4.ストーカー
「あ、また恋愛相談だ
しかも男の子からとは珍しい……ん?」
「どうした?」
「あ、いえ……
これ、なんかまずいなと思って」
Q.僕には好きな女の子がいます。
同じ中学で出会って、これは運命なんだなと確信しました。
その子は素直になれない性格で、専門用語でツンデレというやつです。
時々洒落にならないくらいの攻撃が来ますが、彼女なりの愛情表現です。
ちなみに僕は全然痛くありません(汗)。
同じクラスのヤンキー(笑)がよく殴ってきますが、それも効きません。
全然効いてないのにキャッキャと喜ぶチンパンジーだと思ってます(汗)。
それはそれとして、最近僕の彼女の様子が変なんです。
話しかけても返事をしないし、休み時間には教室にいないし、
電話もメールも無視されるしで、わけがわかりませんでした。
でも、家族会議で判明したのは意外な事実でした。
なんと、彼女はストーカー被害に遭っているそうです。
どうりで洗濯物を外に干さなくなったし、戸締まりも厳重なはずだ。
僕は、ストーカーなんて卑劣な犯罪行為をする奴が許せません。
彼女を守るためなら卑劣なストーカー野郎と刺し違えてもいい覚悟です。
まあ実際は僕の圧勝なんですけどね(笑)。
ここだけの話なんですが実は僕の家は忍者の家系で、
幼少期に祖父から特殊なトレーニングを受けてました。
当時の僕はそれが秘伝忍術の特訓だとは知りませんでしたが、
覚醒して第三段階に入った今なら全てを理解できます。
どうやら僕は一族きっての稀有(けうって読みます)な能力の持ち主で、
殴られても痛みを感じないのはその特異体質のおかげです。
その秘伝忍術を民間人相手に使用してもいいのか悩んでいます。
僕が本気を出したらストーカー(笑)なんて一瞬で消し炭になるでしょう。
殺人なんてしたくはないのですが、彼女の平穏を守りたい。
この複雑な心境を理解できる人は少ないでしょうけど、
どうかアドバイスがあったらお願いします!(中2・男子)
「適当にやっとけ」
「はい」
A.彼女さんの平穏な生活を守りたいのなら、
あなたが集めた証拠を持って警察に行きましょう。
特に、彼女さんが家族会議で打ち明けた会話は重要だと思います。
卑劣な犯罪者を野放しにしてはいけません。
それでも警察が動かないようなら、その時こそ秘伝忍術の出番ですよ。
第四、第五段階があるのかは知りませんが、頑張ってください
「──あれから1ヶ月経ちますが、
少年Aからの反応ありませんね」
「捕まったんじゃねえの?」