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異世界に転生してものの5分で最強種とエンカウントした俺のその後の話  作者: すずき 虎々


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29.巨大な影

数ある作品の中から、私の作品を見つけてくださり、ありがとうございます。

稚拙な文章ではありますが、読んでいただける方に楽しんでもらえるよう頑張りますので、今後ともよろしくお願いします。

 はい、怒られました、1時間増えて3時間怒られました。

 しかし、連れ帰ったフェンリルには、最初は皆怖がっていたけど、私が魔法で人を襲えなくしてあるというと、一番初めに食いついたのはケイラだった。


 モフモフは全世界共通で愛されるものなのでしょうが、いきなり「きゃ~可愛いぃ~♡」とはならず、恐る恐る近づいたケイラが最初に発したのは「クサっ!」だった。

 そりゃ今まで野生生物として生きてきたのだから、汗もかくだろうし、汚れも付くだろうから、先ずは大浴場に連れて行って体を洗ってあげるということになり、私とケイラ、それとマリアさんが手伝ってくれて、綺麗に洗ってあげた。


 そういえば、このフェンリル、出会った時に、背中の辺りが赤黒く汚れていたので、何かと思ってみてみたら、怪我をしていたのだ。(回復魔法で治してあげたけど。)

 そう、この子はなんと魔物ではないらしい。

 魔物は魔素の集合体であって、その結合が解かれると、再び魔素となって漂う。それが時間の経過で再結合することで、魔物のリポップという現象が発生する。

 しかし、このフェンリルという種族は、魔獣という魔素を体に蓄積することが得意な獣だそうで、魔族の獣版のような存在らしい。

 この世界には、他にも魔獣がいるらしく、言ってみれば、中央大陸は魔獣と魔物の戦場のような場所らしい。

 竜は竜なのに、その他の生物は魔獣で一括りというのは、ちょっとかわいそうな気もするが、まぁこの世界ではそういうことになっているらしいので、仕方がない。


 そういえば、うちのモコちゃんも、普通の猫とはちょっとだけ違う部分があって、尻尾があるのは普通なんだけど、尻尾の周りに、何か所か、ちょっとだけ盛り上がっている部分があるのと、私の知ってる猫でいうところの、額のM字模様になっているところ辺りに、赤い宝石のような物があって、どちらも回復魔法に反応しないので、モコちゃんの特徴なのだろう。


 この世界では、ネットも何もないので、自分が生活する地域の事はある程度わかっても、まったく別の地域の事は、まったくわからないに等しいので、もしかしたら、他にも色々いるのかもしれない。


 話を戻すが、今回中央大陸に行ったのは他でもない、魔物の状況を見に行ったのだが、魔物の他に魔獣がいるとなると話は大分変ってくる。

 魔物は討伐してダンジョンで良いが、魔獣は生物なので、むやみやたらと殺したくはない。

 当初はヤーパニの旗を建ててそのまま領土にしてしまおうかとも思ったが、魔獣が残るとなると、おいそれと人が住む土地にすることは難しい。

 であれば、とりあえず魔物を討伐してしまって、魔獣がその後どういう行動をとるのかを観察しつつ、問題なければ、もう中央大陸は魔獣の楽園としてしまった方が良いのかもしれない。

 そこに例えば魔物がいなくなったのを契機に、人が魔獣を駆逐して、領土を求めるのであれば、それはそれで人が魔獣との生存競争に勝ったということで良いのかもしれないし、そうはならなくても、冒険者が自分の実力を試す場としてのアドベンチャーワールド化も良いかもしれない。もしかしたら、他の大陸にはない貴重な素材が存在しているかもしれないし、魔獣から取れる素材や魔獣自体が取引の材料になる可能性もある。

 私が行って手を出せばどうにでもできるのだろうが、そこは普通の人の手に委ねるというのもまた、選択としては間違いではない気がする。

 とりあえず、人族にとっても魔獣にとっても、魔物という異分子は邪魔な存在でしかないが、魔法を行使する上で、魔素の存在は必要不可欠である以上、この世から消し去ることもできないので、これまで通り、ダンジョンに押し込めて身動きを封じるのがベストな選択なのだろう。

 しかし、魔王が実は天使で、魔物が天使の眷属って、世界中の人が知ったら、どうなるんだろうか。

 そもそも、なんで神様は天使をこの世界に送り込んだのか、場所の問題だったとしたら、人がなんとか倒せる程度の眷属や天使を置く意味があるのか。

 人の力を高めたいと考えてだとすると、世界中に分散して置く方が効果的だし、奥に進むにつれて徐々に強度を上げていけば、それこそRPGゲームのように人の力も高まっていくだろう。

 ということで、神様の意図が全く理解できないというか、まぁ神様の考えることだから、人間である私ごときが理解できるはずもないんだろうから、と普通なら考えるのだけど、イアロを知る身としては、どうにもその辺に疑念を抱いてしまう。


 また話が脱線したけど、とりあえず、中央大陸は魔物だけを排除する方向で進めよう。

 これを誰かに相談したり、許可を得るとなると、国際的な問題になりかねないので、非常に面倒くさい。

 ということで、今回もこっそり勝手にやってしまおう。

 バレたらバレたで後から言い訳を考えることにしよう。


 ということで、今日も領主としての執務時間中に、中央大陸に転移してきたわけだけど、先日とは違う場所に転移してみたところ、いきなり魔物の群れの中に転移してしまったようで、魔物か魔獣かを見分ける暇もなく、襲い掛かってこられたので、とりあえずサンダースピアという魔法を周囲にばらまいて、動けなくなったところでライブラさんにお願いした。

「ライブラ、魔物に限定してロックお願い。」

 [告:ターゲットのロックが完了しました。]

「じゃあ、今回はロックバレットで行ってみようか。」

 [告:ロックバレットの射出が完了しました。

 半径1㎞の範囲内にいる魔物の98%を掃討しました。

 残りの2%の魔物の掃討を開始しますか。]

「よろしく。魔法の選択はライブラに任せるよ。」

 [告:ロックキャノンの使用を申請。

 受理されました。

 ロックキャノンを使用します。

 魔物の掃討が完了しました。

 ドロップアイテムを回収しますか。]

「よろしく。」

 [告:ドロップアイテムの回収を完了しました。]

「何か面白いものあった?」

 [告:賢者のローブ、終末の杖、ジャメット、竜の翼を獲得しました。]

「うん、なんとなくわかるけど、まったく理解は出来てないかな。」

 [回:賢者のローブは、着用者の各種ステータスを大幅に上昇させる効果の他、魔法を使用する際の消費魔力が従来の十分の一になります。

 終末の杖は、使用者の各種ステータスを大幅に上昇させる効果の他、極大魔法〈天変地異〉を使用することが出来ます。

 ジャメットは、使用者の各種ステータスを大幅に上昇させる効果の他、如何なるものをも切り裂く剣技〈一刀両断〉を使用することが出来ます。

 竜の翼は、着用者の各種ステータスを大幅に上昇させる効果の他、闘技〈空歩〉を使用することが出来ます。]

「おぉ、どれもエグいね。あ、そうか、それだ!装備で戦闘力を強化出来るじゃん。私が作れば良いんだ。まぁ、それは後で良いや。とりあえず今は魔物を掃討だ。ライブラ、残り全部の魔物ロックして。」

 [告:ターゲットのロックが完了しました。]

「あとはお願い。」

 [告:全てのターゲットに攻撃を仕掛けた場合、マスターの魔力が枯渇して、行動不能に陥る危険性があります。

 賢者のローブの着用を推奨します。]

「え、私の魔力が枯渇するの?むしろ、枯渇してみたい気もするけど、動けない状態で魔獣に襲われるのも嫌だな。じゃあ、賢者のローブ使ってみようか。」

 私は次元収納に入っている賢者のローブを取り出して羽織ってみると、力が沸き上がってくるのを感じるとともに、頭の中がクリアになって、何処までも深い思考を張り巡らせることが出来そうな気になった。

「これ、すごいね。なんか、ヤバイ薬とかやった人ってこんな感じなのかな。今なら何でも理解できる気がする。」

 [告:ターゲットへの攻撃を開始します。

 ロックキャノンの使用を申請。

 受理されました。

 ロックキャノンを使用します。

 魔物の89%を掃討。

 続いてロックキャノン×3の使用を申請。

 受理されました。

 ロックキャノン×3を使用します。

 残存する魔物の99%を掃討しました。

 続いて極大魔法ソーラーレイの使用を申請。

 受理されました。]

「ちょっと待った!」

 [告:ソーラーレイの使用を中止しました。]

「その極大魔法で倒そうとしたヤツって、そんなに強いの?」

 [回:ステータスを比較した場合、魔王の2.4倍相当に値する数値となります。]

「金竜と比べたらどう?」

 [回:金竜の1.3倍に相当します。]

「私以外でこの世界最強ってこと?」

 [回:数値的にはそうなります。]

「というと?」

 [回:攻撃力については、金竜が上回りますが、防御力が極めて高い魔物となり、ソーラーレイの長時間照射で焼き切るのが理想的な討伐方法と算出されました。]

「それ、丁度良いんじゃない。ていうか、ジャメットの力を試すためにいるんじゃないのそいつ。あ、ちなみにそいつの名前はなんていうの?」

 [回:個体名なし、種族名ケンガンです。]

「うんうん、いかにも堅そうな名前。よし、最後のそいつは私が直接ジャメットで斬ってみたいから、そいつの所まで転移しよう。タゲお願い。」

 [告:了解しました。]

「おぉ、あいつがケンガンね。いや、固いだろうねあれは。よし、じゃあ行きますか。」

 私は次元収納から取り出したジャメットを構え、武器固有のスキルである一刀両断を、ケンガン目掛けて放つと、いかにもガチガチそうな黒光りする体表というのか装甲というのか、とにかく世界最高硬度のケンガンを、まさに一刀のもとに両断してしまった。

「ちょっとコレやばいんじゃないの。世界最高硬度が豆腐みたいに斬れちゃったよ。この剣を誰か別の人が私に向かって使ったら、私も両断されちゃうんでしょ。」

 [回:マスターをスキル〈一刀両断〉で撃破するには、使用者のレベルが95を超えている必要があります。

 スキル〈一刀両断〉を受けた場合、ある程度のダメージは受けますが、スキルを完遂するためには、使用者にも一定のステータスが要求されます。]

「あ、そうなんだ。じゃあこれケイラちゃんにあげてもいいかな。賢者系はシェラにあげようかな。あの子魔法頑張ってるしね。って、そうだ、ケンガンのドロップアイテムは?」

 [回:最後の鎧です。]

「あぁ、もうなんか聞かなくてもわかる……。でも、ここって、こんなにすごい装備をジャンジャン落としてくれちゃって、ここの装備を手に入れてから魔王の所に行ってたら、魔王どうするつもりだったんだろう。普通に泣くよねこれ。」


 私はひととおり魔物の殲滅を終えて、ドロップアイテムの確認も済んだので、最後の仕上げとして、ダンジョンを作るのに適当な場所を探した。


「やっぱりここかな。普通の人が魔獣をかいくぐって、ここまで来るのはなかなか骨が折れるでしょ。」

 私は初めてここに来た際、フェンリルに出会った山の頂に立っていた。

 私は迷宮核を取り出し、ダンジョンを作り終えると「ふぅ。」と一息ついて辺りを見回す。

 あの時のフェンリルの顔を思い出して、一人クスっと笑っていると、そういえば、まだフェンリルに名前を付けていないことに気が付いたので、帰ったら皆で名前を考えてあげようなどと考えていると、遥か上空を飛ぶ何者かの影で辺りが急に暗くなった。


 私は「え?」とつぶやいて上を見上げると、そこには大きな翼のある牛?のようなシルエットの巨大な怪物がいた。

「え?え?あれ何?魔物?」

 [告:魔物ではありません。]

「じゃあ、あれも魔獣なの?」

 [告:魔獣ではありません。]

「じゃあ一体なんなのあれは。あの高さであのデカさって……。」

 すると、その時聞き覚えのある声がした。

「キラさ~ん。それ神獣です~。多分勝てないので、逃げてくださ~い。」

「は?え?イアロ???」

「は~い、イアロです~。お久しぶりです~。その大きいのは最高神様の眷属で、ものすごく強いので、多分戦ったら死んじゃいますよ~。」

「いやいや、あぁそうですかって、逃げられるわけないでしょ!アレはいったい何の目的でここに来たの?返答次第じゃこのまま見過ごすことなんてできないよ。」

「目的は知りませんが、あの子が出てきちゃったら、そこら中破壊されてしまうと思いま~す。」

「思いま~す。じゃないでしょ。私が戦って勝てないものを、この世界の住人はどうやって止めるのよ!」

「破壊に飽きて帰るのを待つしかないですね~。」

「おぃ!」

 私は、イアロに対して過去一の盛大な突っ込みをいれつつも、この状況を打開する方法を必死に考えた。


 しかし、今までこんな状況は経験がない。


 今までは圧倒的な力を持っていたのは自分の方だった。


 しかし、今回は違う。


 何の根拠はなくてもわかる。


 あの怪物は私の力を圧倒している……。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

感謝の言葉しかありません。

よければ次のお話も読んでいただけるとありがたいです。

どうぞよろしくお願いいたします。

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