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異世界に転生してものの5分で最強種とエンカウントした俺のその後の話  作者: すずき 虎々


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21. 主客転倒

数ある作品の中から、私の作品を見つけてくださり、ありがとうございます。

稚拙な文章ではありますが、読んでいただける方に楽しんでもらえるよう頑張ります。

書きためたストックがもうなくなったので、今後は一話が以前より短くなるかもしれませんが、内容はしっかりと練るつもりですので、今後ともよろしく願いいたします。

 イース湾に、黒い影が迫っていた。

 三国連合艦隊――総数百隻を超える軍艦が、海を埋め尽くすように進軍してくる。

 推進機関を魔石の力で動かしている戦艦。(要は魔導バイクの船版だ。)

 そのすべてが、キラの治める地を焼き払うために集結していた。

「ライブラ、状況は?」

 キラは静かに言った。

 [告:ヘミエミル・バキレム・コチミコの三国連合艦隊112隻を確認しました。

 午前五時にイース湾へ侵入。

 敵艦隊は魔石を使用した兵器を多数搭載。

 推定被害は1発あたりおよそ300㎡、人的被害に換算するとおよそ300名。]

「え、1発って、ミサイル?」

 [告:魔法制御によるミサイルとみて間違いありません。]

「えっと、例の人工ゴーレムは搭載されてる?」

 [回:戦闘機型の兵器については確認できません。

 おそらく、ミサイルからの反応に魔石反応を多数確認出来ることから、人工ゴーレムとはミサイルのことを指していると推察します。]

「え?ミサイルに魔石を大量に使っているってこと?」

 [回:そのようです。]

「え?バカなの?ミサイルなんて、魔法で軌道制御するなら、せいぜい突風の魔石でもあれば良いじゃない、いったいどれだけの魔石を無駄遣いする気なのよ。大量の魔石使うって言うからてっきり飛行型のゴーレムを作って、空爆させるものだとばかり思っちゃったじゃない。」

 [告:思い過ごしのようです。]

「く…。あぁぁ、もう。ライブラ、ミサイル積んでる船だけロックして。あ、いや、ミサイル全部ロックして。」

 [告:完了しました。]

「OK、そのまま待機。相手が撃ってきたらこっちも全部叩き落すから。」

 [了]


 イース湾を覆いつくすかのような敵艦隊の圧倒的な布陣。まさに見せつけるような、力の誇示。

「随分はりきっちゃって。」

 私は呟いた。

 すると、突然、空に響く声が聞こえる。

 拡声魔法による敵将からの宣戦布告という名の挑発だった。

「これより、ヘミエミル王国、バキレム公国、コチミコ連邦の三国は、ただいまより、神の名を騙るが如き不埒者を擁し、世界を混乱の渦に陥れるヤーパニ皇国に対し、正義の鉄槌を下すため、宣戦を布告する。」


 その瞬間、海上の一隻が魔石無駄遣いミサイルを一斉に放った。

 狙いはサイヒルの民間施設。(すでに避難済みではあるが。)

 三国の侵攻を知らず、避難もしておらず、私という存在がいなければ、もたらしたのは民間人の大量虐殺。

 そして、その屍を踏み荒らし、生き残った者を蹂躙し、略奪し、焦土と化したサイヒルを見下ろして嘲笑っていたことだろう。


「フレイムレイン。」


 私が放った魔法は、次の瞬間、数百はあろうかという魔石無駄遣いミサイルの全てを、一瞬にして焼き払う。

 空中で花火のように散るものもあれば、船上で、自らを搭載する戦艦もろとも爆散するものも。


 私は旗艦であろう大型戦艦を見下ろす位置まで、一瞬で移動し、お返しとばかりに拡声魔法を使った。


「私はヤーパニ皇国軍元帥 キラ・パラディオールである。貴様らの宣戦布告確かに承った。ただいまの花火は、我が国からの返答と受け取ってもらって差し支えない。とはいえ、貴様らが故郷の地を踏むことはもう二度とないだろうから、この事実を母国に伝えようもないであろう。だが、安心するがよい。貴様らが、我が国に対して3年前から行ってきたことは、全て記録してあるので、我が国が、いや、私が、貴様らの母国を地図から消し去ったとしても、我らには何の咎もないことを、世界中が知ることとなる。貴様らのような者でも、最後は魚の餌となって役立てることを誇りに思うがよい。あ、あと、あの飛ぶだけの爆弾作った人に一言言わせてもらうけど、魔石は貴重な資源なんだから、あんな無駄な使いかたするな、頭悪すぎ。」


 魔族とは、もともと、肌の色が若干赤黒いという特徴があるが、その範疇を圧倒するかの如く顔を紅潮させ、口をぱくぱくさせているアデパムは、もはや明晰だと信じて疑うことのなかった、自分の頭脳でも処理しきれない現状に、言葉を言葉として発音することすらできずにいた。


 今、自分が乗る最新鋭の戦艦の前方に浮いている少女が言った言葉が、いったいどんな意味なのか、3年前とは、つまり、あのカーミオやムーシルトの件、皇王暗殺計画、サルモア侵攻について、あの娘は真実を把握しているということなのか、今回の件についても、そもそもなんで極秘裏に開発した最新鋭の秘密兵器を、こうも簡単に迎撃できたのか、いや、迎撃より先に、どうして今このタイミングで、彼女はここにいるのか、全て記録しているとは、全て知っているということを意味しているのか、自分の最高傑作と信じて疑わなかった兵器を魔石の無駄遣いだの、頭悪すぎだのと。


 アデパムが考え込んでいた時間は、ほんの僅かな時間でしかなかった。

 そして、その僅かな時間の間に、たった一言。

 少女が口にしたその一言で、そこにいた全ての魔族達の生涯が幕を閉じる。


「インフェルノ。」


 アデパムが最後に見たのは、視界を埋め尽くす青く美しい光。


 次の瞬間には、その温度を感じる間もなく、アデパムだったものは、周りにある全てのものと共に消失する。


 112隻あった三国連合艦隊の戦艦全てが蒸発し、その痕跡はといえば、海上に立ち昇る、咽るような深くて濃い霧のみであった。

 私が放った極大魔法。インフェルノは地獄の業火を彷彿させ、もし、これが地上で放たれたなら、地形は大きくその形を変え、その衝撃は地殻変動を引き起こす程のまさに天災。

 人が作った船や兵器など、一枚の紙片と大差ない程度のものでしかなかった。


「人を焼くために魔石を使うというのなら、当然焼かれる覚悟もあったんでしょ。」

 その言葉は、誰にも向けられていない。

 ただ、虚空に向けて放たれた、神の嘆きのようだった。



 サイヒルの避難所では、まだ夜が明けきらぬ空に、轟音と共に青白い閃光が走った。

 それは空を切裂くかのような光であり、雷でもなく、隕石の落下でもなく、誰も知るはずのない“神の怒り”であるかのような。

「……今の、何?」

 怯えた声が、避難所全体が騒めく。

 すると、年配の男が、静かに立ち上がると、窓の外を見つめた。

「天の怒りだ。あれは、メギドの炎だ。」

「キラ様なの?」

 子どもが母の腕の中で囁く。

 母は答えられず、ただその頭を撫でるだけだった。

 その瞬間、空気が変わった。

 風が止み、鳥の声も消え、ただ静寂だけが世界を包み込む。


 私は、空に浮かびながら、霧のように立ち昇る蒸気を見下ろしていた。

 つい先ほどまで海だったその場所は、今や魔力の残滓が漂うだけの、死の領域となっていた。

「ライブラ、戦果を。」

 [回:三国連合艦隊、全艦消失。生存者ゼロ。魔力残留反応、インフェルノ級。

 ヤーパニ皇国防衛記録として保存。]

「……そう。記録しておいて。これは、私の、人である私が犯した罪でもあるから。」


 私は目を閉じる。

 魔法を放った時の感触は、まだ指先に残っている。

 焼き払ったのは敵艦隊。いや、私は人を焼いたのだ。

「人を焼くために魔石を使うのなら、当然焼かれる覚悟もあったんでしょ。か…。」

 そう言った自分の声が、今はただ虚しく響く。

 彼らが何を欲し、何を得ようとしていたのか。

 それを知ったうえで、その罪に“裁き”を下した自分。

「私は人?」

 誰にも聞かれない独白。

 それは、ただ一人の少女の、静かな嘆きというには、あまりにも現実から乖離しているようにしか聞こえない。

 霧が晴れ始める。

 海面から立ち昇っていた魔力の残滓は、風に流され、やがて何もなかったかのように消えていく。

 だが、世界は確かに変わった。

 この瞬間を境に、神話は現実となり、神は人の姿で歩き始めた。

 私は静かに海面へ降り立つと、足元の水が蒸気を上げて逃げる。

 その姿は、まるで海までもが私を恐れているかのようだった。

「ライブラ、転移先の座標。」

 [告:ヘミエミル王国、首都エル=ヴァルナ。

 距離:およそ西北西1,200km。

 推定移動時間:転移魔法にて約1秒。]

「今度は、直接…。」

 [告:単独での侵攻によるマスターの被害予想はありません。]

「あの国は、超えるべきではない線を越えてしまった、この海で失ったものは決して些細なものじゃない。それを真に理解してもらわなくては、死は覆らないんだから。次は、彼らの“根”を断つ。」


 私は空を見上げた。


 夜が明け始め、東の空がわずかに朱に染まる。

 それはまるで、血の色のようであり、神の怒りが空に焼きついた痕のようでもあった。

「ライブラ、転移先の座標を固定して。目的地はヘミエミル国、王城中枢。」

 [了]

 私の足元にいつもと同じ魔法陣が展開される。


 その中心に立つ彼女の瞳は、もはや迷いを知らない。


「これは報復じゃない。これは、世界を正すための――始まり。」


 光が私を包み込み、次の瞬間、空間を裂いて消える。

 向かう先は、虎の尾を踏む愚行を犯した愚か者達の根城。

 そして、そこに待つのは、神の裁きではなく、“真実”そのものだった。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

感謝の言葉しかありません。

よければ次のお話も読んでいただけるとありがたいです。

どうぞよろしくお願いいたします。

追伸~いつも誤字脱字をご報告してくださっている〇〇〇〇様、本当にありがとうございます。

大変助かっているというのももちろんですが、そこまで真剣に読んでくださっていることが何よりうれしく思います。

今後ともご愛読のほどよろしく願いいたします。

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