第27話 報告
この作品はカクヨムに投稿した物です。
王都に到着したフローラたちは休む間もなく国王である父親に報告をします。
わたしたちは王城に到着しますと、すぐにお父様の所へ向かいます。
「フローラ、無事に帰って来たか」
「はい、無事に帰ってきました」
謁見の間でお父様に会いましたが、これは父と娘ではなく
国王と王女としての対面です。
わたしを前にし、アルニル、トリシャ様、イザベラ……そして、アランが後ろに並びます。
「これでかつての勇者の従者が揃った。次は魔王の復活を待つだけか……」
お父様はこのようにおっしゃりますが、魔王の復活までは知らない様です。
「お父様、その事ですが……」
わたしはアルテイル様から魔王マオが復活した事を話しました。
「そうか、魔王は復活していたか……」
「しかし、灰色の谷での復活なので、影響は今の所ありません。
また、討伐をするにも、灰色の谷に辿り着く事も出来るかわかりません」
「確かに、灰色の谷は勇者ファーガスとほんのわずかな者しか辿り着ていない場所。
フローラが勇者ファーガスの生まれ変わりと言えども、そのような場所に向かわせるのは……」
お父様は国王としてではなく、父親として心配しています。
「現在の所、魔王が攻めて来る事は無いようです。さらに、魔族を見かけたという話もありません」
「確かにそうだな。実害が出てからでは遅いが、魔王の動きもわからぬ。
しかし、魔王が復活したい以上、国王としては黙っている訳にはいかない。
なので、魔王復活の事は発表はする」
お父様は国王として、魔王が復活した事を黙っている訳にはいかないです。
「わかりました」
「本来ならば……いや、なんでもない。勇者の従者がこうして4人そろったのだから
憂いはないだろう。しかし……みな女性とは意外であったが……」
お父様もファーガスの伝説は知っておられるので、トリシャ様が意外の3人が
皆女性に生まれ変わっていた事を少し戸惑っていました。
それを見たイザベラが一歩前に出ます。
「国王陛下、不躾ながら申し上げます。
これは女神アルテイルの意思であります。また、トリシャ様は女性の身でありながら、
かつてのわたくしたちと旅を共にし、そして魔王を倒しました。
また、性別がかつて違いましても、能力はかわりありません。
国王陛下は愛娘でありますフローラ様を魔王との戦に
赴かれるのは不安と思いますが、女神アルテイルに選ばれ事はその資質があるいう事です」
イザベラこのように言いますと、お父様は
「そうだな、女神アルテイルが認めたという事はそう言う事だな」
と納得いたしました。
「国王陛下にこの様な不躾な事を申してすみません」
「いや、構わない。むしろ、よくぞ言ってくれた。
神に使える者に言わるまで気づかないとは、私はまだまだだな」
「畏れ多いです、失礼しました」
イザベラは元の位置に戻ります。
「フローラ、ご苦労であった。しばらくは休息をとり、次の旅に備えるんだ。
アルニル、アラン、フローラの護衛、ご苦労であった」
「これも侍女としての役目です」
「自分は騎士としての任務を全うしただけであります」
「そうであっても、無事に戻って来た事に対して礼を言う」
「ありがたき幸せ」
「では、話はこれで終わりとする。では、下がるが良い」
「わかりました。では、失礼します」
わたしたちは謁見の間をでて自室に向かいますが、トリシャ様とイザベラの
部屋を用意してあります。
「お城に泊れるとは、贅沢ですよね」
イザベラは城に泊れてうれしそうですが
「あたしはお城は窮屈でいやだな」
と言います。
「えー、お城はいいじゃないですか。ふふかふかのベッドで寝むれて
美味しい物を食べて、のんびりする、贅沢ではありませんか」
「あたしは狭い宿屋が好きだな」
「トリシャって狭い所が好きだよね」
「あたしは手の届く位地になんでもあるのがいいんだよ」
「そういえば、エルフの森の家は狭かったよね」
「正確には散らかっていて、空いてる場所が狭かっただけですよね?」
「それをいわないでよ」
トリシャ様はイザベラに単に散らかっていたと言われますが
確かに、トリシャ様の部屋は狭いのでなく……散らかっていましたね。
そして、その部屋で水浴びもしていましたが、その時に出会ったんですよね。
「ところで、アラン様はどうするのですか」
イザベラがアランに聞きますが
「自分は騎士団に戻るだけですので」
と答えたがイザベラはさらに
「魔王討伐には同行しないのですか?」
とさらに聞く。
「それはわかりません。自分の任務はレンゼ山への往復の護衛でしたので。
なので、次の任務は騎士団の命令次第です」
「そうでしたか。もし、命令があった場合はどうします」
イザベラの質問に
「行けと命令されれば、騎士なのでもちろん行きます」
と答えるが、イザベラは
「では、アラン様ご自身のお考えはどうなのですか?」
とイザベラは質問を続けます。
「自分としましては……悩みます。騎士であっても、魔王どころか魔族に対抗するには
魔族を斬る事が出来る武器と、魔族の攻撃から身を護る防具が必要ですので」
「それらが揃っていれば、同行しますか?」
「するかもしませんが、自分が行っても足で纏いなので」
「そうですか、わかりました」
イザベラは質問を終わります。
「イザベラ様、自分も魔王討伐に同行するとおっしゃっているのですか?」
「いえ、聞いただけです。200年前は手助けはありましたが、4人で魔王を倒しましたので。
ただ、もし同行できるのならば、ご一緒していただきたいです」
「自分も出来たらしたいですが、こればかりは自分で決められませんので」
「ええ、それはわかっています」
「そうですか。では、自分は騎士団に戻りますので、皆さんごゆっくり」
「アラン、この度はご苦労さまでした」
「フローラ様、ありがございます。では、失礼いたいします」
アランは騎士団に戻ってきましたが、それに紛れてトリシャ様もアランに
ついて行こうとしますが、アルニルにすぐに捕まります。
「トリシャ、ばればれだよ」
「ばれたか……」
「目の前にいるんだから、ばれるよ」
「あたしはお城で寝るより、安宿がいいんだよ」
「だとしても、今日は国王様とフローラ様の顔を立てて泊まるの」
「それじゃ、仕方がないな……」
アルニルにお父様とわたしの顔を立てる様にと言われて諦めました。
「意外と素直なんですね」
わたしがいいますと
「さすがに姫様と王様の顔を立てないとね。あたしだって、そこは大人だよ」
とため息をつきながいいました。
「大人ね……」
アルニルはトリシャ様の胸もとを見て言います。
「くっ」
トリシャ様はアルニルの胸もとを見て、こう一言いっただけでした。
「では、トリシャ、部屋に案内するよ」
「わかったよ」
「あとで、お部屋に伺います」
「まってるよ」
「では、後程」
アルニルに案内され、トリシャ様とイザベラは客室に向かいます。
そして、わたしは自室に戻るのでありました。
お読みいただきありがとうございます。
次の旅に出発するのはまだですが、魔王マオが復活した事は国王も知る所になりました。
次回は騎士団に戻ったアランの話です。
ツイッター
@shiizu17