴くままに破壊を繰り返す、非常に危険な存在なり。」
「つまり、目的がない以上、破壊するものがなくなる。若しくは、ガエリア自体を破壊しない限り、止まることはないと。」
「理解が早いなり。」
「それはどうもありがとうございます。」
「ちなみになんですが、クロノス様では歯が立たない?」
「いかにもなり。」
「クロノス様より強い神様って天界にはいらっしゃいませんか?」
「いるにはいるが、やはりガエリアを止めるには至らぬなり。」
「そうですか、実は私も、対クロノス様戦を想定して、全能の使いかたを色々考えてきましたが、クロノス様の全能を私の全能で無効化して、そのうえで私の戦闘力をクロノス様を上回るようにすればとか、考え抜いた末に出た答えが、全能持ち同士の戦いでは、頭脳の優劣で結果が決まるという結論に達しました。つまり、私ではクロノス様に勝てないという結論です。しかし、そのクロノス様でも勝つ見込みがないとなると、最早ガエリアに太刀打ち出来る者は存在しないということになりますね。」
「其方の策略は恐ろしい程に狡猾なり。そんな使い方など、夢にも思わなかったなり。」
「……。えっと、やっぱり神様ってみんなこんな感じ?」
「言葉の意味をよく解せぬが、なんとなく無礼なり。」
「はい、すいませんでした。」
「あの~。最高神様、キラさんにガエリア討伐をお願いしてみてはいかがでしょうか、きっとキラさんなら、ガエリアを倒してくれると思いますよ。」
「其方に頼めるか?」
「いや、でも私なんて、そんな。大体どこにいるのかもわかりませんので。」
「ヤツの行先はわかっているなり。」
「あ、そうなんですか?では、討伐隊を組んで神様軍団でなんとかなりませんか?私は、そんな大した者ではありませんので……。ちなみに、私の世界に来たりしませんよね?アルベモみたいに。」
「ガエリアの行先は、其方が住む世界ではないなり。」
「ヤツが降り立ったのは、地球なり。」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
感謝の言葉しかありません。
よければ次のお話も読んでいただけるとありがたいです。
どうぞよろしくお願いいたします。




