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14.救出ミッション











まだ薄暗い早朝。ディーン率いる覚醒者3名は、キリアンの転移魔法でリリッツ村に飛んでいた。

 「それじゃ俺ここの宿屋に親父と話してくるから準備しててよ!」

 リリッツ村の宿屋の馬小屋付近へ移動してすぐにキリアンは宿の手配に向かった。

 本部に集合した際キリアンは皆に再度状況の詳細を報告した。

 暗殺者の動向は日に日に活発化していて、直接ヤンドに飛ぶのは危険だろうという事だった。【資格者】を確保した後の一時避難場所を先に決めてから、そこから向かった方が良いのではと提案を受けたのだ。

 立地的に近くの街か村で、一番暗殺者が少ないのがこの村だったらしい。ウォードル伯爵の領地の町や村は、他の4か所の町や村も暗殺者が多いらしい。

 土魔法は地面の振動での探知を行う事ができる、キリアンは更に暗殺者と庶民の違いまで判断できるほど優れた探知魔法を使うことができる。

 本人曰く、歩き方が他の一般人と比べ暗殺者の歩き方は微妙に違うらしい。更にゴーレムを使い、視覚共有をで暗殺者の観察も行っていた為、ウォードル伯爵の領地内のおおよその暗殺者は把握しているという。とんでもない記憶力に能力だ。

 おかげでディーン達は暗殺者の対策がかなりスムーズに進めることができている。

 今回のおおまかな担当は、探知はキリアン、変装魔法などの視野の錯覚はルーシア、ユージスは護衛を行う事が決まっている。

 キリアンがそばを離れている間にルーシアは3人分の変装魔法をかけていく。

 とにかく目立たないように、3人とも焦げ茶色の髪色・瞳色に統一し、服は平民服を用意していたものを着用する。誰がどこから見ても3人は平凡などこにでもいる平民にしか見えない。宿の手配から戻ったキリアンにも同じ魔法をかけた。

 荷物を手配した宿において、キリアンは特殊魔法で大きなお皿のような器を馬小屋付近に創り出した。4人はその中に乗り込むとルーシアはその器に錯覚魔法をかけ周りからは目視できないようにする。器は4人を乗せ地面をスライドさせるように高速で移動していく。

 移動中も、キリアンは一人皿の上に立ち探知魔法と視覚で暗殺者を確認しているようだ。ディーンの案内で、妖精ルカの隠れている酒場付近まで移動する速度はかなり出ていると思うのだが、魔法の影響か風圧を感じず振動もほとんどない。まるで飛んでいるかのような器の移動に皆興味津々だった。

 リリッツ村の宿からヤンドまでは10キロ以上離れているはずなのだが20分前後でついてしまった。

 あまりにもスムーズな連携にルーシアは心の中で感動に打ち震えた。違う魔法同士の組み合わせで最強の隠密活動ができることを体感したのだから。

 キリアンはまだ学生なわけで、一体どうやって暗殺者の注視をしていたのかルーシアは聞いたのだが、どうやらキリアンそっくりのゴーレムを作って身代わりに学園に今も通わせており、全く問題ないらしい・・ゴーレムは人のように動き意思疎通もある程度はできるらしく優秀すぎて怖い。

 恐らく普段の業務や生活で魔法を有効に扱うのは、【覚醒者】の中で間違いなくキリアンが一番優秀だと思う。そんなキリアンをすぐに隠密向きと判断したディーンの判断力も素晴らしいのだろう。

 酒場向かいの人気のない路地に一度潜むと、ディーンは腕輪で念話を開始した。

 ≪すでに風妖精のルカの魔力は感じ取っている。そこまで俺とルーとキリアンは魔法で移動するよ。移動後すぐにルーシアが錯覚魔法で周囲10m付近を囲んでほしい。キリアンは念のため探知魔法で敵の動きを確認し、ユージスはこの場所から敵の動向を観察しつつ敵に動きがあった場合は攻撃を仕掛けるてくれるかな。暗殺者たちにばれなければ15分かからず遂行できるはずなんだ。みんな頼むよ。≫

 ≪承知しました!≫

 4人は黙って頷き合い3人は酒場の脇の路地まで魔法で移動後、ルーシアは錯覚魔法をすぐにかける。ディーンは魔法を確認するとキョロキョロとあたりを見回している。様子からして妖精の魔力を感じるので恐らく【資格者】を探しているのだろう。

 ディーンは並んでいる樽を見つめていると、樽と樽の隙間からひょこっと幼い少女が顔を見せた。

 「お嬢さんはルカのお友達でよいのかな?」

 目の前の少女にディーンは優しく声をかける。

 少女は食事をあまりとれていないのだろう。痩せてしまい、服も髪も薄汚れてしまっているが、今まで魔力を使って隠れていたとは思えないほど顔には生気が溢れている。不揃いな肩下までの深い緑の髪の毛とピンクダイヤモンドのような淡いピンクの美しい瞳がとても印象的な少女だった。

 「うん。お兄ちゃんたちがルカの言ってる助けてくれる人なの??」

 「そうだよ。今から安全な場所に避難したいのだけど、抱きかかえさせてもらっても良いかな?」

 少女の顔の高さまで体をかがめてにっこりと微笑ながらディーンが話しかけると、少女はこくりと頷いた。

 ディーンは≪【資格者】無事に確保。リリッツの宿にて合流する。≫と念話で全員に指示を告げる。各自転移魔法でリリッツ村の宿屋の馬小屋付近までまた移動した。

 離れていたユージスもすぐ合流し、5人は手配した宿の部屋に集合する。


 「皆任務ご苦労様。無事に少女を救出できてよかったよ。」

 部屋には椅子を宿屋に手配し5人が座り向かい合う。少女は少し上を見つめて黙っているのにたまにコクコクと頷いているのでルカと念話しているのだろうか。

 しばらく様子を伺ってから全員を労うとディーンは少女に体を向ける。

 「私はサーディン・メルリドです。お嬢さんのお名前を教えてもらってもよいかな?」

 「アスナ・・アスナ・ウォードル」

 少女の言葉に皆一様に表情が一瞬強張った。

 「私はルーシア・エルガディオです。よろしくね!」

 強張った空気を散らすようにルーシアは明るく挨拶する。

 「私はユージス・バチスです。よろしくお願いします。」

 「俺はキリアン・ヴィトラだ。よろしくな。」

 それぞれ挨拶をすると、少女は【覚醒者たちに興味津々の様子でそれぞれをそわそわしながら見つめている。

 「先ほどからルカがアスナ嬢に説明してくれているだろう?だから今の状況とこれからのことをアスナ嬢とみなに伝えさせてもらってもよいかな?」

 アスナににこっと微笑むとアスナはこくりと頷いた。ディーンも頷くと全員に向き直り話を始める。

 「無事にアスナ嬢を救出はできた。これからのことなのだけど、アスナ嬢はルカが言うには風の資格者で間違いないらしいよ。後ほどアスナ嬢の準備が整ったら覚醒をしてもらう予定だ。

 ただこの場所でするのは危険だろうから、ここには長居せず本部にはこの後すぐ戻ることにする。

 あと、敵の状況だけどキリアン報告してもらえる?」

 「今んとこ暗殺者どもはまだ気づいてないと思うね。ただ朝方話した通り連日動員される数が増えてるみたいだからさ、風の覚醒者が見つかったって気づかれたら向こうがどう動いてくるかわかんないよ?アスナ嬢・・ウォードル家の令嬢・・なんだろ?」

 キリアンは気まずそうにアスナをちらりと横目で見ながら遠慮がちに告げる。

 「そうだよ。アスナ嬢はウォードル家のご令嬢だ。ルカの話だと、どうやらウォードル家の令嬢と平民の間に生まれた婚外子ということになっているようだ。ルーシアの拉致監禁事件の少し前にルカがアスナ嬢と接触してわかったらしくて、小屋で監禁状況だったルカがアスナ嬢に魔法の使い方も教えて脱出して身を潜めていたようなんだ。

 問題は懸念している通り、アスナ嬢がウォードル伯爵の孫であるという事だ。恐らくあちら側はアスナ嬢を連れ戻そうとするだろう。だからこそ【覚醒者】となりアスナ嬢には自分の進む道を自分の意志で決めてもらわなくてはならない。

 俺たちは彼女の意思を見守りサポートするのが今後の任務だ。良いかな?」

 「「「 承知しました 」」」

 「アスナ嬢には一度俺たちの魔法師団本部に一緒に来てもらって、君の安全を守りたいのだけど一緒に来てもらえるかな?そこでご飯も食べよう?」

 「はい!」

 少し緊張した面持ちでアスナが返事をすると、アスナのお腹がぐーっとなった。

 「あっ・・えと・・」

 「お腹減ったよね!一緒に行きましょう?」

 顔を赤くしてお腹を両手でおさえるアスナに、ルーシアはそっと彼女の頭を撫でてにこっと微笑んだ。 アスナは顔を赤くしたまま俯きつつも、強張った表情は消えて嬉しそうに頷いた。


 キリアンとユージスは先に移動し、ディーンはアスナに通信のブレスレットを手渡すと使い方を説明してからルーシアとアスナと手をつなぎ転移魔法で本部へと戻ったのだった。











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