第55話 山賊を警戒する
この作品はカクヨムに投稿した物です。
景色を見た後、馬車を再び進めますが山賊の話を聞いているので山賊を警戒します。
「おはようございます。外の様子から結構登ったようですね」
目を覚ましたイザベラはこう言って伸びをしています。
「おはようございます、イザベラ。といいましても、峠の頂上はまだままだですよ」
アルニルが言うには現在の位置は麓から峠の頂上までの中間ぐらいの位置らしいです。
時間としてはまだ午前中なので、昼には峠に達しそうでです。
「ところで、なぜこのような場所で止まっているのですか?」
「それはですね……」
アルニルはイザベラに馬車が止まっている理由を説明します。
「なるほど、確かに綺麗な景色ですね」
「はい、トリシャ様の魔法で紙に景色を写しています」
「トリシャがこのような魔法を考えるとは珍しいですね」
先程紙に写したものをイザベラに見せます。
「これはお父様たちへのお土産です」
「国宝陛下へのお土産ですか。このような景色は王都では見る事が出来ませんからね」
王都は平野と言いますか、盆地に位置していますが平坦な土地となっています。
遠くに山や森は見えますが、農地や平原が広がっていますのでこのような景色を見る事は出来ません。
「はい、なのでトリシャ様の魔法を使いました」
「元々は偵察用の魔法だけど、こうやって姫様にお役に立つのは嬉しいよ」
トリシャ様は少し照れながら言います。
「そうですね。ありがとございます」
「どういたしましてだよ」
「トリシャ、照れてるんだ」
「べ、別にいいでしょ。それより、馬車を出発させないと」
「そうですね。では、馬車を出してください」
「わかりました」
アルニルが御者に馬車を出すように言うと、馬車が再び走り出します。
「景色は良いので馬車を止めるのは良いのですが、山賊は大丈夫ですかね」
「止っている所を襲わないから、近くには居ないんじゃないのかな」
「そうですねかね。もっとも、襲ってこないならそれに越したことはありませんが」
山賊の話はアルニルからとトリシャ様とイザベラにもしてあります。
馬車をしばらく止めていましたが、その隙を襲ってきませんので近くにはいない様です。
「油断はしませんが、気をつけるにこしたことはありませんね」
「そうですね」
「それに、話題にしますと来るものですから話題にしない方が良いです」
「確かにそうですね」
話題にしますとそれが来ますので、話題に出さない方が良いですかね。
以前の時も話題にしましたら、エモリーたちが襲ってきましたので。
馬車の前にはアラン、後ろにはエモリーがいますがエモリーが
周囲を警戒しているかはわかりません。
「アランとエモリーがいますが、エモリーは警戒をしているのでしょうか」
わたしは気になりこのようにいいます。
「多分しているのではないのでしょうか」
「そうですかね」
「もっとも、周りは森ですですし木の上や陰に隠れていますとこちらからは見つけられません」
確かに周りは木々がありますから、こちらから発見できませんね。
ただ、先ほど馬車を止めた場所の様に進行方向左側は崖になっています。
道幅はありますので転落する事はありませんし、崖側にも木があります。
崖側の木は間から山並みが見えますので、隠れるには適していないと思います。
なので、隠れるとしたら山側の森でしょう。
「そうですね。木に隠れましたらこちらからは見つけにくいですね」
「ただ、隠れるとしたらや崖話でなく山側ですかね」
「そうだと思います」
「騎士くんも山側の森を警戒してる様だよ」
トリシャ様はこのように言いますが、窓からアランの様子を見ている様です。
「トリシャはアランの様子が気になるのですか?」
「そう言う訳ではないけど、騎士くん1人で大丈夫なのかと思っただけだよ」
「それもそうですね」
護衛らしい護衛はアランしかいませんので、トリシャ様のおっしゃることはわかります。
「でも、アラン君がいても襲われる時は襲われますし」
「そうだけど、その時はわたしがさっさと片付けるよ」
「でも、ここは木がりますからトリシャの魔法を使ったら木が倒れたりして大変ですよ」
「木ぐらい問題ないよ」
「そうはいきません、ここは重要な街道ですし火の魔法で山火事になった大変ですよ」
「面倒だな。盗賊なんて問答無用で片付ければいいのに」
「気持ちはわかりますが、捕まえて情報を得ないといけないのです」
「それこそ面倒だよ」
「面倒でもこうしないといけないのですよ」
アルニルは呆れていますが、かといいましても魔法を乱用する訳にはいきません。
「これは仕方がないのですよ。わたしの立場もありますしので、若って下さいトリシャ様」
「姫様がそう言うなら、仕方がないな」
わたしの言葉にトリシャ様はこう言いますが、わたしの立場もわかっていただいている様です。
「王族は昔から面倒だよ」
「それは仕方がないですよ」
「だからエルフは森や山にこもってたんだけどね」
エルフが森や山にこもっているのは人間とのかかわりが面倒だったようです。
しかし、エルフだけでは魔王や魔族相手に手を焼いたので、人間に協力するようになったそうです。
「エルフは魔王や魔族に手を焼いたそうですね」
「そうだよ、エルフは数が少ないからまともに魔王軍と戦ったら数的に勝てない。
だから、人間と協力するようになったけど、それが面倒になったんだよ」
「でも、こうして旅をしていますよね」
「姫様があのファーガスの生まれ変わりになるはずだったから、面白くていっしょいるだけだよ。
それに、ファーガスの子孫に会ってみたいからね」
トリシャ様は面倒と言いながらも、いろいろ気になっているようですね。
「そうですか。トリシャ様も気になっているのですね」
「気になっているというか、面白いというか……とにかく、旅は嫌いじゃないよ」
トリシャ様は少し照れながらこう言いますが、旅自体は嫌いではない様です。
ファーガスとの旅も口ではあれこれいいながらも、楽しんでいましたからね。
なので、今回の旅も楽しんでいるのでしょう。
そして、馬車は順調に進み、心配した山賊もでずに峠の頂上へと着したのでありました。
お読みいただきありがとうございます。
山賊を警戒しましたが今回は出ませんでしたが、常に出没する訳ではないんですよね。
とはいえ、警戒をしないといけませんが。
トリシャは周りの事を考えないで魔法を使う所がありますので、ある意味脳筋魔法使いですかね。
単に面倒だからというのもありますが。
馬車は無事に峠に到着しましたのでの、後は下るだけです。
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