第76話 アランに2人の事を相談する
この作品はカクヨムに投稿した物です。
フローラは相談する相手が居ないので、アランに相談します。
わたしはアルニルとトリシャ様の事をアランに相談しますが
トリシャ様に聞かれると困りますので、トリシャ様が宿に向かうまで待ちます。
「トリシャ様のお話なので、トリシャ様が宿の中に入るまで待ちます」
小声でアランに話しますと、アランは黙って頷きます。
「わたしはアランと少し内密なお話がありますので、トリシャ様はお先に宿の中へお入りください」
わたくしがこう言いますと
「日が暮れてきて寒くなってきたから、そうするよ」
トリシャ様は宿の中へ向かい、姿が見えなくなるのを確認しました。
「フローラ様、相談と何でしょうか?」
アランが尋ねてきますので、アランにアルニルとトリシャ様の事を話します。
「実は、アルニルとトリシャ様が少し揉めていまして……」
わたしはアルニルとトリシャ様が揉めている理由を、アランに話しますと
「正直、自分には答えることはできません」
と言いますが、わたしもアランに答えられない事は承知の上です。
「わたしも、アランが答える事が出来ないのは承知の上です。
ただ、こうして話すだけでも違いますので」
と伝えますが、話を聞いてもらえるだけでも違います。
「わかりました。ただ、自分が一つ言えることは、お互いの話をしっかり聞く事です」
アランは答えられないなりに、わたしに助言をしてくれました。
「アラン、ありがとうございます」
「いえ、自分は話を聞いただけですので」
「それだけで十分です。他に話が出来るのはアランしかおりませんから」
わたしはこう言って微笑みます。
「ありがとうございます。自分は騎士でありますが、フローラ様のお話をお聞きするのも役目です。
お悩みの事はお答えはできませんが、お話を聞くことはできます」
「では、またお願いします」
「承知しました」
アランは跪いて、頭を下げます。
「アラン、そこまでしなくても良いですよ」
流石にここまでするのは大袈裟なので、わたしはそこまでする必要ないと言います。
「これは騎士としての儀礼です。しかし、フローラ様がそうおっしゃいますなら」
アランは頭を上げ、立ち上がります。
「アラン、儀礼を守るのは良いですが、必要以上に守る事はないですよ」
わたしはこうアランに伝えます。
「わかりました。しかし、アルニルさんとトリシャ様はどうするのですか?」
アランはわたしに尋ねますが、わたしも全くわかりません。
「わたしもわかりません。ただ、アルニルは熱と疲れから思わず言ってしまったのでしょう」
熱と疲れから、きつく言ってしまったのでしょう。
「そうかもしれませんね。トリシャ様も、突然言われたので否定してしまったのでしょう」
「確かに、それはあると思います」
トリシャ様からしましたら、アルニルの援護のためでしたの
頭ごなしに熱を出した原因と言われましたら、怒ると言いますか納得はできないと思います。
「なので、先程も言いましたが、お二人のそれぞれの話をしっかり聞き、
フローラ様が間に入れば良いかと思います」
アランは先程の繰り返しになりますが、アルニルとトリシャ様のお話を聞き
わたしが間に入るのが良いでしょう。
「アラン、ありがとうございます。では、アルニルとトリシャ様からお話を聞きます」
わたしはアランに頭を下げ、お礼を言います。
「いえ、この程度のご提案しかできませんので、フローラ様が頭を下げるほどではありませんよ」
アランはこう言いますが
「これは王女としての礼節ですから」
と言って、笑います。
「それでは仕方がありませんね」
「はい、仕方ありません。アランにお話して良かったです」
「フローラ様のお役にたてれば、騎士として本望です」
「そうですね。では、わたしたちも宿に入りましょう」
「わかりました」
わたしとアランも宿の中へと向かいますが
「お荷物を運んでおりませんでしたね」
とアランが言います。
「確かにそうですね。いつもはアルニルが運び入れるので忘れておりました」
いつもはアルニルが運び入れていましたので、すっかり忘れていました。
「でしたら、自分が運びます」
「お願いします」
荷物はアランが運ぶ事としました。
「荷物の前に、まずは宿に入りましょう」
「そうですね」
わたしとアランは宿の中へと向かい、部屋を確認すると荷物を運び入れます。
「荷物は結構ありますね……」
アランは馬車から荷物を運びますが、荷物は着替えの他に日用に使う物や
王女としての正装一式も入っていますので、意外と多いです。
「できるだけ減らしましたが、どうしても正装は一式必要なので仕方がありません」
今回は勇者としての旅ですが、王女としてもファーガス地方を訪れるため
正装も用意してあります。
「仕方がありませんよ。王女として訪れますので」
「そうですね」
アランも騎士なので、理解をしています。
「アルニルさんとイザベラさんの荷物は運んだようですね」
「はい、2人の荷物は御者が運んでくださいました」
2人の荷物はアルニルが着替えるため、御者が運んでくれました。
「ならば、荷物は以上ですかね」
「そうですね。アラン、ありがとうございます」
「これも役目なので。では、自分は失礼します」
アランは頭を下げ、わたしの部屋を出ていきました。
そして、わたしはアルニルとトリシャ様からお話を聞く事にします。
アルニルとイザベラは疲れていると思いますので、
まずはトリシャ様の部屋に向かう事にしました。
お読みいただきありがとうございます。
アランは答える事が出来なくても、従者として話を聞き、助言をして騎士らしく振る舞いました。
フローラも話す事により、かなりスッキリしました。
あとはトリシャとアルニルに話を聞きます。
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@shiizu17