11.引っ越し
数ある作品の中から、私の作品を見つけてくださり、ありがとうございます。
稚拙な文章ではありますが、読んでいただける方に楽しんでもらえるよう頑張りますので、今後ともよろしくお願いします。
皇都闘技場での御前試合を終え、皇王陛下主催の晩餐会の後に、自分に与えられた褒美の目録を眺めていると、自分のキラという名の後にパラディオールと書かれていた。
私は今後キラ・パラディオール侯爵と名乗り、パラディオール地域を領地として、ムーシルトという街に住むことになった。
この世界では、領主が地域の名を苗字として名乗るようで、ハイゼンスリーブ地域のハーコッテに屋敷を構えるルドルフ・ハイゼンスリーブ辺境伯も同様に、ハイゼンスリーブを名乗っている。
しかし、まさか一会社員であった私が、異世界に転生して6日で侯爵になり、明日にはこの世界最大級の脅威である魔王を討伐しに行くことになるとは思ってもみなかった。
そうだ、ハーコッテから引っ越さなきゃならないんだ、皆に伝えないといけない。
ということで、私は転移魔法で自分の屋敷にもどってきた。
屋敷に入ると、ベルカーが慌てて出てきて、私を見るなり「キラ様でしたか、お帰りなさいませ。」と言って出迎えてくれた。
ベルカーに皆に伝えることがあるというと、食堂に集めてくれるとのことだったので、一足先に食堂に入って待っていると、ケイラが走って食堂に入ってきて「お姉ちゃんお帰りなさい。」と言いながら飛びついてきた、それ程長く家を空けたわけではないが、出会って数日で離ればなれは、ケイラ的にも寂しかったのかもしれない、私もケイラを抱きしめて「ただいま、良い子にしていた?メイベルさんやマリアさんに迷惑かけたりしてなかった?」と聞くと「ケイラはマリアさんにお勉強を教えてもらって、頑張って本を読めるようになりました、まだ、最初のページだけだけど。」と言って、少しはにかんだ笑顔を見せてくれたので、私は「ケイラちゃん偉いね、頑張ったね。」といって頭をなでてやると、えへへと言って嬉しそうな顔を見せてくれた。
そうしている間に、全員が食堂に集まったので、皆の顔を見渡して話を始めようとすると、ベルカーやメイベル、マリアの他にもう一人メイド服を着た少女が並んでいたので、あれ?と思ってよくみると、初めてハーコッテに来た時に宿泊した、タイタイ亭で給仕をしていたニャカさんが立っていた。
私はメイベルに顔を向けて「ニャカさんがうちで働いてくれることになったんですか?」と尋ねると、メイベルが返事をしようと「はい。」の「は」を言うか言わないかの内に、ニャカさんが「本日よりキラ様のところでお世話になることになりました、よろしくお願いします。改めましてになりますが、ニャカと申します。」と相変わらずの元気な声であいさつを始めた。
私はニャカの方を向いて「ニャカさんがうちで働いてくれることになって、とても嬉しいです。が、実は、本日思わぬ事態になってしまったので、ニャカさんを歓迎する前に、皆さんにお話ししておかなければならないことがあります。」と全員を見渡し、静かに話し始める。
「実は、本日皇王陛下と謁見してきました。先日の黒竜討伐と、カーミオの掃討の件で褒美をいただくこととなっていたのですが、それに加えて、今日の未明に、魔族による皇王陛下の暗殺未遂事件が発生し、たまたま私が皇王陛下をお救いすることが出来たことで、領地をいただくことになりました。私の名前も今日から『キラ・パラディオール侯爵』を名乗るように命ぜられましたので、皆さんはパラディオール家の使用人ということになります。そういうことでよろしくお願いします。そこで、問題なのですが、私は今後パラディオール地域のムーシルトという街に住むことになるので、引っ越しをしなくてはなりません。ムーシルトは皇都を挟んで反対側の西側にある街なので、結構遠い所にあります。私個人の希望は、このまま皆さんと一緒にムーシルトに向かいたいのですが、かなり遠いということもあるので、皆さんそれぞれのご家族と離れることになるかもしれません。というのは、別にご家族が一緒にムーシルトに引っ越してくれるというのであれば、私の方で衣食住を保障することは可能なのですが、やはり住み慣れた土地を離れたくないという方もいると思うので、そうなると…。」
「ということで、名残惜しいのですが、皆さんの意思を尊重したいと思いますので、退職されたい方はおっしゃってください、当然数日ではあっても、皆さんには大変助けていただいたので、退職金はしっかりお支払いします。」
私が沈痛な面持ちで話をしていたので、皆も真剣な表情で話を聞いてくれていたが、途中から女子3名の顔が紅潮してきているなと思っていたら、私の話が終わるや否や、それぞれが、口々に「叙勲おめでとうございます!」と私へのお祝いの言葉をかけてくれた。
そして、まずはメイベルが「私は実家が皇都のはずれなので、むしろ今よりも近くなるので助かります。私はキラ様についてまいります。」と言ってくれた。
次にベルカーが「私は妻と子供が二人おりますが、キラ様が衣食住の環境を整えて下さるというのであれば、喜んでお供いたします。」と言った。
それを聞いて私は「え?ベルカーさんって奥さんとお子さんいたんですか?普段はどこで生活してるんですか?」と尋ねると「西の住宅街に自宅が御座いますので、そちらで生活しております。」と答えたので「そんな、ダメじゃないですか、それ早く言ってくださいよ、奥さん一人でお子さん二人の面倒見てるんですか?大変じゃないですか、っていうか、ベルカーさんここで寝泊まりしていたらいつ奥さんやお子さんに会うんですか、ダメですよそんなの、言ってくれれば家族で住める寮を準備したのに。」と若干プリプリしながら言うと、ベルカーは面食らった顔で「しかし、ルドルフ様にお仕えしていた時から、変わりませんし、執事とはそういうものなので。」と言葉を詰まらせながら言うが、私はベルカーに詰め寄り気味に「ダメダメダメダメダメ、そんなの絶対ダメです、家族は一緒じゃなきゃダメなんです、たまにお子さんに会った時におじさんダレ?って聞かれたらきっとベルカーさんショック死しますよ!私についてきてくれるというのはありがとうございます、でも、向こうに引っ越したらベルカーさん一家にはちゃんと住居を確保しますので、ベルカーさんは通いで来てください。いいですね、わかりました!?」というと、ベルカーは一言「畏まりました。」と言った。
続いてニャカが「私は天涯孤独の身なので、どこへでもついていきます、こんな好待遇を手放しはしません!」と鼻息を荒くして言ってくれた。
最後にマリアが俯きながら「実は、私両親は死んでいてもういないのですが、身体の不自由な姉がいまして、姉を残してムーシルトに行くのは…。」と言った。
私は沈痛な面持ちのマリアの両肩に手を添えて「マリアさん、気にしないで、マリアさんに来てもらえないのは残念ではあるけど、たった一人のお姉さんなんだから、大切にしてあげて下さい。マリアさんとお姉さんが生活に困らないよう、私ももちろん退職金はお支払いしますが、ハイゼンスリーブ卿のところへ戻れるように私からお願いしておくので、なにも心配しないでくださいね。」と言うと、マリアは目に涙を浮かべて「ありがとうございます、本当は私も皆さんと一緒に行きたかったです。」と言ってくれた。
涙を流すマリアの背中を優しくさすっていると、ケイラも傍に近寄ってきて、マリアのスカートの裾をつまんで涙を流していたので、ケイラの頭もなでてやっていると、ふと閃いたので、マリアに尋ねる。
「ところで、マリアさんのお姉さんって、身体が不自由とのことだけど、御病気か何かなんですか?差し支えなければ教えていただけませんか。」と尋ねると、マリアは「実は、姉は子供のころから肺を患っていて、お医者様からも、薬を飲み続けても改善することはないからと、匙を投げられていて…。」と言った。
私は頭の中でライブラに『病気を治す魔法ってないの?』と尋ねると。
[回:あります。病自体は状態異常を回復する魔法で除去することが出来ます、病によって体力が落ちている場合でも、回復魔法によって改善します。身体の部位欠損がある場合でも、上位の回復魔法によって、本人の細胞から急速培養することで、再生することが可能です。]
『つまり、細胞が死滅していなければ、蘇生魔法も可能という理解であってる?』
[回:あっています。]
『サンキューライブラ』
私はマリアの肩を抱く手に力を込めて「マリアさん、お姉さん治せると思う、お姉さん今どこ?」と尋ねると、マリアは困惑しながらも「実は、今朝がた、肺の調子が悪化して、血を吐いたので、キラ様不在のなかお許しも得ずに申し訳ないのですが、寮の私の部屋に連れてきて休ませていました。」と言った。
私はにっこりと微笑んで「ナイスタイミング、マリアさん行こう!」と言って、マリアの手を引いて女子寮へと走った。
マリアの部屋に入ると、見るからに顔色が悪いが、どことなくマリアに似ている女性が、咳き込みながらもベッドで休んでいた。
その女性は、私を見るなり体を起こそうとするも力が入らず、しかし、息が苦しいのも我慢して、私に「お留守の間に申し訳ございません、妹は私の事を思って…。」と、とぎれとぎれに必死で謝ろうとしていたので、私は「かまいません、無理に話さなくても大丈夫です、横になって楽にしてください。これから貴女を治療しますから、もう大丈夫ですよ。」と、努めて優しく言葉をかけた。
私は女性が横になるのを手伝いながら、そのまま状態異常を回復する魔法と体力を回復する魔法を同時にかけた。
すると、その女性の顔に、みるみるうちに赤味がさしてきて、痩せてボソボソになっていた肌もしっとりと艶やかになり、髪の毛まで一段明るくなったかのように綺麗になった。
女性は、上半身を自分の力だけで起こし「え?苦しくない、力が次から次へと湧きあがってくるかの様、自分の身体じゃないみたい。何が起きたの?」と困惑していた。
すると私の後ろからマリアが出てきて、姉を抱きしめて、泣きながら「キラ様が魔法でお姉ちゃんを治してくれたんだよ、良かった、良かったよぉ…。」と、わんわんと泣きしてしまった。
子供の頃から肺を患っていたというマリアの姉は、未だかつてない程の健康体となり、ベッドから起き上がると、自分の両足でしっかりと立ち、未だに泣きじゃくる妹を優しく抱きしめると「マリア、今まで沢山苦労をかけて本当にごめんね、これからは私も自分の事は自分でするし、働きにも出ようと思う。だからマリアもこれからは自分を大切にして、自分の為に生きて。」と、涙ながらに言った。
私達は、マリア達姉妹を二人きりにするため、部屋から出て食堂に戻った。
食堂に戻ると、メイベルが自分のハンカチで目頭を押さえているようだったので、それとなく視線を送ると「実は、あの娘が今朝お姉さんを屋敷に連れてくるまで、私も病気の姉がいるなんて知らなかったのです、普段はそんなこと周りに感じさせないように努力していたんでしょうね、辛かっただろうに、一言言ってくれれば…。」ともらい泣きしていた。
私はそこでふと妙案を思いついたので、本人達に話をする前に、皆に聞いてもらうことにした。
「マリアさんのお姉さんは、これから自分で働いて生計を立てることのできる健康な体になった。で、マリアさんはお姉さんの心配がなくなったのでムーシルトに行ける。でもお姉さんは子供の頃から病気だったので社会生活を営む術を知らない。故に劣悪な環境で労働を強いられ、薄給でこき使われるだけならまだしも、本人の意思に反して強制的に性的接待を伴うお店で働かされるかもしれない。つまりお姉さんを一人に出来ないのは変わらない。一方、私はまだまだ働いてくれる人を欲している。お姉さんの体調は回復したとはいえ、体力はこれからつける必要がある。しかし、私のところでならお給料を貰って住むところも保証され、慣れない仕事も実妹や、周りのメンバーがカバーしてくれるので、無理をする必要はない。故に、私のところで働いてもらうことにして、一緒にムーシルトに来てもらうというのが最適解なのでは?と思うのですが、皆さんいかがでしょう。」
メイベルは先程とうって変わって目を輝かせて「素晴らしいお考えだと思いますキラ様、マリアもお姉さまもきっと喜んでくださるに違いありません。」と言って賛成してくれ、ベルカーもクールに「良いお考えかと。」と一言だけ述べた。ニャカはニヤニヤしているだけだったが、その表情からも肯定的と捉えて良さそうだった。
そうこうしているうちに、マリアとお姉さんが食堂に入ってきた。
マリアのお姉さんは、食堂の扉を開けると、突然土下座をして「キラ様先程はありがとうございました。私はマリアの姉でミラと申します。ご不在中に上がり込む無礼をはたらいたうえ、このような御恩を受けたのにもかかわらず、私は何も持ち合わせてはおりませんので、借金奴隷でもなんでも受け入れる覚悟はできております。ですので、どうかマリアだけは…。」
私は盛大な勘違いをしているマリア姉改めミラさんに苦笑いをしつつ、頭を上げるよう促すと「初めましてミラさん、私はキラと申します。あ、つい先ほどキラ・パラディオールを名乗ることになり、侯爵の爵位を拝命しました。私この街に来てまだ6日目なんですが、明日には西の魔王を討伐してくる予定です。あ、そうだ、皆さんにもお伝えしておきますが、色々と混乱を招く恐れがあるので、これはパラディオール家の秘密ということで口外しないようにしてください。実は私、強いんですよ、ものすごく。で、普通では考えられない魔法とかも使えるようで、例えば皇都とここの行き来するのに、身体強化でものすごくはやく走ってきたと言いましたが、実は転移魔法で移動してたりと、結構非常識な力を持っているようなんです。なので、マリアさんもミラさんも、魔法で病気が治った、ありがたい、奴隷でも頑張る。なんて考えないでください。この国の常識的な範疇というものを私は知りませんが、私にとっては、それほど大したことをしているつもりはありません。例えばその魔法が私の命を削ってまでとか言うならまだしも、5分も休めばなんともない程度の労力で得られる効果でしかないので、例えるならそうですね、ちょっとボタンが取れちゃったから縫っておいて、くらいの話なんです。たしかにミラさんにとってみれば、今までさんざん悩まされた病です。さぞお辛かったでしょう、心中お察しします。しかし、その病はもう完治しました。これからは後ろ向きにならないで、前を向いていきましょう。ミラさんが、楽しくて素晴らしい、明るい未来が待っているはずですから、もっと気持ちを楽にして下さい。」
私は一息に話を進めて、ここでいったん間をとってから、さらに続けた。
「そこで、提案なんですが、マリアさんはお姉さんの病気が治ったとはいえ、今まで社会で独立したこともないお姉さんに、突然自分で稼いで生活しろ!とは言わないでしょう、いくらなんでも。むしろ、心配ですよね、過重労働で苦しんでないかとか、適正な賃金を得られているのだろうかとか、若い女性ですから性的な接待なんてさせられてないだろうかとか、考えたら尽きることはないと思います。ミラさんはミラさんで、マリアさんにこれ以上迷惑を掛けられないから一人で頑張らなきゃとか考えちゃってますよねきっと。そもそも病の姉の面倒を見るのを迷惑と思うような人間が、こんなに良い娘なわけがないじゃないですか、マリアさんはそんな人ではありません。ですが、お互いの事を思うあまり過剰に気を使ってしまう素晴らしくも悲しい姉妹、わかります。そこで私から提案があります。マリアさんという人材を手放したくない私、一方病気の姉と離れるわけにはいかないマリア、病気は治ったけど、体力もまだまだで、社会生活を営んだ経験のない自立に一抹の不安が残るミラ、しかし、私がミラさんをメイドとして雇います、しかも、体力や技術を身に着けるまでの間に関しても、ちゃんとお給料を支払い、衣食住の心配のない環境を整えるという条件で、すると、お姉さんの傍にいて病み上がりの姉を支えたいと考えているマリアさんも、必然的にお姉さんと一緒にムーシルトについていくことになりました。しかし、ただついていくだけでは今度は自分がお姉さんの足を引っ張ることになるので、自分も働き口を探したところ、なんということでしょう、そこにはかつての雇用主が侯爵となっているではありませんか。マリアさんも働き口を見つけることが出来て、なおかつ姉と一緒の職場で、もれなく住居もついてくる。どうでしょう、めでたしめでたしってことでよろしいでしょうか。」
ミラとマリアは、私の話を聞いて、目に涙を浮かべながら、何度も頭を下げて「ありがとうございます。」と繰り返していた。
私は二人の礼を提案の肯定と解釈して「それじゃあ、マリアさん、ミラさん、二人とも私の提案を受け入れて、ムーシルトについてきてくれると解釈してよろしいですか?」と、二人に尋ねると、二人は声を揃えて「よろしくお願いします。」と答え、周りの皆からも笑顔が零れ落ちていた。
「よし、皆一緒にムーシルトへ行けるということで、それでは各自引っ越しの準備の方よろしくお願いします、あ、ちなみに荷物に関してはそうですね、皆ひとまとめにこの食堂で間に合うかな、間に合わなければどこか適当な場所にまとめて置いておいてください、私が転移魔法でまとめて移動します。人の移動に関しては、忽然と姿を消したパラディオール家の面々とか軽いホラーになるかと思うので、ある程度のところまでは馬車なんかで移動して、人目の付かないところで転移魔法で飛んじゃいましょう。私もまだその領地には行ったことがないのですが、明日魔王討伐に行く際に通ると思うので、どんな所か見てきます。とりあえずこのメンバーが生活できるようにリノベーションが必要ならやっちゃいます。細かい所は住み始めてからということになるかと思うので、各自そのつもりでお願いします。荷物についても、減らす必要はないですからね、移動できる物は全部持って行きましょう。あ、ベルカーさんの家って持ち家ですか?」
私の突然のフリにも関わらず、落ち着いた様子のベルカーは「はい、その通りでございます。5年前に新築で建てました。」と答えた。
「そうですか、5年前に新築ですか、う~ん勿体ないですね、間取りを教えていただければ、それ以上の住宅を提供することをお約束するのですが、ちなみにベルカーさんは売却をご検討で?それとも賃貸にでも出します?」と尋ねると「妻との相談が必要かと思いますので、ご返答には少々お時間をいただきたいのですが、おそらく売却になると思います。」と答えたので「売却するにしても、賃貸にしても、焦って急いで妥協するようなことはしないでくださいね、商談に必要であれば、私転移魔法で送り迎えしますので、納得できる条件を取り付けてください。」と言うと、ベルカーも「ありがとうございます、そうさせていただきます。」と答えた。
「それじゃあ、あまり長い時間不在にしても不信感を煽るので、私はそろそろ戻ります。魔王討伐後にも色々とあるとは思いますので、正式な帰宅となると1週間程度はかかるかもしれませんが、その間もちょくちょく顔は出しますので、皆さんよろしくお願いします。ケイラちゃんもおかたずけやお掃除のお手伝いよろしくね。」そういって私がケイラの頭をなでると、ケイラはニッコリと微笑んで、元気に「はいっ!」と返事をしてくれた。
私はベルカーに当面の資金として、10万ミル程入った革袋を渡し、皆の給料の支払いや、当面の衣食住に必要な支払いを依頼し、ハーコッテの自宅をあとにした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
感謝の言葉しかありません。
よければ次のお話も読んでいただけるとありがたいです。
どうぞよろしくお願いいたします。