第75話 フローラは頭を抱える
この作品はカクヨムに投稿した物です。
アルニルとイザベラが戻ってきましたが
アルニルは熱が出た原因はトリシャの魔法も原因だと言って揉めます。
トリシャ様からアルニルが熱を出したと伝えられ、心配になります。
「熱を出すほど、疲れていたのですね」
とわたしが言いますと
「ここはこの季節としては寒いし、旅の疲れも出たんだよ」
とおっしゃります。
「確かに冷えてきましたね。
もう日が陰ってきましたが、山なので暗くなるのも早いようです」
まだ暗くなるには早い時間帯ですが、日は山に隠れ始めています。
「日が山陰に隠れたら、すぐ暗くなると思うよ」
トリシャ様もこうおっしゃています。
「そうですね。アルニルも心配なので、戻って来ましたらすぐ町へ向かいましょう」
「そうだね」
アルニルが戻って来ましたら、すぐに休める様、馬車をすぐに出せる準備をします。
「姫様、2人から連絡が来たけど、間もなく着くって言ってるよ」
わたくしが馬車をすぐ出せるようにと、御者と話しておりましたら
トリシャ様が精霊を通じて、連絡が来たと伝えられます。
「そうですか。アルニルの具合はどうですか?」
「熱は下がったけど、それでもまだ少しあるみたいだよ」
「熱が下がっているのですね。思ったほどじゃなくて良かったです」
熱は少しあるそうですが、思ったよりは軽そうです。
熱が出たと聞いた時は、もっと大変かと思いました。
戻ってくるのも、遅いですし。
なので、わたしが安心しますと
「それで、なぜかあたしが怒られた」
とトリシャ様が不思議そうな顔をしています。
「なぜですか?」
とわたしが聞きますと
「なんか、あたしの魔法のせいって怒ってた」
とトリシャ様は首を傾けています。
わたしも理由がわかりませんが、氷の魔法を使用した事を思い出します。
「もしかしましたら、トリシャ様の氷の魔法が原因ではないでしょうか?」
わたしがこう言いますと
「まさか、そんなはずはないよ」
と笑っています。
「そうですかね……」
とわたしは言葉を濁します。
(きっと、トリシャ様の氷の魔法が砕け、アルニルが濡れて冷えたのでしょう)
わたしはこう考えますが、わたしからでなく、本人の口から言ってもらいましょう。
「やっと着きました……」
しばらくしますと、イザベラの声が聞こえ、アルニルと共に無事到着し、2人はその場に座り込みました。
「イザベラさん、アルニルさんご苦労様です」
アランが声を掛けましたが、わたしもイザベラとアルニルの元に向かいました。
「イザベラ、アルニル、お疲れ様です。アルニル、熱が出たと聞きましたが大丈夫ですか?」
わたしはアルニルに尋ねますと
「まだ熱はありますが、大丈夫です。ただ、疲れましたので……早く着替えて眠りたいです……」
と元気がありません。
「わかりました。馬車はすぐに出れるようにしてあります」
「ありがとうございます、フローラ様……」
「お礼は後です、馬車に乗ってください」
詳しく話を聞こうとしましたが、熱は大した事ありませんが
疲れていますので早く馬車に乗り、宿場町へ向かう事にします。
「そうですね……」
「では、自分も手伝います」
「アラン、お願いします」
アランはアルニルを立たせ、肩を支えますと、馬車に乗せます。
イザベラは自力で立ち上がり、馬車に乗り込みましたが、かなり疲れている様子です。
「2人が戻ったから、姫様も馬車に乗ろう」
「そうですね」
トリシャ様は既に馬車に乗っていますので、わたしが乗らなけば
馬車を出す事が出来ません。
なので、馬車に乗り込むと、馬車は宿場町へ向かい走り出しました。
馬車は宿場町の宿に到着しました。
「宿に着きましたので、アルニルを先に部屋にお願いします」
「わかりました」
わたしはイザベラに、アルニルを任せます。
イザベラも疲れが見えていますが、なぜイザベラなのかと言いますと……
「アルニル、そんなに怒らなくてもいいじゃないか」
「怒ってはいません……熱が出たのはトリシャのせいもあると言っているのです……」
とトリシャ様とアルニルが揉めているからです。
「アルニル、先ずは身体を休めましょう」
熱がありますので、トリシャ様と言い合っておらず、まずは休ませます。
「フローラ様がそうおっしゃるなら……そうします……」
「部屋はアランさんが確かめていますので、行きますよ」
「はい……」
アルニルはイザベラに支えられ、宿に入っていきました。
「あたしだって、アルニルのためやったんだから、あんなに怒らなくても……」
馬車に残るトリシャ様はぶつぶつ、呟いていますが
アルニルから
「トリシャの氷の魔法で濡れて、冷えたのも熱が出た原因です」
と言われたからです。
(トリシャ様もアルニルも仲は良いのですが、2人共頑固なので、揉めると大変ですね……)
わたくしは思わずため息が出ます。
前世の記憶でも、2人が揉めたと時はお互い頑固で、仲直りさせるのが大変でした。
(これからのことありますし、すぐに仲直りできれば良いんですが……)
アルニルも熱があり、思わず言ってしまったと思います。
トリシャ様も、山賊と戦うためでしたので、悪気は……。
トリシャ様に悪気が無いと思いましたが、横で様子を見てましたら
『ははは!やっと魔法をぶっ放す事が出来たよ!!』
と言っているのを思い出しました。
(……悪気と言うより、暴走していました)
とわたしは頭を抱えます。
「フローラ様、トリシャ様、お2人も早く宿へ……フローラ様、頭を抱えてどういたしました?」
アランの声がしましたが、わたしが頭を抱えているのを見てこう言います。
「ちょっと悩み事がありまして……」
とわたしが答えます。
「悩み事ですか?自分で良ければ相談に乗ります」
アランは相談に乗ると言いますが、アランに相談できる内容ではないのですが
イザベラも疲れていますし、エモリーは元々相談できません。
そうなりますと、残るはアランしかおらず、わたしは仕方なくアランに相談する事にします。
お読みいただきありがとうございます。
トリシャも何で怒っているのか、わかっていませんが
アルニルも熱がある事もあって、言い方がきつくなってはいます。
ただ、フローラはトリシャが叫びながら魔法をぶっ放してるのを
見ているので頭を抱えます。
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