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7.お茶会という名の罠







 豪華絢爛とはまさにこのことだろう。

 二回目といえる王妃主催のお茶会に招待されて、今侍女に案内を受けて歩みを進めている。

 天井も壁もキラキラと煌めく黄金の装飾が至る所に飾られ煌びやかな様子は王宮だからこそといえる。歩いている絨毯もふかふかしすぎていて地に足がついていない感覚に陥りそうだ。

 ルーシアが招待を受けた場所は、国王と王妃の住まうラデラ宮。豪華な黄金を多く使用したまさに王家の威厳を集約したような宮殿だ。他にも王太子と王太子妃用のアルウェ宮、王子王女の住むリソナ宮があるが、ラデラ宮程の煌びやかな装飾は施されてはいないらしい。。

 そして各騎士団や魔法師団、他王宮内には役職ごとの施設が各宮殿から少し離れた区画に配置されている。ディーンの暮らしている【全覚醒者】の為の館は王宮でも北側の奥まった場所に位置しており、建物自体も要塞のように他の宮殿とは風貌が全く異なる。

 ラデラ宮殿に入って1階奥の応接室に侍女に案内され入室するとどうやら最初に到着したのは自分だったのだと気づいた。

 今日は万が一何かあっても動きやすいようにフリルの少ないシンプルな濃紺のドレスを選んだ。前回のようにもしクリシスがいたとしても誤解を与えぬようデコルテはしっかりと隠し、袖もしっかりと綴じるものを選んだ。

 今日は何を勧められようと最低限の応対で済ませ最短で帰宅する気満々だ。

 外が少し複数人の声が聞こえてきたと感じ始めたころ王妃は侍女を2名従えてルーシアの待つ応接室にやってきた。

 「待たせてしまったわね。」

謝っているかのような振る舞いだが実際は顔は悪かったと感じているようにはとても感じない。微笑を絶やさずルーシアの向かいの席に腰掛けた。

 ルーシアは立ち上がりカーテシーで挨拶をしたのちにまた椅子に腰かけた。


 「今日はエルガディオ嬢とこれからの話をしたいと思っているのよ。」

 すでに隠す気などさらさらないようで、王妃様は早速本題を切り出した。

 「もうクリシスの気持ちは十分にわかったでしょう?」

 「恐れ入りますが、私には第2王子殿下のお気持ちをお受けする権利は有しておりません。ですので察することもご遠慮させていただいております。」

 「貴女が権利どうこうを口にすることすら不要です。クリシスが望むのであれば、エルガディオ嬢はただ受け止めたら良いのですよ。」

 初手から拒否するルーシアに対し、真っ向からその拒否自体ありえないと返してくる王妃様に厳しい現状を突きつけられる。

ルーシアは表情は崩さず穏やかに微笑みを返しはするが、胸中は穏やかではいられない。

 たとえ王命ではなかったとしても、現在王妃とディーンとでは力関係はまだ王妃の方が上といっても過言ではない。わかっているからこそのルーシアへの強気な発言なのだろう。

優雅に紅茶を啜る王妃に対し、譲歩する気は全くないことを今回はしっかりと伝えなくてはならない。その為の強行手段も仕方なしと考えていた。

 「王妃様。私はすでにサーディン殿下に婚約だけではなく忠誠としても誓っております。例え王妃様や第2王子殿下が私を求められようとも、私が従うのはサーディン殿下と国王陛下お二人のみでございます。」

 キッパリ言い放つルーシアの言葉にも全く王妃は動揺を見せない。

 「・・・私はもっと貴女は賢い選択ができると思っていたのにとても残念だわ。」

 扇を口元で仰ぎ不敵な笑みを浮かべつつ王妃はルーシアを流し見る。

 「ご期待に沿えず申し訳ございません。お話が以上でございましたら私はこれにて失礼いたします。」

 ルーシアも顔色を変えず、すっと席を立って部屋を出ようと歩みを進めようとした瞬間王妃は扇で差し止める。

 「お待ちなさい。せっかく貴女の為にお茶を用意したというのに、一口も飲まず食わずで去るというのは非常識ですよ。せめてお茶くらい飲んでお行きなさい。」

 「失礼いたしました。ではいただきます。」

 ルーシアは腰掛けるとティーカップを取り紅茶を啜ると、爽やかな果実の香が鼻孔をくすぐった。

ほうっと息を吐き紅茶の香を楽しもうとしたところで、すうっと目の前が暗くなっっていくのを感じルーシアは意識を手放したのだった。

 

 


 



















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