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第85話 朝食をとりにいきます

この作品はカクヨムに投稿した物です。


アルニルも再び横になり、状況も変わらないので

フローラは朝食を取りに行くことにします。

変わらない2人の様子でありますが、これを見たイザベラは


「このままですと、2人とももじもじとしているだけで何も変わりませんよ」


とわたしに耳打ちをします。


「確かにそうですね」


わたしもこう耳打ちします。


「しかし、これはこれでやはり良いですから、もうしばらく見てみましょう」


イザベラは嬉しそうに耳打ちします。


(確かに良いですが、このまま何もないのもどうでしょうか)


わたしはこう考えます。


「本当にこのままでよいのですかね?」


わたしはイザベラに尋ねます。


「いいんじゃないですか?2日はこのまま滞在しますし、時間はありますよ」


イザベラはこう答えますが、確かに時間はあります。

しかし、かといって食事をしなければなりませんし、他にやることも……。

わたしは他にやることがないか考えますが、思いつきませんでした。


(アルニルの回復を待つことを考えていましたが、それ以外のことを考えていませんでした)


アルニルの身体のことばかり考え、わたし自身……

いえ、イザベラやトリシャ様、アランたちのことも考えていませんでした。


「確かに時間はあります。しかし、せめて食事はしましょう」


わたしは食事をすることだけをイザベラに言います。


「朝食はまだ早いそうですから、まだしばらくは2人を見ていられますよ」


イザベラはこう耳打ちしますと、相変わらずニコニコしています。


「そうですね。ただ、このまま立っているのも疲れますので、座りたいですね」


わたしとイザベラは立って2人を眺めています。

しかし、このままの状態が続くなら、立っているのも疲れてきます。


「そうですね。椅子の1つはトリシャが使っていますので、フローラ様がお座りになってください」


イザベラはこう言いますが、椅子は2脚あり、そのうち1つはトリシャ様が使っています。

なので、座れるのはわたしとなります。


「では、座らせてもらいます」


「では、椅子をこちらに運びますね」


イザベラは机にある椅子を、わたしの元に運んできました。


「ありがとうございます。では、失礼します」


わたしは椅子に座り、2人の様子を見ますが全く進展がありません。

むしろ、アルニルは上体を起こしていましたが、再びベッドに横になっています。

トリシャ様はそれを見て、下を見てもじもじしながらぶつぶつ言っています。


(この様子ですと、ここまでですかね)


アルニルは寒さからなのか、まだ体力が回復していないのかわかりませんが

身体を起こしているのも、まだ大変なようです。


「どうやら、ここで終わりですかね」


イザベラは残念そうに言いますが、仕方がありません。


「仕方がありませんよ、それに、本日と明日は時間がありますから、楽しみが増えたと思いましょう」


わたしが冗談でこう言います。


「フローラ様もなんだかんだと、楽しんでいるのですね」


イザベラはこう言いますか、ニコニコしながらもこの状況をとても楽しんでいます。


「イザベラ、わたしは冗談で楽しみが増えたと言っているのですよ」


わたしはあくまでも冗談で言っているとイザベラに伝えます。


「え、そうなんですか?てっきり楽しんでいるかと思っていましたよ」


イザベラはわたしが冗談でなく、本気で楽しんでいると思っていたようです。


「冗談に決まっていますよ。本気で楽しんではいません」


「そうだったのですか。わたくしにはとても楽しんでいるようにしか……」


イザベラはあまりにも意外だったので、言葉が出なくなっています。


(本当は楽しんでいましたが、本気ではありませんから)


わたしはこう思いますが、状況が変わらないのでこの場は一度締めるとします。


「アルニルも再び寝てしまいましたし、朝食をいただいてから出直しましょう」


「そうですね。今日1日時間はありますので、空腹を満たしましょう」


「では、下に向かいますか」


「そうですね」


わたしは立ち上がりますと、イザベラが部屋のドアを開けます。

すると、トリシャ様も立ち上がりました。


「あたしも、行くよ……」


トリシャ様も朝食をいただきに行くといいますが、頬は赤く染まっています。

そして、照れているのか、わたしとイザベラには目線を合わせません。


「では、トリシャ様もご一緒に行きましょう」


「もちろんだよ」


「ドアを開けっ放しでは、部屋が寒くなりますので早く行きましょう」


「ですね」


わたしは部屋を出ますと、トリシャ様もわたしの後につきます。

イザベラはドアを閉めますと、食堂へ向かいます。


「廊下はかなり冷えていますね」


日差しが入り始めましたが、息が少し白くなるぐらい廊下は冷えています。


「本当、まさかこんなに冷えるとは思わなかったよ」


トリシャ様は薄手の長袖なので、廊下はかなり寒いようです。


「トリシャ、その格好では寒いですよね」


トリシャ様の後ろを歩いているイザベラもこう言います。


「イザベラ、着るものが無いんだから仕方がないよ」


トリシャ様は寒くても、着るものが無いのでこのようにおっしゃいます。


「それもそうですね。しかし、次の峠はもっと高い峠でしたよね」


イザベラが言うとおり、次の峠はさらに高い山を越える峠です。


「そうなると、もっと寒いってことかな」


「ここでこれだけ冷えてますから、そうなりますね」


さらに高い峠ということは、さらに寒くなるということになります。


「うう、それならここで着るものを買っていくよ」


「そうですね、その方が良いですね。フローラ様もよろしいですね」


イザベラがわたしに尋ねますと


「もちろんですよ。時間もありますので、お買い物もよいですね」


とわたしは少し嬉しそうに答えますと、1階へ向かう階段を降りていくのでありました。


お読みいただきありがとうございます。


アルニルとトリシャのことはひとまずここまでです。

お互いの謝罪は完全ではないものの、ひとまずはといったところです。

フローラは冗談で楽しんでいたと言っていましたが、イザベラはこの状況を本気で楽しんでいました。

多少の温度差はあるものの、2人はアルニルとトリシャのことを楽しんでいました。


次回は宿場町でのトリシャの防寒着の買い物です。


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@shiizu17

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