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第84話 アルニルとトリシャ その2

この作品はカクヨムに投稿した物です。


前回からの続きです。

2人の様子を見ながら、フローラとイザベラが話をしています。

わたしとイザベラは、もじもじしているアルニルとトリシャ様の様子を見ています。

アルニルもトリシャ様も、何か言いたげですが、その言葉が出てこないようです。

きっと、お互い謝罪をしたいのでしょう。

しかし、その言葉がどうしても出てこないようです。


「2人とも、素直に謝れませんね」


イザベラはこの様子を見て、ニコニコしながらこう言います。


「そうですね。アルニルは下を向いて頬を染めて、トリシャ様はアルニルから目線を逸らしていますね」


わたしもイザベラと同様にニコニコしながらこう言います。


「アルニルは前世でも、同じようにもじもじしてトリシャに謝ることができませんでしたね。

しかし、男性でもかわいかったのに、アルニルになったらさらにかわいいですね」


イザベラはアルニルがかわいいと言って、頬に手を当て顔が紅潮しています。


(確かにアルニルのしぐさはかわいいですが……)


わたしはイザベラの反応を見て、すこし引いてしまいます。

イザベラは前世では、聖職者でありながら女性を抱き、妻帯者であった

破戒僧だったことを思い出しました。


 ただ、破戒僧ではありましたが、聖職者としての法力の能力が高かったです。

魔法と法力の違いは正直わからないのですが、法力は魔力と

厳しい修行による肉体と精神の鍛錬を行って得るものらしいです。


 そのため、魔法の書などの書物はないので、魔法のように

魔力があれば、魔法の書の呪文を唱えれば使えるというものではないようです。

ただ、回復の法力に関しては、魔力があれば使えるそうです。


 前世でファーガスに説明したのですが……ファーガスは理解できなかったのか、

記憶に全く残っていません。

魔法と法力の違いは、わたしが学院の図書室にあった書物を読んで得た知識です。


 話が思わずそれてしまいましたが、現在は敬虔な聖職者だと言っていました。

しかし、これを見ると、前世の名残はまだあるようですね。


「イザベラ、前世で女性を見ていた時の顔になっていますよ」


わたしは小声でイザベラに言います。


「はっ!すみません、アルニルがかわいすぎたため、思わず我を忘れてしまいました」


イザベラはわたしの声で、我に返りました。

しかし、顔を紅潮させ、口が開き、緩んだ顔をしていました。


「アルニルのかわいさは、女性が見てもかわいいと思います。

しかし、先程のような緩んだ顔は、見ず知らずの人に見せられませんよ」


わたしはからかうように言います。


「フローラ様、この旅で少しファーガスっぽくなって来ていませんか?」


イザベラはこう言いますが、思った反応と違います。

ただ、ファーガスの記憶を振り返ってみますと

ファーガスは意外と嫌味っぽい言い方をしています。

脳筋と周りから言われていましたが、のちに領地を得て領主になっています。

ですので、地頭は良かったのでしょう。

 

 先ほどの魔力と法力の違いが理解できなかった話ですが、魔法に関しては

あまり理解しておらず、勇者の力と持ち合わせた魔力で使っていたようです。

ただ、やはり魔法よりも剣だったので、最後は物理と力で押してはいましたが。


「そうですか?」


わたしはそのように思っていなかったので、意外に思います。


「少しファーガスっぽく嫌味……とは言いませんが、からかうようなおっしゃり方をしましたので」


イザベラはわたしがからかったことが、意外だったようです。


「それでですか。わたしは王女と言いましても、17歳の女の子ですよ」


わたしはイザベラに17歳の女の子だと言います。


「確かにそうでした。王女というお立場なので、相手をからかうようなことをしない

という思い込みがあったようです」


イザベラはわたしが王女ということで、年相応なことをしないと思ったそうです。


「それはしかたありませんよ。ただ、長い旅に出て、城や学院での公務や勉学以外の

経験をしているので、開放的になっているかもしれません」


普段は学院での勉学や公務が多く、王都から出るのはお父様が地方視察などに行く時だけです。

安全のために護衛に囲まれ、決められた道を移動し、宿泊する場所へ移動するだけです。

そして、食事と入浴以外は部屋に居るだけなので、立場上しかたがないとはいえ

面白いことはありません。


 なので、今回の旅のようにある程度は決められた行程ではありますが

宿の中を自由に歩け、食事をしに宿を出て、町を歩くのはとても良い経験です。

護衛として、アルニルとトリシャ様がいますが、2人は護衛というよりは仲の良い仲間です。

それには堅苦しさはなく、楽しんでいるので、普段より解放されているようです。


「決められた道を進んではいますが、最低の護衛のみ、宿や町では自由に歩けますので

普段と比べましたら、とても自由ですね」


イザベラも理解します。


「なので、年相応のことをしたのです」


「わかりました」


わたしとイザベラは笑い合います。

そして、アルニルとトリシャ様を見ます。

わたしとイザベラが話している間も、2人の様子が変わることはありませんでした。

お読みいただきありがとうございます。


フローラとイザベラはアルニルとトリシャの様子を見て楽しんでいますが

イザベラの顔を見て、前世でのことを思い出します。

イザベラは清い身体ですが、かわいいものを見て興奮しています。

それを見て、前世の名残をフローラが感じました。


イザベラはフローラがからかうのは、イメージ外なので意外と思っていますが

この旅で王女での重圧がなく、ある程度の自由があるので、フローラも年相応な行動をしています。



ツイッター

@shiizu17

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