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第81話 フローラは従者のありがたみを知る

この作品はカクヨムに投稿した物です。


フローラは食事を終えると、部屋に戻る前に宿の主にさらに2,3日留まることを伝えに行きます。

すると、入浴を終えたアランに出会います。

わたしは食事を終え、部屋に戻ろうとしましたが

その前に宿の主に2、3日宿に留まることを伝えることにします。


 トリシャ様は既に階段を昇り始めていますので、わたしは

1人で宿のカウンターへ向かおうとしましたら


「フローラ様、こんばんは」


とアランが声をかけてきました。


「アラン、こんばんは。お風呂上がりですか?」


わたしはアランに挨拶をし、尋ねます。

アランはいつもの騎士姿でなく、部屋着で、タオルを肩にかけ、髪が濡れていました。


「はい、風呂に入り、これから食事をいただきます」


アランも息抜きをする時間です。


「そうですか。お役目は気にせず、ゆっくりしてください」


わたしはこう言って、カウンターの方へ向かおうとします。


「ありがとうございます。ところで、階段でなく、どちらへ行くのですか?」


アランが気になって尋ねてきます。


「アルニルが良くなるまで、宿の主に2、3日留まることをお伝えします」


と答えます。


「それなら、自分が伝えておきます」


アランはこう言いますが


「その姿で伝えるより、わたしが伝えた方が良いですよ」


と、わたしはふふふと笑います。


「た、確かにこの姿では……ですね」


アランも普段の姿でないことに気づき、少し気まずいです。


「それに、わたしから伝えた方が、何かと良いと思います」


アランでも良いのですが、わたしが伝えた方が良いと思います。


「す、すみません、従者の仕事なのに、フローラ様の手を煩わせて」


アランはこう言いますが


「わたしが提案した事なのですから、良いのですよ」


と笑顔で伝えます。


「そ、そうですか。せ、せめて、ご一緒に……」


とアランは従者の役目を果たそうとします。


「アラン、先程も言いましたが、王女の従者としての姿ではありませんよ。

それに、早く食事を済ませないと、宿の方にご迷惑をかけます」


「そ、そうですね。で、では、自分は食事をします」


アランはやっと納得して、食事をするため、食堂へ向かいました。


(役目を果たすのは良いのですが、もっと柔軟さを持ってほしいですね)


アランは騎士として、従者として役割を果たすのは良いのですが

その場その場に合わせて、もっと柔軟に対応してほしいです。


 アランが食堂に向かいましたので、わたしはカウンターへ向かいました。

カウンターのベルを鳴らしますと、宿の主が出てきました。


「こんばんは、フローラ様。こんなお時間に何のご用ですか?」


宿の主が尋ねますので、わたしはアルニルのことをお話ししました。


「そうですか。お供の聖職者の方から、体調が悪いとお聞きしていましたので、構いませんよ」


宿の主も、イザベラからアルニルのことを聞いていたので、構わないと答えました。


「ありがとうございます」


わたしがお礼をし、頭を下げます。


「フローラ様が頭を下げないでください。こちらが恐縮します」


宿の主が困ったように言いますので、わたしは頭を上げます。


「すみません。しかし、お礼はちゃんとしないといけません」


わたしがこう言いますと


「お礼はお言葉で十分です」


と宿の主は言います。


「そうですね、恐縮させてはいけませんね」


わたしはこう言って、笑います。


「あ、ありがとうございます。夜も遅くなってきますと、さらに冷えますので、温かくしてお休みください」


宿の主は夜はさらに冷えると言います。


「わかりました。山の中なので、ここは冷えますね」


「はい、山の高い所にありますので、平地より季節が進むのが一足早いです」


「そうですね。では、温かくして休みます。おやすみなさい」


「おやすみなさい」


宿の主に夜の挨拶をしますと、わたしは部屋に戻ります。

部屋に戻ると、机に向かい、旅の記録をできるだけつけるようにしています。


 今日の出来事もしたためます。

本日はこの旅で初めての戦いになりました。

アルニルやトリシャ様、アランの活躍により、山賊を捕まえることができました。

さらに、山賊の隠れ家も判明したので良かったです。


 アルニルとトリシャ様のことがありましたが、トリシャ様もご自分の非を

認めてくださいましたし、アルニルも熱と疲れから思わず言ってしまったようです。

なので、熱が下がり落ち着けば、しっかりと話すことができると思います。

熱は下がりましたので、2、3日身体を休めて先へ進みましょう。


 わたしは記録を書いた記録帳を閉じますが、宿の主が言っていたとおり冷え込みが強くなってきました。

そして、ふと窓を見ますと、窓も曇っています。


「思ったより冷えていますね」


わたしは手近にあった衣装ケースから、寝間着を出しましたが、少し薄手です。

馬車の中で羽織っていた上着を、再び羽織りますが少し寒いです。


(確か、冬物もあったと思います……)


旅の期間を考え、王都に戻る頃には冬になるので、冬物の用意もしています。

部屋には、いくつか衣装ケースがあります。

衣装ケースには何が入っているか、中身が書かれたラベルが貼られており、

冬物と書かれた衣装ケースがありました。


 わたしはその衣装ケースを開けます。

中は書いてあるとおりに冬物が入っており、寝間着は一番上にありました。


「一番上にあってよかったです」


わたしは冬物の寝間着に着替えますと、ちょうど良いです。

いつもはわたしが寝るまで、アルニルが側についていますが

着替えや着る物をただ取り出すだけですが、アルニルのありがたさがわかりました。


 アルニルも明日の朝になれば、話が出来ると思います。

冷えてきましたが、イザベラがいるので大丈夫でしょう。

わたしも、冷え込んで体調を崩さないように、記録帳をしまい

ベッドに入り、灯りを消したのでありました。

お読みいただきありがとうございます。


この旅での、フローラの直属の正式な従者はアルニルとアランになります。

アランは騎士として、真面目と言うか、実直な従者で、少し融通が利かないところもあります。

ただ、その分、フローラの言う事には実直に答えます。


アルニルは身の回りをする侍女なので、ほとんどがアルニル任せです。

なので、アルニルがいないと困る事が多いですが、流石に着替えはできます。

それであっても、普段は自分でしない着る物を探すという行為だけでも、フローラにとっては

アルニルのありがたさは感じることができるました。


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@shiizu17

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