第88話 宿場町でのお買い物 その1
この作品はカクヨムに投稿した物です。
買い物のため宿を出たフローラたちはアトラ商店に向かいますが
日が高くなったものの、日陰はまだまだ寒いく、日陰には霜柱が出来てる。
トリシャは霜柱を見つめると、踏みたくなると言って踏みに行く。
わたしはトリシャ様と宿を出て、アトラ商店に向かいます。
「日が出ても、まだ寒かった……」
宿から出るやいなや、トリシャ様が寒いと言います。
「確かに日が当たらない場所は寒いですね」
わたしは薄い上着を着ていますが、日陰は寒いです。
ただ、日が当たる場所は暖かく、薄い上着でちょうど良いです。
「日陰と日向では暖かさがまったく違いますね」
日陰ではまだまだ空気の冷たさを感じますが、日向は逆にちょうど良い暖かさを感じます。
そして、日陰では霜柱が立っており、朝の冷え込みは思った以上だったようです。
「この時期なのに、もう霜柱が立つほど冷えたのですね」
わたしがこう言いますと
「本当だ、霜柱があるね。こういうのを見ると、踏んでみたくなるよね」
とトリシャは、日陰の霜柱の方へ行くと、ザクザクと音を立てながら踏み出しました。
「誰も踏んでないみたいだから、踏み放題だよ」
トリシャ様は子供のように笑いながら、地面を踏んでいます。
(見た目は確かに子供ですね……)
わたしはこう思いますが、トリシャ様は背が低く、体型がすっきりしていますので子供のように見えてしまいます。
しかし、わたしたちの中で年齢は最も上で500歳となります。
人間から見ましたら、500歳はとてつもない年齢ですが、エルフでは若い方らしいです。
現在のエルフは1000年以上生きるそうですが、エルフも以前よりも寿命が延びているらしいです。
「いくつになっても、霜柱を踏むのは楽しいね」
笑顔で音を立てながら、霜柱を踏んでいるトリシャ様はほほえましいです。
わたしも思わず笑顔になりますが
「あのお姉ちゃん、霜柱を踏んで楽しんでるよ」
という子供の声が聞こえました。
トリシャ様が霜柱を踏んでいる様子を見ていましたら、いつの間にか子供たちが集まっていました。
「あの耳、エルフじゃない?」
子供たちの1人の女の子がこう言いますと
「ぼく、絵本以外でエルフを見たのはじめてだよ」
「わたしも、絵本以外ではじめて見たよ~」
と子供たちは本物のエルフを見て喜んでいます。
「でも、絵本だとエルフってもっと背が高く、大人じゃないの?」
「そうだね。あのお姉ちゃん、背もおっぱいも小さいよね」
「それじゃ、子供のエルフなんだ」
「へー、そうなんだ。それじゃ、ぼくたちと一緒なんだ」
「でも、エルフって子供でも100歳を超えてるらしいよ~」
「うちのおばあちゃんよりも年上で子供か、それじゃやっぱりお姉ちゃんか」
子供たちはトリシャ様のことをこう言いますが、わたしは苦笑いをしています。
ただ、子供たちは初めてエルフを見て、無邪気に言っているだけです。
なので、注意をするのではなく、わたしはそれとなく話しかけることにします。
「こんにちは、町の子供たちかな?」
わたしは子供たちに挨拶をします。
「こんにちは~お姉ちゃん」
「こんにちは、お姉ちゃんはあのエルフのお友達なの?」
子供たちがこう聞いてきますので
「はい、一緒に旅をしているお友達です」
と答えます。
「そうなんだ~。お姉ちゃんはエルフの子供の面倒をみながら旅をしてて大変だね~」
1人の子供がこう言いますが
「エルフの子供はこの姉ちゃんより、年上だからお姉ちゃんが面倒を見てもらってるんだよ~」
と別の子供がこう言います。
(確かに面倒は見ていますが、トリシャ様には……)
わたしはアルニルに身の周りのことをすべて任せているので、子供たちの言うとおりです。
しかし、トリシャ様に関しては、知識などはありますが、身の回りのことまではしていません。
なので、何と答えたら良いか迷いましたが
「旅はみんなで協力し、助け合いますから、誰が面倒を見るのではないんですよ」
と答えます。
「そうなんだ~」
子供たちはわたしの言ったことをわかってくれたようです。
「なので、みなさんお友だちが困ってたら、助けあってくださいね」
わたしはひざを折り、子供たちの目線の高さでこう言って、一番近くの子供のあたまをなでます。
「うん、わかった。でも、エルフのお姉ちゃんは、霜柱ではしゃいで子供っぽいよ~」
頭を撫でた子供は、トリシャ様のことをこう言います。
(子供ですから、はっきり言いますね……)
わたしもトリシャ様を子供のようと思っていましたから、何も言えません。
しかし、ここで厳しく言うのも違います。
「大人も、時には子供のようなことをしたい時があるのですよ」
とわたしは優しく言います。
「そうなんだ。大変だね~」
「うちのお父さんも、時折わたしと遊ぶから、わかるよ」
「大人は大変だからね」
子供たちはうんうんといいながら、わたしの言ったことをわかってくれました。
ただ、これはこれで複雑な気分ですが、この場を収めるにはいいでしょう。
「お姉ちゃんたちはお買い物に行くから、気をつけて遊んでね」
「うんわかった~」
「お姉ちゃん、またね~」
「王女さままたね~」
子供の1人が思わず、王女様といいます。
「あ、それ言っちゃだめだって~、王女さまが来てるのは知ってたけど、黙ってないと~」
「しまった~、でもこんな綺麗な服を着ている王女さましかいないしね~」
「うん、本物の王女さまはきれいだよね~」
「だね~、それじゃね、王女さま~」
「ばいばい~」
子供たちはこう言って「わー」と声を出しながら、この場を去っていきました。
(わたしのことに気づいていたのですね)
子供たちはわたしのことに気づきながら、あえて気づいていないふりをしていたようです。
これは子供たちの気づかいだと思いますが、子供だからといって侮ってはいけないようです。
「はぁ……」
わたしは思わずため息をつきます。
「姫様、子供たちと何を話してたけど、ため息ををついてどうしたの?」
満足したトリシャ様が戻って来て、こう尋ねます。
「子供だからといって、侮ってはダメだとわかりました」
わたしはこう答えますが、トリシャ様は首をかしげています。
「何でもありません。ちょっと挨拶をしただけですので、アトラ商店へ向かいましょう」
「そうだね、それじゃ行こう」
わたしとトリシャ様はアトラ商店へと歩き出します。
アトラ商店の場所は宿の主から場所を教えてもらっていますが、
山の中の宿場町といっても、意外と広いです。
「こんな山の中なのに、意外と広いんだね」
トリシャ様は、宿の主から受け取った簡単な地図が書かれた紙を見てこう言います。
「峠と峠の間の拠点になる町で、役所が設置されていますからね。
なので、思っているよりも大きな町ですよ」
山の中でありましても、山賊たちを捕まえ、拘留できる施設があります。
また、町自体も宿や商店が立ち並んでおり、山の中と思えないほど賑やかです。
「確かに、昨日の宿場町よりも賑やかだね」
トリシャ様も店や道行く人たちを見て、こう言います。
「そうですね。しかし、昨日はあまり馬車や旅人を見てませんが、ここにはたくさんいますね」
昨日はほとんど馬車や旅人とすれ違うことが無かったのですが、町にはたくさんの人がいます。
そして、よく見ると、困った顔をしている人が多いです。
「何かあったのかな?」
トリシャ様もこう言います。
「わかりませんが、今はアトラ商店へ向かいましょう」
様子がおかしいことはわたしもわかりますが、まずはアトラ商店へと向かいます。
「そうだね」
トリシャ様もこうおっしゃいます。
わたしたちは町の通りを歩いて行き、アトラ商店に到着したのでした。
お読みいただきありがとうございます。
年齢的には最も上であっても、霜柱を見てはしゃぐトリシャがかわいいです。
そして、それを見ている子どもたちも、エルフを始めてみて楽しんでいます。
子どもたちはフローラを直接見るのは初めてですが、着ているの物が違うのですぐ気づいていまいた。
ただ、子どもたちはトリシャの方が気になっていました。、
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