第32話 トリシャは城に帰れない その1
この作品はカクヨムに投稿した
今回はトリシャの話です。
フローラが騎士団へ行っている頃、トリシャは城の外に行っています。
ただ、城から出たのは良い物の、道に迷います。
騎士団から城内の自室に戻りますしたが、部屋にはいるなりわたし
「……あれでよかったのでしょうか」
とアルニルに聞きます。
「そうですね……フローラ様が王女らしかったですよ」
とすました顔で言いますが、半分はからかっていますね。
ただ、この方がアルニルらしいので安心はできますが。
「そうですか、ありがとございます」
「お礼をされる事はしていませんよ」
「別にいいではありませんか」
「わかりました」
アルニルの表情が緩んでいますが、本音では嬉しいのでしょう。
「アランが直属の騎士になったと言う事は、わたくしがアランを見に行く理由ができましたね」
「直属の騎士にしなくても、いつでも行けますよ」
「そうですが、この先アランもわたしの旅に同行しますので、直属にした方が良いでしょう」
「そうですね、騎士団を通さなくても良いですから」
直属の騎士にならば、わたしの一声でアランを動かせますしね。
さらに、わたしがアランを鍛える事が出来ます。
「ところで、トリシャ様とイザベラはどうしていますか?」
「イザベラは城を出て、教会へ戻りましたが夕方には戻ってくるそうです。
トリシャもイザベラと一緒に城を出ましたが、教会にはいかないはずなので
どこに行ったかはわかりません」
「そうですか」
イザベラは一度教会へ戻ったそうですが、トリシャ様もイザベラと共に城を出たそうですか
アルニルは教会に行く事と言うので、イザベラと別れてどこかへ行くようです。
「しかし、なぜトリシャ様は城に居たくないのでしょうか」
「何故ですかね、出会った頃から広い部屋は居心地が悪いと言ってましたのが
狭い家に住んでいましたので、広い所が好きではないだけかもしれません」
「記憶をたどっても、狭い所が好きとしか答えていませんね」
「なので、気にする事はないのですよ」
「ですね。しかし……次旅のお話をしたいですが……お戻りになりますかね?」
「昨日、城から出ても戻ってくるようにと言ってはありますが……どうでしょうね」
「お金はお持ちですか?」
「懐にそれなりの額をいれてますので、どこかに泊まるかもしれませんね」
トリシャ様に次の旅のお話をしないといけませんので、城へ戻って来ては欲しいのです。
ただ、お父様がお送りしましたお手紙の返事が来るまでは
出発できませんので、数日ほどはトリシャ様のご自由にしても良いですかね。
「旅の予定はまだ未定ですので、しばらくはトリシャ様のお好きにしましょう」
「フローラ様がそうおっしゃりますなら、トリシャの自由にさせますかね」
「そうですね」
なので、数日はトリシャ様をご自由にすることとなりました。
―――――――
「うーん、迷った……」
あたしはイザベラが教会に行くので、城に居てもつまらないから途中まではついて行ったけど
教会はどうも苦手で、途中で別れたが……ここはどこ?
王都の建物は昔と比べて増えたし、人も増えた。
昔は目印の城がどこからでも見えたけど、今は建物で見えないから全く場所がわからない。
「あれ、エルフがいるけど……あれって、トリシャ様かな?」
「多分、そうだよ、他にエルフはいないしね。
勇者ファーガスと魔王を倒した魔法使って言うけど、可愛いよね」
「でも、ファーガスは死んでから200年ぐらい経てるし、ファーガスが100歳まで
生きたって事は少なくとも300歳なんでしょ?」
「300歳であんなにかわいいなら羨ましいよ」
「だよね。わたしたちもあと20年経ってら……」
「それは言わないで。今の40代はまだ若いんだから」
「だね。わたしたちはまだ20代だし、今を楽しもう」
人間の女の子2人があたしをみて話してるけど、エルフで20歳なんて子供というか幼児かな。
流石に赤ちゃんじゃないけど、小さい子供だよ。
なのに、わたしより背も胸も……いや、背が高いからこっちが羨ましいよ。
それはともかく、ここからどうやって戻ろう。
イザベラは夕方にお城に戻るって言ったけど、お城にはあまり戻りたくない。
でも、部屋はともかく、食べ物は美味しいし、お風呂は温泉ではないけど
お湯を沢山使った贅沢なお風呂だし、姫様が居て欲しいっていうから戻らないと。
しかし、どう歩て来たか全く覚えてない。
東西南北はわかるけど、どこがどの方向が良くわからないから、慣れた場所以外はすぐに迷う。
目印があればそうでもないけど、王都も昔と変わりすぎてまったくわからい。
太陽の位置で方向は大体わかるけど、王都は昔から迷路だったけど今はもっと迷路だよ。
このままじゃ、お城に戻れるか不安。
ただ、時間はまだまだあるし、お腹も空いたから何か食べよう。
お金はあるから大丈夫だし、お城に帰れないなら適当に宿に泊まってもいい。
あたしはどこか何か食べる場所が無いか探すけど……店を探して歩くと
ますますどこに居るかわからなくなった。
「さらに迷った……そして、お腹が空いた」
噴水があって人間が集まっている広場あったから、そこのベンチで休んでいるけど
ここは150年前にも噴水があったから覚えてる。
噴水は形とかはかわったけど、太陽の位置から150年前と同じ場所。
たしか、ここから南の方からでると……食べ物を売っている店があったはず。
道に迷ったけど、ひとまず何か食べて教会の場所を聞けばイザベラに会えるはず。
いや、イザベラならあたしを捜すだろうから、それを待ってもいいかも。
今はとにかく、お腹が空いたから何かを食べよう。
わたしはベンチから立つと、南側の通りに向かったけど今度は人多すぎて進めないのだった。
お読みいただきありがとうございます。
トリシャは基本的にインドアなので外にあまりでませんし、方向感覚があまりよくないです。
ただ、ファーガスたちと旅をしてるので、太陽の位置からある程度方向はわかりますし
街道沿いなどは問題ないです。
王都は街をどんどん広げていったので、ざっぱな造りで迷いやすいですが
目印がないとトリシャはすぐに迷います。
ただ、迷っても慌てないと言うか、お腹が空いたのでまずは食べる事が先です。
評価・ブックマークお願いします。
ツイッター
@shiizu17