9.もういいでしょう【サーディンside】
「ユージス。今ルーシアから通信があったよ。どうやらルーシアも魔力抑制薬を盛られたらしい。証拠も出てしまったよ。」
執務室の机から立ち上がりユージスを呼び淡々と状況を共有する表情はごっそり感情が抜け落ち何を考えているのか推し量れない闇を感じる。
「・・ではとうとう動かれるのですね・・」
「仕方ないよね。壊れてしまった人たちにこの国は任せられないからね。」
「・・・」
二人の間にはしばし押し黙りディーンは動き出す。
「俺は父上に会うよ。責任取ってもらわないとならないからね。ユージスとキリアンは本部で待機してて。」
「承知しました。」
言葉が終わると同時にディーンは移動魔法を繰り出した。
***
「サーディンです。至急ご報告しなければならない事があり参りました。」
「入りなさい。」
扉を開けた先の執務室には国王と宰相が揃っていた。
「急な案件なので父上に動いていただきたいです。」
「何用だ?」
淡々と顔色を変えずに話すディーンに国王は表情を変えずに返事を返す。
「王妃殿下とクリシスが我が婚約者に魔法抑制薬と他の薬を盛ってラデラ宮にて拉致監禁しています。」
「な?!それは誠か?」
「えぇ。魔法抑制薬を盛られた証拠も彼女は持っています。また、彼女の体には他にも盛られた薬がまだ体内に残っているはずです。」
「・・・・なんとゆうことを・・」
「先日クリシスと同席で話をした際も、私に対して王に相応しくないと豪語していましたし、そろそろ限界だろうとは思っていましたが、ルーシアを脅すためにミルティ・エルガディオ嬢まで拉致監禁しているようです。このまま放置すれば母上の首だけでは済まなくなるのではございませんか?」
国王の動揺を前に淡々と状況を説明し、宰相にも視線を向ける。
「マジェスティ宰相殿もそう思いませんか?」
「私は王の判断に従いましょう。」
問いかけに静かに顔色を変えず返事を返す宰相はすでに腹積もりはできているのだろう。
「サーディンよ・・そなたは母を断罪するのか?」
国王は父としてディーンに言葉を投げかける。その言葉は情に訴えかけようとしているわけではないことはディーン自信が一番よくわかっていたことだった。
「もういいでしょう。間違った知識でクリシスの王子の資質すら歪めてしまった以上目を逸らし続けることはできません。」
「この件を片付ければそなたは王太子の座から逃げることはできぬぞ。よいのだな?」
「大切なものを奪われるくらいなら俺が次代の王になりますよ。デビュタントで宣言もしていますからね。」
ディーンの言葉に国王は目を閉じてしばらくの沈黙のあと告げた
「証拠があるならあやつらも言い逃れもできまい。私を連れていけ。宰相。そなたもきなさい。」
「承知いたしました。」
「ではいきましょうか。」
ディーンは二人を伴い移動魔法を繰り出してルーシアの元へ飛んだのだった。




