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第十話 放課後

 学校では授業はつまらないが、何気ない会話や出来事がそれなりに楽しく一応充実した学校生活を送っている。


 昼食の後は睡魔が綾人を襲い、放課後までついつい寝てしまっていた。残りの二時限はどちらも優しい先生だったようで、幸いなことに教科書の角とかで頭を叩かれて起こされるようなことはなかった。


 朝からみぞおちパンチ食らったばかりだし。



「おい綾人」



「なに」



 綾人は友人に呼ばれて、めんどくさそうに頭をあげた。その瞬間、背中を柔らかい感触が覆ってくる。綾人には、その原因が何なのかすぐに理解した。



「あんず、重い」



「あ〜! いくら可愛い妹だからってそんなこと言っちゃダメなんだよっ!」



「自分で言うか」



 あんずはジャンプしながら綾人を押し潰そうとする。もちろん潰れることはないのだが、昨日肺を傷つけた影響があり、押されるたびに針で刺されたような痛みがある。昼食に鎮痛剤を飲んでいなければ、もっとひどい痛みに襲われていたことだろう。


 あんずは綾人が止める前に満足したらしく、乗っていた背中を離れ、友人に話しかける。



「いつもお兄ちゃんの話し相手ありがとうございますっ」



 あんずはペコリと軽く頭を下げる。



「いえあのえっと〜」



「では失礼しますっ」



 照れてしどろもどろになっている友人を特に気にすることなく、あんずは綾人の腕を掴んで強引に引きずり下ろし、そのまま教室を出た。友人は未だにその事に気がついていない。明日になったらまた綾人に文句の一つや二つ言うのだろう。


 あんずは早歩きでそのまま真っすぐ学校を出る。



「なんでそんなに急いでるんだ?」



「冬美さんの仕事みてみたくなったのっ」



「あぁ、そゆことね」



 あんずは時々冬美の仕事を見学する。本人曰く、普段とは違う姿を見れることが楽しいとのこと。冬美も転生執行中は綾人達の姿をみる事ができないので仕事中に気が散ることはないだろう。


 到着するとすでに冬美は転生人を呼ぶ準備をしていた。綾人とあんずはじゃまにならないように昨日と同じ柱の陰に並んで座り、その様子を見守る。


 こうしてみると、血を飲んだり、自ら染まっていったりしているひとと同一人物とは思えないくらい神秘的な仕事をしているんだなと実感させられる。そもそもの話、自ら進んで血を浴びている人なんて冬美以外いないと思うが。



「冬美さんかっこいいっ」



「あんずもやってみたいか?」



「う〜ん、まだわかんないっ」



 あんずにはまだやりたい仕事は見つかってないらしい。中等部だと一般教科しか勉強しないので、まだ転生員の仕事について詳しく知らない。綾人はもしかしたら今こんなに興味持ってるんだからゆくゆくは転生員になるんじゃないかと、勝手な期待を膨らましている。


 今回は特に問題が起こることなく、スムーズに仕事が終わったらしく綾人の予想よりも早く冬美は椅子から立ち上がった。ちなみに冬美の前は白い床が広がってるだけだが転生される人から見ると五十段位の階段が続いているように見えるらしい。仕組みはわからない。



「あれ? 綾人くんとあんずちゃん。 見てたんだ」



「冬美さんかっこよかったよっ」



「そうかな?」



 あんずに褒められた冬美は恥ずかしそうに頬を染める。実をいうと冬美も、あんずが将来、自分と同じ仕事をするんじゃないかと少し期待している気持ちもある。



「仕事は終わりか?」



「そうだね。 今日久しぶりに家に遊びに行ってもいい?」



「いいよっ」



 綾人が返答しようとするとあんずがそれを遮るように返答する。もちろん綾人も断るつもりはなかったので承諾の意味を込めて軽く頷く。



「じゃあ、家に帰って着替えとってから行くね」



「早く来てねっ」



「がんばります」



 冬美はびしっと敬礼をすると、足早に帰っていった。綾人達も冬美の背中を見送ったあと、兄妹仲よく帰路についた。

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