第65話 アルニルは山賊を助ける事にする
この作品はカクヨムに投稿した物です。
アルニルは山賊の元に辿り着きましたが、山賊は仲間がやられて怯えています。
わたしは山賊の元に到着しますが、仲間が仲間にやられた姿を見てすっかりおびえています。
そして、わたしにすがるように近づいてきます。
「頼む、俺はあいつの様に死にたくないんだよ……」
「た、助けくれ、お、俺たちは仕方なくなんだよ!」
2人はわたしの足元にまとわりついてきて、ただでさえむさい男2人なのに
足にまとわりつてきて鬱陶しいですね。
「まとわりつかないかでください。わたしはあなたちを助けに来たのでなく捕まえに来たのです」
「命がたすかるなら、なんでもいい!」
「た、頼む!た、助けてくれ!」
2人はさらにまとまわりつきますが、さすがにわたしも頭に来ます。
「わかりましたから!離れてください!」
わたしは大きな声を出しますと、2人は驚いてわたしから離れます。
「大きな声を出してすみません。しかし、あなたちは捕まって良くて終身刑になるか
木の上に居るお仲間に殺されるかの2択です」
「殺されるぐらいなら、終身刑の方がまだましだ!」
「仲間に殺されるぐらいなら、まだ王都に連れていかれた方がマシだよ」
山賊2人はこう言いますが、終身刑は地下牢に閉じ込めら、日の光を浴びる事は2度ありません。
地下の空気は湿気を帯びており、地下水がしたたり落ちていますのでとても寒いです。
なので、ほとんどの囚人は2年以内に死んでいます。
中には数年生きている者もいますし、現在最も長く牢に入っている
囚人は10年となるそうですがここまで長く生きているのはかなり稀です。
「終身刑は地下牢に一生閉じ込まれますが、それでも良いのですか」
「そ、それは……」
流石に一生地下牢にとじ込まらると聞いたら、2人は黙ります。
ただ、必ずしも終身刑と言う訳でなく、情報次第では減刑はされます。
とはいえ、王族に手を出しましたので、短くても5年は牢に入る事にはなりますが
それでも5年で済めば短い方です。
「情報次第では5年ででてこれますよ。ただ、情報次第です」
「じょ、情報は……」
山賊たちは口ごもりますが、聞かれる可能性がありますので言えませんよね。
「情報は生きてここから離れる事が出来てからでよいです」
「そ、そうだな、そうする……」
「本音は嫌ですが、わたしはあなたたち2人を生かさないといけません」
わたしはこう言いますが、正直面倒なのです。
前世ならば山賊なんて斬り捨てればよかったのです。
しかし、今は王位継承をする王女様の侍女ですからそうもいきません。
わたしだってアルテイルに言われなかったら、今頃彼女を作って
あんなことやそんなことをしているのです。
しかし、マオが復活するようですしフローラ様はファーガスの
生まれ変わりなので、昔の仲間として一緒にいないとなりませんからね。
それにしても、生きて捕縛するのは手間ですね。
矢が飛んで来た方向から、射手のいる位置と人数はわかりましたが
念の為にこの2人に聞いて確認してみましょう。
「木の上に居る射手は何人ですか?」
「3人のはずだが、全部で何人いるかは正確には教えてもらっていない」
「そうなのですか?」
「俺たちが裏切たり、捕まったりした時、正確な人数をしられないようらしい」
「信用されていないのですね」
「そう言われたなにもいいかせねえが、俺たちも金とおまんまのために山賊の手伝いをしてるからな」
「そうだな、俺たちも信用しちゃいないし、向こうも信用はしてなくてもそんなもんだ」
なるほど、お金と食べる為ですか。
この辺りは王国でも貧しい地域になりますので、仕方がありませんね。
国王陛下も国を富ませ、すべての民が食べ物に不自由しない様にしていますが
それでも、全ての民がそうなるのは難しいです。
以前よりは民が飢える事がなくなったとはいえ、それでもまだまだです。
もちろん、国王陛下の施政を批判している訳ではありませんし、前世では
わたしも貧しい地方の出身でたから、その日の食べ物に苦労した経験はあります。
しかし、わたしの周りも犯罪に手を染めたり、犯罪組織に入った者は多かったです。
わたしは運よく勇者一向に入れいましたが、そうでなったらどうなっていた事か。
とくにわたしは同性が好きでしたから、蔑められてまともに暮らせなかったと思います。
なので、この2人にもまっとうな仕事と食べる事が出来ればこうならなかったのでしょう。
どんな施政をしましっても、恩恵を受けられない人たちはどうしてもいますからね。
この2人はこうなってしまったのは仕方がありませんが、まだ間に合いますからね。
なので、なんとしてでもこの2人は生きて捕縛します。
「つまりお互い信用してないのですね」
「そうだな、そうでなかったらああなってないさ」
1人の男は矢が刺さって倒れている男を見てこう言いますが確かにそうですね。
もっとも、信用されていても裏切り者として同じ末路だったかもしれませんが。
「そうですね、わかりました。とにかく3人ですね」
「ま、そうだな。で、嬢ちゃんはどうやって倒すんだ?」
「直接行って倒しますよ、他に方法があるのですか?」
「確かにそれしかないが、見ての通り一斉に矢を放って隙はないぞ」
「防御魔法で防げますから」
矢は防御魔法で防げますが、防御できるのは前面のみで側面と背中は防御できません。
矢が飛んで来た方向から、位置をずらして隙が出来ない様にしているようです。
射手は3人と思いますが、左右と中央の他に互い違いになっていますので
一番手前は別としましても、中央と後方では側面と背中に隙が出来ます。
普通ならば手前から倒せば良いのですが、大まかな位置から手前から倒しても
一番の離れた位置から側面が狙われれますと思われます。
だったら、その方向を正面にすればいいだけですが、多分ですが
そうならない様位置にいると思います。
ですので、手前から素早く倒して狙われない様にすれば良いですし
トリシャに援護をしてもらえばいいだけではありますが。
なので、わたしはあれこれ考えず、手前から順番に倒していく事にして
精霊を使ってトリシャに援護をお願いする事にします。
お読みいただきありがとうございます。
アルニルは本音としては山賊は倒したいのですが、情報を得るために守る事にしました。
本音としては助ける気はないですが、仕方がない感じです。
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@shiizu17