第95話 トリシャは道を元に戻せない
この作品はカクヨムに投稿した物です。
出発の準備ができるまで、フローラたちは庁舎内の応接室で待つことに。
応接室でトリシャはくつろいでいるが、フローラが道を直せると尋ねると
トリシャは道を元に戻せないと答える。
町長はわたしの提案をしぶしぶ受け入れ、これで崩落現場へ向かうことになりました。
ただ、町長は
「崩落現場までは距離がありますので、準備をする必要があります。
なので、庁舎の中でお待ちください」
と準備と距離がありますので、すぐに向かうことはできません。
「わかりました。準備ができるまで、庁舎で待つことにします」
準備に時間がかかるので、わたしたちは庁舎の中で待つことにします。
「わかりました。ご案内します」
町長はわたしたちを庁舎内へ案内しますが
「それじゃ、わたしは店に戻るよ。王女様とエルフのお嬢ちゃん、あとは任せたよ」
リタさんは店に戻ると言います。
「リタさん、ありがとうございます。まだ何ともいえませんが、手は尽くします」
「王女様、お礼なんていいよ。無理なものは仕方がないし、この町に住んでたら
峠が崩れて2年や3年通れないことなんて、何度もあるから別にいいよ。
でも、気をつけてるんだよ」
リタさんはそう言って、去っていきます。
そして、リタさんは峠の道が崩れることが何度もあったと、わたしに教えてくれました。
「では、こちらへどうぞ」
リタさんが去ると、町長は庁舎の中へわたしたちを案内します。
入口を入りますと、町長は奥にある応接室へ案内します。
「こちらの応接室でお待ちください」
町長は応接室のドアを開けます。
応接室は、テーブルと向かい合ったソファーが2つあります。
そのソファーとテーブルの他に、飾ってある絵画や、皿、壺などは
地方の庁舎のものとしては、良いものを使っていますね。
とくに絵画は有名な画家の絵でありますが、絵のタッチから本物のようです。
(これをどうやって手に入れたのでしょう)
わたしはこう思いながらも
「ありがとうございます。では、お待ちしています」
と言って、トリシャ様と応接室に入り、ソファーに座ります。
「私は準備がありますので、これで失礼しますが、暖房を入れに職員が来ますのでお待ちください」
町長はそう言って、頭を下げると去っていきます。
町長が去って、しばらくソファーに座ると、女性の職員が部屋に入ってきます。
「フローラ王女殿下、失礼します。暖炉の火を入れにまいりました」
その職員は頭を下げると、暖炉に薪をくめ、暖炉に火を入れます。
手慣れたもので、すぐに火がつきます。
「では、失礼します」
暖炉に火がつきますと、女性職員は頭を下げ、ドアを閉め、部屋を出ていきました。
「ふう、これで落ち着くかな……」
部屋のドアが閉まると、トリシャ様はわたしの隣でくつろいだ表情になります。
「これから道を元に戻す、大事なお仕事がありますので、それまでゆっくりしてくださいね」
わたしはトリシャ様をからかうように言いますと
「多分、道は元どおりに直せないと思うよ」
と言います。
「え、そうなのですか!?」
わたしはトリシャ様ならば、元どおりにできると思っていたので
驚いて変な声が出ました。
「馬車5台分の長さで、断崖の道が崩れたら、あたしでも無理だよ」
トリシャ様はくつろいだ表情をしながら、はっきり無理と答えます。
「では、なぜ直せるとおっしゃったのですか?」
わたしはトリシャ様に尋ねます。
「道を元に戻すのは無理だよ。でも、元に戻せないなら、別の道を作ればいいだけだよ」
トリシャはふふんと鼻を鳴らして、答えます。
「別の道ですか?」
わたしはさらに聞き返します。
「そう、別の道。木の橋を作っても、雪の重みでまた崩れてすぐにダメになると思うよ。
あと、土や大地の魔法で崩れたところを、戻すにしても、断崖じゃあたしでも無理。
だったら、山に穴を掘って、そこを道にすればいいだけだよ」
今度はふふふっと笑いながら、トリシャ様が答えます。
「なるほど、崩れやすい場所をトンネルで避ければよいのですね」
わたしは感心します。
しかし、問題は、山にトンネルを掘ると言っても、簡単なことではないと思います。
それに、穴を掘っても、出口が先の道につながらなければいけません。
「しかし、トンネルを掘ると言いましても、簡単ではないですよね」
「そうだね。さすがのあたしでも、今日中には無理かな。
でも、アルニルが元気になるまでには、ひとまずは掘れると思うよ」
トリシャ様はこうおっしゃいますが、つまり2、3日で完成させるつもりのようです。
「そんな短い期間でできるのですか?」
さすがのトリシャ様でも、2、3日でトンネルを掘るのは無理だと思います。
まだ現場を見ていませんし、掘る長さもわかりません。
「あくまでも予想だよ。実際にどれぐらいかかるかは、実際に見ないとわからないけどね」
トリシャ様はあくまでも予想と答えますが、やはり現地を見ないとわからないですよね。
「そうですよね。しかし、トンネルならば、安全になりますね」
どれぐらいかかるかはさておいて、トンネルが出来れば安全性は格段によくなります。
「だから、それまでここでのんびりするよ。それにしてもお茶ぐらい出してもいいんじゃないかな」
トリシャ様は笑いながら冗談で、こうおっしゃいますと、ドアをノックする音がしました。
「フローラ王女殿下、失礼します。お茶をお持ちしました」
先ほどの女性職員が、お茶を持ってきたと言います。
「ありがとうございます。中へどうぞ」
「失礼します」
女性職員は、ドアを開け、お茶を持って部屋に入ります。
そして、それを見たトリシャ様は、気まずい表情になり、わたしの背中に隠れるのでした。
お読みいただきありがとうございます。
現場の状況はわからないものの、トリシャは話から道をそのまま直すのは無理と判断しました。
また、直してもまた崩れるなら、トンネルにして根本的に解決するという考えです。
ただ、やはり現場を実際に見ないと、トリシャももわからないです。
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@shiizu17




