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第77話 トリシャの姿が見あたらない

この作品はカクヨムに投稿した物です。


フローラはトリシャと話しをするため、トリシャの部屋へ行きますがノックをしても反応がない。

しかし、ドアの鍵は開いていたので中を見ると、トリシャの姿はなく、フローラは宿の中を探します。

わたしはトリシャ様のお部屋へ行き、ドアをノックします。

しかし、返事がありません。

念の為もう1度ノックをしますが、やはり返事がありません。


(疲れてお休みになっているのですかね?)


麓の宿場を出たのはまだ暗い内でしたし、峠を越え、山賊との

戦いがありましたから、トリシャ様もお疲れになったのでしょうか。


(お疲れになった様子はなかったですが……)


トリシャ様は、お疲れになっている様子はありませんでした。

しかし、そう見えないだけで、本当はお疲れなのかもしれません。

もし、お休みならばこのまま……と思いましたが、わたしは

ドアが開かないか試してみます。

すると、ドアは開きました。


(開きました……)


ドアが開いたので、そっと部屋の中を覗きますが、トリシャ様のお姿はないようです。


「部屋にはおりませんね……」


わたしは呟きますが、トリシャ様はどこに行ったのでしょうか。


 トリシャ様が行きそうなところは、お風呂かお食事ですかね。

お風呂は宿にもありますので、確かめに行く事にします。


 部屋は2階ですが、お風呂は1階なのでわたしは1階に降ります。

宿の方にお風呂の場所を尋ね、案内してもらいました。


「ありがとうございます」


わたしがお礼を言いますと


「お礼なんて滅相もありません。今は灯りがついておりませんので、誰も入っておりませんね」


と教えていただきましたが、既に外は暗くなっています。


「そのようですね」


「お入りになるなら、今が良いと思いますよ」


確かに、他の方がおりませんので、入浴するなら今ですね。


(トリシャ様を探さないといけませんが……先に入浴をしても良いですかね……)


日が沈みましたら、急に冷え込んできましたので、お湯に浸かり温まりたいと思います。

しかし、アルニルとトリシャ様の事も先に解決しないといけませんので、やはり後にします。


「入浴は後程にしますが、どのようなお風呂か確認だけしたいと思います」


「そうですか。灯りは、光石となっております。

お手を触れれば灯りがつきますが、消す時は再び触れれば消えます。

わたしは他の仕事がありますので、これで失礼します」


「ご案内ありがとうございます」


宿の方は頭を下げると、他の仕事があるので去っていきます。

わたしは、お風呂の引き戸を開けますと、中は暗くなっています。

灯りは光石だと言っていましたのが、壁にうっすら光石がありました。


(これですね)


その石に触れますと、灯りが付き明るくなりました。

光石とは名前のとおり、光を発する魔石の一種です。

灯りはランプやろうそくが主流ですが、王国ではあまり光石は採れません。

なので、城でも一部でしか使われていません。


 この宿はお風呂だけでなく、部屋も光石が使われていましたが

光石はこの宿場周辺が産出地なので、多く使われているようです。


 ただ、今は光石よりもトリシャ様です。

入浴をしていないか念のために確かめましたが、脱いだ物もなく

お湯を流す音もしませんので、やはりいらっしゃらないようです。


「ここにはおりませんね」


お風呂にいらっしゃらないとなりますと、お食事ですかね。

お食事は宿内でも、宿の外でもできますので、宿を出たかどうか

宿の者に尋ねる事にします。


 わたしは灯りを消し、カウンターへ向かいます。

宿の者にエルフの同行者を見なかったか尋ねますが


「すみません、この時間は常にカウンターにいる訳ではありません。

なので、声をかけるか、ベルを鳴らさない限りは、エルフ様が

宿の外に出られても、わかりませんし。

また、食堂でも見かけた者はいないそうです」


と答えます。


「そうでしたか」


「はい、なのでエルフ様のお姿は見ておりません」


宿の者は頭を下げます。


「いえいえ、構いませんよ。わかりましたので、ありがとうございます」


「わかりました」


「では、部屋に戻ります」


「ゆっくりお休みください」


「ありがとうございます」


宿の者にお礼を言いますと、2階へと戻ります。


(一体どこに行ったのでしょうか……)


この宿は宿場町の中でも大きな宿ですが、それでも部屋数は20程です。

わたしたちが宿泊するため、警備上の関係で他のお客さんがいない

静かな中を、2階へ向かいますと木の階段を昇る音が響きます。


「一体どこにいらっしゃるのでしょうか……」


わたしはまた呟きますが


(もしかしましたら、アルニルたちの部屋にいったのでしょうか)


と考えます。


 階段を昇り終えますと、アルニルたちの部屋に向かおうとしました。

しかし、どの部屋か聞いていませんでした。


(トリシャ様の部屋は、部屋にお入りになる姿を見たのでわかりましたが……)


ただ、離れた部屋を使うとは思いませんので、きっとわたしの部屋の近くだと思います。

あるいは、灯りがついているかもしれませんので、それでわかるかもしれません。

ただ、灯りがついているのは、わたしの部屋とアランの部屋だけです。


(アルニルたちの部屋がわかりませんが、トリシャ様のお部屋をもう1度確認しましょう)


わたしはアルニルの部屋に行く前に、もう1度トリシャ様のお部屋を確かめます。

鍵が開いていましたので、すぐに戻るつもりだったのかもしれません。


 わたしは再びトリシャ様のお部屋のドアをノックします。

すると今度は


「誰かな?」


というトリシャ様の声がしたのでした。

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