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第83話 アルニルとトリシャ その1

この作品はカクヨムの投稿した物です。


トリシャも部屋にやって来て、アルニルとトリシャは互いに非を認めて反省します。

ドアをノックする音がすると、イザベラが


「トリシャですよね、フローラ様もおりますので入ってください」


と言って、ドアを開けます。


「イザベラ、少しは心の準備をさせてよ」


ドアが開くと、少し照れているトリシャ様が立っています。


「長い付き合いですので、トリシャのことはわかりますよ」


イザベラはこう言って、微笑みます。


「人間との付き合いなんて、エルフにとっては僅かな時間だよ」


トリシャ様はこうおっしゃりながら、部屋に入ってきます。


「素直に部屋に入るんですね」


イザベラがトリシャ様にこう言いますと


「廊下は寒いからだよ。早くドアを閉めて」


トリシャ様はイザベラにドアを閉めるようにおっしゃいます。


「そうですね。アルニルの身体に障りますし」


イザベラはアルニルのことを考え、ドアを閉めます。


「まだ寒くなるには早いのに」


トリシャ様はこのようにおっしゃり、机の椅子を引き出し座ります。


「山の上ですからね。この辺りの道が通っているなかでも、高い方ですから

麓とくらべても、季節が進むのが早いのですよ」


「それはあたしもわかってるけど、冬物の準備をしてないよ」


トリシャ様も山の上ということはわかっていますが、冬物を準備してなかったようです。


「冬物を持ってないのですか?」


イザベラが尋ねますと


「どこかで買えばいいって思ったからだよ」


答えます。


「トリシャらしいですね」


イザベラもこう言いますが、トリシャ様の荷物は大きめの革の旅行かばん1つです。


「以前の旅はすごい荷物だったから、今回は荷物を少なくしたよ」


トリシャ様はこのようにおっしゃいますが、以前の旅、つまりマオ討伐の時は荷物が多かったです。

魔法道具で、たくさんの荷物を収納できるかばんはありました。

それに食糧や安全性を考え街で水を確保していましたので、とても役に立ちました。


 そのようなかばんがあっても、食糧と水だけでいっぱいになります。

なので、それ以外の物は自分たちで背負っていましたので、大変でした。

ただ、2週間分の食糧と水を小さなかばん1つに詰め込めたので、十分ではありました。


「でも、少なすぎですよね」


イザベラが少なすぎると言いますが


「今はあたしの荷物のことはいいんだよ」


とトリシャ様がおっしゃいますが、確かにそうです。


「そうでしたね」


イザベラもこう言って、アルニルの方を見ます。

アルニルも、イザベラの視線に気づき


「トリシャ、あの時はわたしも熱があったのと、疲れからあのようなことを言ってしまいました」


とトリシャ様に言います。

これを聞いて、トリシャ様も


「あたしも、大人げなかったよ」


とアルニルに言います。


「トリシャが大人げないと言うのは意外ですが、わたしも言い方が悪かったです。

もっとちゃんと説明するべきでしたね」


アルニルも自分の言い方が悪かったと言います。


「あたしも、考えなしで魔法を放ってたから……」


お互い反省の言葉を言いますが、アルニルもトリシャ様も照れくさそうにしています。


それを見て、わたしはイザベラに


「反省はしていますが、なかなか謝罪の言葉を言いませんね」


と少し笑いながら言います。


「お互い、なかなか謝れませんからね。しかし、こうやってお互いの非を認めて

反省するようになったのは、かなりの進歩です」


イザベラもふふふと笑いながら言います。

確かに、イザベラの言うとおり、アルニルもトリシャ様も

前世では非を認め、反省するどころか、お互いまったく口をききませんでした。


 なので、こうやって話し、非を認めて反省するのはかなりの進歩です。

しかし、その次の謝罪の言葉がお互い出てきません。

反省するほどの進歩はしていましても、すぐに謝罪することはまだできません。


「進歩はしていましても、まだ謝罪をすることはできませんね」


「そうですね。しかし、この様子を見ていますと楽しいので、しばらく様子を見ていましょう」


イザベラはこの様子を楽しんでおり、あえて2人をこのままにして様子を楽しむようです。


(確かに、これからどうなるか楽しみですね)


わたしもこの様子を見て、この後どうなるかは気になります。


「そうですね。口を出すよりも、しばらく様子を見ていた方がよいですね」


「もしかして、フローラ様も楽しみたいのですか?」


イザベラが尋ねてきますが


「わたしはそのような趣味はありません。お互いが謝罪をするのか、様子を見ているのです」


と答えます。


「そういうことにしておきます」


イザベラはこう言いますが、わたしがこの様子を楽しんでいることに気づいているようです。

しかし、アルニルとトリシャ様が、自ら謝罪をするように

様子を見ているのも、嘘ではありません。


 わたしが一言言えば、アルニルもトリシャ様もすぐに謝罪すると思います。

しかし、それをしてしまっては意味がありません。

どうしてもお互いに謝罪をしなければ、そうします。


 ただ、イザベラが言っているとおり、アルニルもトリシャ様も

自ら非を認め、反省の言葉を口にしています。

ここまで来ましたら、あとは一言謝罪するだけです。

なので、わたしは口出しせず、様子を見ることにしたのです。


 こうして、わたしとイザベラは2人を見つめています。

しかし、アルニルもトリシャ様も、あの後は何も言わず、お互い目線を逸らし

もじもじしているのでありました。


お読みいただきありがとうございます。


アルニルもトリシャも意外と素直に非を認めましたが、謝罪まではまだです。

以前よりは素直になったものの、まだ謝罪をするまでには至っていません。

そのため、お互いもじもじしていますが、フローラとイザベラはそれを楽しんでいます。


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@shiizu17

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