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1 友達になろうよ。

 天と慧


 友達になろうよ。


 天が見上げる空は青色だった。なんにもない空。つまらない空だ。少しの間、そんな風にぼんやりとしながら青色の空を眺めたあとで、天はゆっくりと視線を大地のところに戻して、そしてもう一度時計(銀色の数字の書きかたがへんてこでかわいいお気に入りの小さな腕時計)を見て、時間を確認する。

 ……、遅い。いくらなんでも、遅すぎる。

 天は少しいらいらする。温厚な天でも、あんまり遅刻がひどすぎると怒りたくもなってくるものだ。(しょうがないだろう。時間は大切なのだ)

 待ち合わせの場所もあまりよくなかった。人のとても多い大きな駅の駅前の有名な待ち合わせ場所だ。(有名な彫刻家の作ったへんてこな彫刻の前だった)そこにさっきからずっと一人で天は立っていた。ちらちらと人の視線のようなものを感じる。どうしても見ず知らずの人に見られてしまう。それは昔からずっとそうだった。

 天は子供のころからとてもかわいくて、綺麗な顔をした女の子だった。それは十五歳の高校生になった今もかわっていなかった。天はとても美しい少女に成長していた。(誰もが思わず目を動かして見てしまうような、すれ違ったときにふと振り返ってしまうような美人だった)

 しかも、天は正真正銘の名家のお嬢様で、そして着ている洋服は天の通っている有名なお嬢様学校の制服だった。(それではいくらなんでもすごく目立ってしまうので、天は制服の上にらくだ色の上品なコートを着ていた)

 本来、お嬢様である天はこんな風に駅前で待ち合わせなんかしない。いつも車で送り迎えをしてもらっている。(天だけではなくて、だいたい学校のみんながそうだった)そんな天がどうして人のとても多い大きな駅の駅前で待ち合わせをしているかというと、(そもそも人が多いところは苦手なのに)それは今待っている人物に理由があった。

 天はいらいらして、とんとんと指で自分のひじを叩きながら、小さく足ふみをする。

「ごめん、まった?」といってそれから十分後にその人物は天のところに(悪びれることもなく)やってきた。(結局三十分の遅刻だった)

「ううん。大丈夫。私も今きたところなんです」と(むっとして怒るつもりだったのに、その人物の顔を見て)にっこりと花が咲いたような満面の笑顔で笑って天は言った。

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